ミロク情報 Research Memo(1):新たなファイナンス・サービス構想の実現で2022年3月期以降の成長加速へ
[20/06/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品を開発・販売する業界大手。新規事業としてbizsky(ビズスカイ)プラットフォーム事業や子会社で展開する事業承継支援サービス、bizocean(ビズオーシャン)等の事業を育成中。
1. 2020年3月期の業績概要
2020年3月期の連結業績は、会計事務所向け、企業向けともにシステム導入契約売上高が好調だったほか、ストックビジネスであるサービス収入も新規顧客の積み上げにより2ケタ増となり、売上高で前期比13.4%増の35,501百万円、営業利益で同1.2%増の5,227百万円、経常利益で同5.0%増の5,311百万円と過去最高を連続更新した。会社計画の経常利益6,200百万円に対して未達となったのは、既存クラウド製品に関するソフトウェア資産の早期償却(約10億円)を実施したためで、同要因を除けば計画を達成していたことになる。また今回、開発中のWeb型ERP製品についても、開発の方向性や優先順位を見直したことで、ソフトウェア資産の評価損(約25億円)を特別損失として計上しており、結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比50.7%減と減益に転じている。これらソフトウェア資産の早期償却、評価損については今後の償却負担が軽減されるため、中期的にはクラウド製品の競争力並びに収益力の強化につながるものとして評価される。
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期は売上高で前期比1.4%増の36,000百万円、経常利益で同32.2%減の3,600百万円と増収減益を見込む。新型コロナウイルスの影響が第2四半期まで続くことを前提に、また、サービス収入に関しては新規顧客開拓が大きく縮小することを想定している。売上高の主な増加要因はM&Aによるもので、2020年5月までにグループ会社化した2社の売上とあわせて、20億円程度の増収効果を見込んでいる。単体ベースの業績計画を見ると、売上高で前期比6.9%減の29,700百万円、経常利益で同32.9%減の3,300百万円と減収減益を見込んでいるが、前期に早期償却したソフトウェア資産の償却負担が無くなること、サービス収入で上振れ余地があることなどを考えれば、利益面で増額される可能性が高いと弊社では見ている。
3. 中長期展望について
同社は2025年度に向けた中長期ビジョンの策定に取り掛かっており、2021年5月頃を目途に発表する予定としている。基本方針としては、既存のERP事業の成長加速に加えて高収益モデルの新規事業を創出し拡大すること、積極的なM&Aにより経営の多角化を進めていくこと、今回の新型コロナウイルスショックの教訓を活かして、BCP(事業継続計画)、BPR(業務プロセス改革)、働き方改革を加速化し、サスティナビリティを追求していくことの3点を掲げている。特に、bizskyプラットフォーム事業については、2021年3月までにほぼすべての地方銀行やネット銀行とAPI連携を実現することで、同プラットフォームを通じた既存製品・サービスの利便性向上を図り、事業規模を拡大していくほか、API連携によって可能となる新たなファイナンス・サービスを展開していくことで飛躍的な成長を目指しており、その動向が注目される。
■Key Points
・2020年3月期は売上高、営業利益、経常利益で過去最高を連続更新
・2021年3月期はシステム導入契約売上高は減少を見込むものの、ストックビジネスであるサービス収入は増収が続く見通し
・bizskyプラットフォーム事業による「ファイナンス・サービス構想」の実現に向け、金融機関とAPI連携を進める
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
ミロク情報サービス<9928>は、会計事務所及び中堅・中小企業向けに、財務会計・税務システムを中心とするERP(統合業務管理)製品を開発・販売する業界大手。新規事業としてbizsky(ビズスカイ)プラットフォーム事業や子会社で展開する事業承継支援サービス、bizocean(ビズオーシャン)等の事業を育成中。
1. 2020年3月期の業績概要
2020年3月期の連結業績は、会計事務所向け、企業向けともにシステム導入契約売上高が好調だったほか、ストックビジネスであるサービス収入も新規顧客の積み上げにより2ケタ増となり、売上高で前期比13.4%増の35,501百万円、営業利益で同1.2%増の5,227百万円、経常利益で同5.0%増の5,311百万円と過去最高を連続更新した。会社計画の経常利益6,200百万円に対して未達となったのは、既存クラウド製品に関するソフトウェア資産の早期償却(約10億円)を実施したためで、同要因を除けば計画を達成していたことになる。また今回、開発中のWeb型ERP製品についても、開発の方向性や優先順位を見直したことで、ソフトウェア資産の評価損(約25億円)を特別損失として計上しており、結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比50.7%減と減益に転じている。これらソフトウェア資産の早期償却、評価損については今後の償却負担が軽減されるため、中期的にはクラウド製品の競争力並びに収益力の強化につながるものとして評価される。
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期は売上高で前期比1.4%増の36,000百万円、経常利益で同32.2%減の3,600百万円と増収減益を見込む。新型コロナウイルスの影響が第2四半期まで続くことを前提に、また、サービス収入に関しては新規顧客開拓が大きく縮小することを想定している。売上高の主な増加要因はM&Aによるもので、2020年5月までにグループ会社化した2社の売上とあわせて、20億円程度の増収効果を見込んでいる。単体ベースの業績計画を見ると、売上高で前期比6.9%減の29,700百万円、経常利益で同32.9%減の3,300百万円と減収減益を見込んでいるが、前期に早期償却したソフトウェア資産の償却負担が無くなること、サービス収入で上振れ余地があることなどを考えれば、利益面で増額される可能性が高いと弊社では見ている。
3. 中長期展望について
同社は2025年度に向けた中長期ビジョンの策定に取り掛かっており、2021年5月頃を目途に発表する予定としている。基本方針としては、既存のERP事業の成長加速に加えて高収益モデルの新規事業を創出し拡大すること、積極的なM&Aにより経営の多角化を進めていくこと、今回の新型コロナウイルスショックの教訓を活かして、BCP(事業継続計画)、BPR(業務プロセス改革)、働き方改革を加速化し、サスティナビリティを追求していくことの3点を掲げている。特に、bizskyプラットフォーム事業については、2021年3月までにほぼすべての地方銀行やネット銀行とAPI連携を実現することで、同プラットフォームを通じた既存製品・サービスの利便性向上を図り、事業規模を拡大していくほか、API連携によって可能となる新たなファイナンス・サービスを展開していくことで飛躍的な成長を目指しており、その動向が注目される。
■Key Points
・2020年3月期は売上高、営業利益、経常利益で過去最高を連続更新
・2021年3月期はシステム導入契約売上高は減少を見込むものの、ストックビジネスであるサービス収入は増収が続く見通し
・bizskyプラットフォーム事業による「ファイナンス・サービス構想」の実現に向け、金融機関とAPI連携を進める
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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