CAICA Research Memo(2):金融機関向けシステム開発やブロックチェーン技術に強み(1)
[20/07/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
CAICA<2315>は、金融業界向けのシステム開発を主力とする「情報サービス事業」のほか、「暗号資産※関連事業」、eワラント証券などの買収に伴い2018年10月期よりスタートさせた「金融商品取引事業」を複合的に展開している。高い信頼性や処理能力などが求められる金融業界向けのシステム開発を中心として、長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、約400人の社員全員がブロックチェーン技術者になる計画を実行していることも特徴的である。ブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野に位置付けており、自社開発による高度なセキュリティ機能を実装した暗号資産交換業者向けオールインワンパッケージ「crypto base C(クリプトベース・シー)」の外販(海外展開を含む)など、暗号資産ビジネスへの取り組みを加速していく方針である。また、第一種金融商品取引業であるeワラント証券や暗号資産交換業者を自社グループ内に抱えるシステム開発会社という、他に例を見ないユニークな事業基盤を生かすことで、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)に取り組む方向性を描いており、同社は新たなステージを迎えようとしている。
※暗号資産とは、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず、インターネットを通じて不特定多数に対して商品やサービスの購入の対価として利用できる財産的価値のことを指す。2019年3月15日に暗号資産に関する法改正が閣議決定され、今まで「仮想通貨」と呼ばれていた名称が「暗号資産」へと変更された。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) 情報サービス事業
創業来の主力事業であり、銀行・証券・保険といった金融機関向けシステム開発(コンサルティングや保守・運用を含む)をはじめ、流通・小売業、情報通信業等、多様な業種でシステムを構築している。特に、金融業界向けのシステム開発が70%程度を占め、同社の強みの源泉となっている。大手SIerからコアパートナーの認定を受け、大手SIerを通じた受注(2次請け)が中心であるものの、基幹システムを担っている金融機関向けは継続率が高く、コロナ禍においても事業基盤は安定している。なお、大企業からの1次請け受注が増加しており、安定性はさらに増している。また、テレワークの広がりを受け、2020年4月からは「セキュリティコンサルティング・サービス」※1や「テレワーク・クイックサービス」※2の提供も開始。FinTech関連のシステム開発分野においては、ブロックチェーン技術を活用した出版コンテンツの総合的な権利処理基盤の開発のほか、様々な業種に向けたブロックチェーンのPoC(概念実証)やコンサルティングを受注している。
※1 現行のテレワーク環境の脆弱性診断や、課題の顕在化、課題対応方法の提案など、テレワークに関するあらゆるセキュリティ課題をサポートするサービス。
※2 まだテレワーク環境を導入していない中小規模企業向けに、アマゾンウェブサービス(AWS)のAmazon WorkSpacesで、いつでもどこでもセキュアなアクセスを可能とするクラウド型仮想デスクトップを最短1週間で構築するサービス。PC1台当たりの月額課金による収益モデルとなっている。
(2) 暗号資産関連事業
2018年10月期からセグメント区分された事業である。前述のとおり、成長性が期待でき、これまでの知見が生かせる戦略的注力分野として位置付けられている。暗号資産関連のシステム開発については、同社グループ内の暗号資産交換所「Zaif」※1のシステムインテグレーションを担い、FinTech分野向けの自社製品として開発を進めてきた「暗号資産交換所システム」※2の外販等を手掛けている。また、暗号資産の投融資運用については、暗号資産に関するシステム構築のノウハウ獲得のために行っているものである。(一社)ブロックチェーン推進協会(BCCC)が新たに設立した「ステーブルコイン部会」※3にも名を連ねており、ステーブルコイン「ZEN」の社会実験にも参加するなど、将来性のある事業への展開に向けて、ブロックチェーン技術と交換所の両方を有する優位性を生かし、絶好のポジションを確保している。他にも、ブロックチェーン技術を用いたアートの登録・管理システムの開発なども手掛けており、公証プラットフォーム「regist ART」として(株)レジストアート※4に提供している。
※1 2018年12月に「Zaif」や「フィスコ仮想通貨取引所」を運営する(株)フィスコ仮想通貨取引所を有する(株)フィスコデジタルアセットグループ(以下、FDAG)と資本業務提携を行うとともに、FDAGを持分法適用関連会社としている。なお、「フィスコ仮想通貨取引所」については、2020年1月に「Zaif」と統合した。
※2 2020年10月期から本格的に営業活動を開始。既存の暗号資産交換所や新たな参入予定先など約30社をターゲットとして、高度なセキュリティ機能の実装などによる差別戦略を展開していく方針である。
※3 BCCC独自の暗号資産「Zen」を日本円のみならずグローバルなステーブルコインとして社会実験実施に向けた活動を開始している。
※4 ブロックチェーン技術による美術品登録サービス等を手掛けており、2018年3月に同社と資本業務提携を締結している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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CAICA<2315>は、金融業界向けのシステム開発を主力とする「情報サービス事業」のほか、「暗号資産※関連事業」、eワラント証券などの買収に伴い2018年10月期よりスタートさせた「金融商品取引事業」を複合的に展開している。高い信頼性や処理能力などが求められる金融業界向けのシステム開発を中心として、長年にわたって蓄積してきた高度な技術やノウハウなどに強みがあり、約400人の社員全員がブロックチェーン技術者になる計画を実行していることも特徴的である。ブロックチェーン技術を活用したFinTech分野を戦略的注力分野に位置付けており、自社開発による高度なセキュリティ機能を実装した暗号資産交換業者向けオールインワンパッケージ「crypto base C(クリプトベース・シー)」の外販(海外展開を含む)など、暗号資産ビジネスへの取り組みを加速していく方針である。また、第一種金融商品取引業であるeワラント証券や暗号資産交換業者を自社グループ内に抱えるシステム開発会社という、他に例を見ないユニークな事業基盤を生かすことで、金融とITをシームレスに統合したこれまでにないタイプの事業モデルの構築(金融プラットフォーマー構想)に取り組む方向性を描いており、同社は新たなステージを迎えようとしている。
※暗号資産とは、中央銀行などの公的な発行主体や管理者が存在せず、インターネットを通じて不特定多数に対して商品やサービスの購入の対価として利用できる財産的価値のことを指す。2019年3月15日に暗号資産に関する法改正が閣議決定され、今まで「仮想通貨」と呼ばれていた名称が「暗号資産」へと変更された。
各事業の概要は以下のとおりである。
(1) 情報サービス事業
創業来の主力事業であり、銀行・証券・保険といった金融機関向けシステム開発(コンサルティングや保守・運用を含む)をはじめ、流通・小売業、情報通信業等、多様な業種でシステムを構築している。特に、金融業界向けのシステム開発が70%程度を占め、同社の強みの源泉となっている。大手SIerからコアパートナーの認定を受け、大手SIerを通じた受注(2次請け)が中心であるものの、基幹システムを担っている金融機関向けは継続率が高く、コロナ禍においても事業基盤は安定している。なお、大企業からの1次請け受注が増加しており、安定性はさらに増している。また、テレワークの広がりを受け、2020年4月からは「セキュリティコンサルティング・サービス」※1や「テレワーク・クイックサービス」※2の提供も開始。FinTech関連のシステム開発分野においては、ブロックチェーン技術を活用した出版コンテンツの総合的な権利処理基盤の開発のほか、様々な業種に向けたブロックチェーンのPoC(概念実証)やコンサルティングを受注している。
※1 現行のテレワーク環境の脆弱性診断や、課題の顕在化、課題対応方法の提案など、テレワークに関するあらゆるセキュリティ課題をサポートするサービス。
※2 まだテレワーク環境を導入していない中小規模企業向けに、アマゾンウェブサービス(AWS)のAmazon WorkSpacesで、いつでもどこでもセキュアなアクセスを可能とするクラウド型仮想デスクトップを最短1週間で構築するサービス。PC1台当たりの月額課金による収益モデルとなっている。
(2) 暗号資産関連事業
2018年10月期からセグメント区分された事業である。前述のとおり、成長性が期待でき、これまでの知見が生かせる戦略的注力分野として位置付けられている。暗号資産関連のシステム開発については、同社グループ内の暗号資産交換所「Zaif」※1のシステムインテグレーションを担い、FinTech分野向けの自社製品として開発を進めてきた「暗号資産交換所システム」※2の外販等を手掛けている。また、暗号資産の投融資運用については、暗号資産に関するシステム構築のノウハウ獲得のために行っているものである。(一社)ブロックチェーン推進協会(BCCC)が新たに設立した「ステーブルコイン部会」※3にも名を連ねており、ステーブルコイン「ZEN」の社会実験にも参加するなど、将来性のある事業への展開に向けて、ブロックチェーン技術と交換所の両方を有する優位性を生かし、絶好のポジションを確保している。他にも、ブロックチェーン技術を用いたアートの登録・管理システムの開発なども手掛けており、公証プラットフォーム「regist ART」として(株)レジストアート※4に提供している。
※1 2018年12月に「Zaif」や「フィスコ仮想通貨取引所」を運営する(株)フィスコ仮想通貨取引所を有する(株)フィスコデジタルアセットグループ(以下、FDAG)と資本業務提携を行うとともに、FDAGを持分法適用関連会社としている。なお、「フィスコ仮想通貨取引所」については、2020年1月に「Zaif」と統合した。
※2 2020年10月期から本格的に営業活動を開始。既存の暗号資産交換所や新たな参入予定先など約30社をターゲットとして、高度なセキュリティ機能の実装などによる差別戦略を展開していく方針である。
※3 BCCC独自の暗号資産「Zen」を日本円のみならずグローバルなステーブルコインとして社会実験実施に向けた活動を開始している。
※4 ブロックチェーン技術による美術品登録サービス等を手掛けており、2018年3月に同社と資本業務提携を締結している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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