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サン電子 Research Memo(2):世界各地で伸びているモバイルデータソリューション事業が主力(1)

注目トピックス 日本株
■事業概要

サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。情報通信関連事業では、海外子会社のCellebriteがグローバルに展開する携帯端末関連機器を中心として、M2M通信機器及びIoTソリューション、ゲームコンテンツ配信サービスなども提供している。また、エンターテインメント関連事業では、遊技機メーカー向けの遊技機部品(制御基板、液晶基板等)やパチンコホール向けのトータルコンピュータシステムの開発、製造、販売を手掛けている。

従来、パチンコ業界向けのエンターテインメント関連事業を軸としてきた同社だが、2007年に買収したCellebriteが展開するモバイルデータソリューションが世界中の注目を集めながら高成長を続けている。また、需要拡大が見込めるM2M、AR関連※、O2Oソリューションなど、情報通信関連事業における新たな成長分野にも注力している。一方、エンターテインメント関連事業は、パチンコ業界における規制改正の影響等により厳しい環境が続いており、環境変化への対応と費用の効率化などに取り組んでいる

※Augmented Reality(拡張現実)の略。実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を「仮想的に拡張する」もの。同社では、AR技術を活用した独自製品「AceReal」(産業用スマートグラス及び業務支援アプリケーション)の開発・製造・販売を行っている。


事業領域は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の大きく2つに分かれるが、注力する情報通信関連事業の構成比が高まる傾向にある。また、事業セグメントは、「モバイルデータソリューション事業」「エ ンターテインメント関連事業」「新規IT関連事業」「その他(ゲームコンテンツ)」の4つに区分される。

連結子会社は15社(国内1社、海外14社)、持分法適用会社は1社(海外)となっている(2020年3月末現在)。国内の連結子会社は、主にエンターテインメント関連の遊技機部品の製造を担うイードリーム(株)である。一方、海外の連結子会社には、2007年に買収したイスラエルのCellebriteとその販売拠点として、米国、ドイツ、ブラジル、シンガポール、英国、フランス、カナダ、中国、オーストラリア、インド等に現地法人が置かれているほか、2015年8月に子会社化したイスラエルのBacsoft Ltd.(以下、Bacsoft)等がある。また、持分法適用会社は、モバイルデータソリューション事業分野で活動を行うCellomat Israel Ltd.である。

1. モバイルデータソリューション事業
2007年に買収したCellebriteが開発した携帯端末関連機器の販売を通じて、世界各地のDI向けにデータ抽出及びデータ分析等を展開している。なお、従来の主力であったMLC向けは、後述するとおり、2018年3月末に事業譲渡となった。

Cellebriteは、1999年に設立された企業であり、2000年から米国でモバイルデータトランスファー機器の販売を開始。携帯電話やスマートフォンなどの利用者が新機種に買い替える際、データの移し替えを円滑に行うところに特徴があり、携帯端末の普及に伴ってMLC向けの需要が拡大したことから、急成長を実現してきた。ただ、クラウド型のデータ移行サービスが台頭するなかで、店頭でのデータ移行に対する需要が減退したことや、より成長性の高いDIに経営資源を集中する戦略により、2018年3月末をもってMLCの事業譲渡に踏み切った。

一方、DI向けについては、Cellebriteが開発した携帯端末関連機器が犯罪捜査時の携帯端末のデータ解析などにも利用できることから、顧客である警察などの法的執行機関にも有用性が認められ、2009年頃より米国や日本などで普及が進んできた。特に、携帯端末のデータが裁判で決定的な証拠となるケースが増加しており、携帯端末からの手掛かりや証拠入手の重要性が世界中で注目され、DIが好調に推移している。グローバル展開にも積極的であり、2008年にドイツに進出したほか、2013年にはシンガポール及びブラジルに開設した拠点が営業を開始した。最近では2014年に英国、2015年にはフランス、カナダ、中国、2017年にはオーストラリア、2019年にはインド、日本と相次いで拠点を設立している。国内でも、DIを中心に展開をしている。今後は、データ抽出能力をさらに強化するとともに、データ活用に貢献する分析システムの機能強化を図っていく方向性である。

機器の導入、新機種への買い替え需要等の端末販売や導入後のソフトウェア更新料のほか、科学捜査の高度化に伴い、捜査官向けトレーニング及びテクニカルサービスも伸びており、フローとストックを組み合わせた収益モデルとなっている。また、新たな機能を持つ製品やソリューションの提供によるアップセル(単価向上)にも取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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