翻訳センター Research Memo(5):無借金経営を継続。短期及び中長期の安全性が極めて高い
[20/06/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2020年3月期通期の業績概要
翻訳センター<2483>の2020年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比3.8%減の11,550百万円、営業利益が同9.6%減の813百万円、経常利益が同9.1%減の822百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同51.6%減の304百万円と減収減益となった。
売上高に関しては、主力の翻訳事業の減収前期比393百万円の影響が大きかった。特に工業・ローカライゼーション分野では主要顧客である自動車関連企業及び電機・電子部品関連企業等からの受注が低調に推移し同253百万円減となった。中国経済の成長鈍化などに代表される世界経済減速への懸念から製造業の景況感が低下基調だったことが影響した。医薬分野では、主要顧客である製薬会社向けAI翻訳の共同開発等に取り組むなどサービスの拡充を図ったものの、当期に実施の査察案件が少なかった影響を受け、同148百万円減と伸び悩んだ。金融・法務分野では、企業の管理系部署からの受注が低調に推移したことなどにより、同112百万円減。唯一、特許分野は、国際出願件数の増加を背景に特許事務所からの受注が好調に推移し同119百万円増と伸びた。翻訳事業全体として、第4四半期に新型コロナウイルスの影響で伸び悩んだ面もあった。派遣事業と通訳事業は前年並みと堅調。コンベンション事業は同105百万円増と売上伸長。通訳事業及びコンベンション事業においては、第4四半期に新型コロナウイルスの影響によりキャンセルや延期となり機会損失があった。
売上原価は前期比5.3%減と効率化が進捗した。売上総利益率で見ると42.6%と前期比0.9ポイントの改善となった。これは、翻訳支援ツール等を積極的に活用し、翻訳制作の生産性向上に取り組んでいる成果が出始めたと考えられる。販管費は前期比0.1%増と変わらず。結果として、営業利益は、翻訳事業の減収インパクトが売上総利益率向上効果を上回り、同9.6%減となった。なお、当期純利益が前期比51.6%減と大幅減となったのは、社内システム開発に伴う固定資産の減損損失321百万円を計上したためである。翻訳業務プロセスの効率化を目的にBPMS(ビジネスプロセスマネジメント・システム)の開発を進めてきたが、これまでに開発に要した費用について回収の可能性がないと評価した。
2. 財務状況と経営指標
2020年3月期末の総資産残高は2019年3月期末比263百万円減の6,222百万円となった。流動資産は7百万円減と大きな変化はなく、そのうち現預金が338百万円増加したのに対し、受取手形及び売掛金が392百万円減少した。固定資産は256百万円減であり、無形固定資産の減少が主な要因である。
負債は前期末比459百万円減の1,676百万円となった。主な減少は、流動負債471百万円減であり、主な要因は買掛金の186百万円減や未払法人税等の179百万円減である。なお、同社は無借金経営を継続しており、有利子負債はない。
経営指標では、流動比率で346.8%、自己資本比率で73.0%とともに高い水準にあり、高い財務の安全性が際立っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
1. 2020年3月期通期の業績概要
翻訳センター<2483>の2020年3月期通期の連結業績は、売上高が前期比3.8%減の11,550百万円、営業利益が同9.6%減の813百万円、経常利益が同9.1%減の822百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同51.6%減の304百万円と減収減益となった。
売上高に関しては、主力の翻訳事業の減収前期比393百万円の影響が大きかった。特に工業・ローカライゼーション分野では主要顧客である自動車関連企業及び電機・電子部品関連企業等からの受注が低調に推移し同253百万円減となった。中国経済の成長鈍化などに代表される世界経済減速への懸念から製造業の景況感が低下基調だったことが影響した。医薬分野では、主要顧客である製薬会社向けAI翻訳の共同開発等に取り組むなどサービスの拡充を図ったものの、当期に実施の査察案件が少なかった影響を受け、同148百万円減と伸び悩んだ。金融・法務分野では、企業の管理系部署からの受注が低調に推移したことなどにより、同112百万円減。唯一、特許分野は、国際出願件数の増加を背景に特許事務所からの受注が好調に推移し同119百万円増と伸びた。翻訳事業全体として、第4四半期に新型コロナウイルスの影響で伸び悩んだ面もあった。派遣事業と通訳事業は前年並みと堅調。コンベンション事業は同105百万円増と売上伸長。通訳事業及びコンベンション事業においては、第4四半期に新型コロナウイルスの影響によりキャンセルや延期となり機会損失があった。
売上原価は前期比5.3%減と効率化が進捗した。売上総利益率で見ると42.6%と前期比0.9ポイントの改善となった。これは、翻訳支援ツール等を積極的に活用し、翻訳制作の生産性向上に取り組んでいる成果が出始めたと考えられる。販管費は前期比0.1%増と変わらず。結果として、営業利益は、翻訳事業の減収インパクトが売上総利益率向上効果を上回り、同9.6%減となった。なお、当期純利益が前期比51.6%減と大幅減となったのは、社内システム開発に伴う固定資産の減損損失321百万円を計上したためである。翻訳業務プロセスの効率化を目的にBPMS(ビジネスプロセスマネジメント・システム)の開発を進めてきたが、これまでに開発に要した費用について回収の可能性がないと評価した。
2. 財務状況と経営指標
2020年3月期末の総資産残高は2019年3月期末比263百万円減の6,222百万円となった。流動資産は7百万円減と大きな変化はなく、そのうち現預金が338百万円増加したのに対し、受取手形及び売掛金が392百万円減少した。固定資産は256百万円減であり、無形固定資産の減少が主な要因である。
負債は前期末比459百万円減の1,676百万円となった。主な減少は、流動負債471百万円減であり、主な要因は買掛金の186百万円減や未払法人税等の179百万円減である。なお、同社は無借金経営を継続しており、有利子負債はない。
経営指標では、流動比率で346.8%、自己資本比率で73.0%とともに高い水準にあり、高い財務の安全性が際立っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>