ディーエムソリュ Research Memo(4):強みは営業力、価格競争力、受託能力、フルフィルメントなど
[20/07/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
4. 強みと課題
ディーエムソリューションズ<6549>のダイレクトメール事業は営業力、価格競争力、受託能力、フルフィルメントに強みがあり、インターネット事業は、進化の早い技術・サービス・制度に対して経験値を積み上げているところだが、バーティカルメディアが強みを発揮し始めている。また、後述するが、ダイレクトメール事業とインターネット事業の強みを連携したサービスも登場している。
(1) ダイレクトメール事業の強み
ダイレクトメールの市場は、規模が3,800億円程度で微減傾向にあると言われる。また、依然として小規模な印刷業者が印刷のついでに郵便の発送を代行していることが多い。このため、大手の同社でさえシェアが2〜3%程度しかなく、集約化がようやく進み始めたニッチな業界と言うことができる。しかし、ダイレクトメールの減少は、同社では取扱いのない年賀状や請求書がWeb化を背景に減っていることが要因とも言われている。したがって、実態として年賀状や請求書以外のダイレクトメールは伸びている可能性が高く、また開封率の高さから高単価商材や好景気業種でのダイレクトメール利用が意外と多いこともあり、商用のダイレクトメールは案外堅調に伸びているかもしれない。
そのような業界で、同社は約90人もの営業スタッフを抱え全国規模で営業を展開している。同業の大手発送代行企業でも、同社ほどの営業体制にはないように思われる。ターゲットは中規模案件が中心だが、中規模案件は顧客ニーズに合わせてカスタマイズする能力が必要とされるため、参入が少なく競争が起きづらい上、高採算も狙えるからである。また、上場企業の同社は継続的に増強投資をすることができるため、余裕ある受託能力で積極営業を下支えすることができる。全国屈指のスケールがあるから、ゆうメールやメール便の発送費など強い価格競争力も発揮する。数万通になると顧客のメリットもかなり大きくなる計算だ。さらに、ダイレクトメール部門だけで自社デザイナーを数人抱え、商品企画のできる部署もあるため、発送代行にとどまらず、企画やデザインから顧客の求めに応じてワンストップのサービスが可能となっている。こうした、強力な営業体制、高度な受託能力、強い価格競争力、ワンストップソリューションが同社の強みなのである。
(2) インターネット事業の課題と強み
ダイレクトメール事業とインターネット事業という2軸によってリスクが分散されるとはいえ、インターネット事業のボラティリティがやや高いことは課題と言える。ドッグイヤーの業界のため日進月歩で新しい技術が開発され、常に新たな技術に関するノウハウを導入しサービスを拡充させないと、即座に優位性が失われてしまう。また、デジタルマーケティングサービスもバーティカルメディアサービスも検索順位が優位性の決め手となるが、定期的に行われる検索エンジンのアルゴリズムの更新への対応がなかなか容易ではない。長年SEOの経験値を積み上げてきたが、それでも集客が弱まることがあるため、さらに経験値を積み上げていく必要があるだろう。また、同社のバーティカルメディアのプレゼンスが向上するにつれ、他社バーティカルメディアを傘下に入れる動きが出ているが、システムデューデリジェンスなどの経験値を積む必要もあると思われる。とはいえ、自社バーティカルメディアの成功体験も格段に増えており、同社のインターネット事業の中で自社バーティカルメディアという強みが育ちつつあるように思われる。いずれにしろ、高成長が期待されるインターネット事業だからこそ、一定のボラティリティの中で、大胆かつ細心に最新の技術を追求していくことが肝要と考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<YM>
4. 強みと課題
ディーエムソリューションズ<6549>のダイレクトメール事業は営業力、価格競争力、受託能力、フルフィルメントに強みがあり、インターネット事業は、進化の早い技術・サービス・制度に対して経験値を積み上げているところだが、バーティカルメディアが強みを発揮し始めている。また、後述するが、ダイレクトメール事業とインターネット事業の強みを連携したサービスも登場している。
(1) ダイレクトメール事業の強み
ダイレクトメールの市場は、規模が3,800億円程度で微減傾向にあると言われる。また、依然として小規模な印刷業者が印刷のついでに郵便の発送を代行していることが多い。このため、大手の同社でさえシェアが2〜3%程度しかなく、集約化がようやく進み始めたニッチな業界と言うことができる。しかし、ダイレクトメールの減少は、同社では取扱いのない年賀状や請求書がWeb化を背景に減っていることが要因とも言われている。したがって、実態として年賀状や請求書以外のダイレクトメールは伸びている可能性が高く、また開封率の高さから高単価商材や好景気業種でのダイレクトメール利用が意外と多いこともあり、商用のダイレクトメールは案外堅調に伸びているかもしれない。
そのような業界で、同社は約90人もの営業スタッフを抱え全国規模で営業を展開している。同業の大手発送代行企業でも、同社ほどの営業体制にはないように思われる。ターゲットは中規模案件が中心だが、中規模案件は顧客ニーズに合わせてカスタマイズする能力が必要とされるため、参入が少なく競争が起きづらい上、高採算も狙えるからである。また、上場企業の同社は継続的に増強投資をすることができるため、余裕ある受託能力で積極営業を下支えすることができる。全国屈指のスケールがあるから、ゆうメールやメール便の発送費など強い価格競争力も発揮する。数万通になると顧客のメリットもかなり大きくなる計算だ。さらに、ダイレクトメール部門だけで自社デザイナーを数人抱え、商品企画のできる部署もあるため、発送代行にとどまらず、企画やデザインから顧客の求めに応じてワンストップのサービスが可能となっている。こうした、強力な営業体制、高度な受託能力、強い価格競争力、ワンストップソリューションが同社の強みなのである。
(2) インターネット事業の課題と強み
ダイレクトメール事業とインターネット事業という2軸によってリスクが分散されるとはいえ、インターネット事業のボラティリティがやや高いことは課題と言える。ドッグイヤーの業界のため日進月歩で新しい技術が開発され、常に新たな技術に関するノウハウを導入しサービスを拡充させないと、即座に優位性が失われてしまう。また、デジタルマーケティングサービスもバーティカルメディアサービスも検索順位が優位性の決め手となるが、定期的に行われる検索エンジンのアルゴリズムの更新への対応がなかなか容易ではない。長年SEOの経験値を積み上げてきたが、それでも集客が弱まることがあるため、さらに経験値を積み上げていく必要があるだろう。また、同社のバーティカルメディアのプレゼンスが向上するにつれ、他社バーティカルメディアを傘下に入れる動きが出ているが、システムデューデリジェンスなどの経験値を積む必要もあると思われる。とはいえ、自社バーティカルメディアの成功体験も格段に増えており、同社のインターネット事業の中で自社バーティカルメディアという強みが育ちつつあるように思われる。いずれにしろ、高成長が期待されるインターネット事業だからこそ、一定のボラティリティの中で、大胆かつ細心に最新の技術を追求していくことが肝要と考える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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