ジェイ・エス・ビー Research Memo(4):2020年10月期第2四半期は、期初予想を大きく上回る好決算
[20/07/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ジェイ・エス・ビー<3480>の業績動向
1. 2020年10月期第2四半期の業績概要
2020年10月期第2四半期累計期間における日本経済は、雇用・所得環境の改善などの内需の下支えがありながらも、海外における政治・通商問題も抱え、足踏み感のある景気基調で推移した。その後、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響を受け、個人消費は急速に悪化した。企業収益は感染症拡大による経済活動抑制の影響を強く受け、国内消費の急減速、輸出の大幅な減少と海外生産の急速な低下、さらには原油価格急落の影響もあり、多くの企業において業況判断を大きく引き下げる動きが広がっている。感染拡大の影響により景気悪化の長期化も懸念されるなか、いまだ収束の見通しが立っておらず、先行きについては極めて不透明な状況が続いている。
このような環境下、同社グループにおいては、2017年12月に公表した中期経営計画最終年度を迎え、第2四半期は賃貸入居需要の集中する最繁忙期(3月−4月)であった。高付加価値を備えた競争力のある新規物件開発や大手デベロッパーとの連携の推進、M&Aによる事業会社の取得等を背景に、既に見たように物件管理戸数は順調に増加し、同社グループの募集力や斡旋力の裏付けとなる入居率についても高水準を維持してきた。その結果、先行きの景況感では悪化懸念はあるものの、足元での経営成績については、当初掲げた中期経営計画の目標数値を上回るペースで推移している。
以上から2020年10月期第2四半期累計期間は、売上高25,834百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益4,037百万円(同29.5%増)、経常利益3,964百万円(同28.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,654百万円(同28.6%増)の大幅な増収増益となった。また、2019年10月期決算発表時の期初予想に比べると、売上高で2.6%、経常利益で17.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益は18.2%も上回る好決算であった。物件管理戸数の増加や高水準の入居率維持により賃貸関連売上高が伸長したことに加え、前年度のシステム刷新に伴う一時的な費用負担が減少したことから、大幅な増収増益となった。
なお、同社グループでは主力事業である不動産賃貸管理事業において、賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期に新規契約件数が増加することから、売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向がある。また広告宣伝活動の積極展開、システム投資などによって、将来の事業発展にも十分に備えていると言える。
2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
新型コロナウイルス感染症の影響で3月から学生の部屋探しが減少した影響で、入居率は前期までの99.9%から99.8%へとわずかに低下したものの、引き続き高水準を維持した。加えて物件管理戸数は72,484戸(前年同期比6,420戸増)と当初計画を上回る増加をしたことで、学生マンションの家賃収入をはじめ、各種不動産賃貸関連サービス収入は順調に推移した。一方、費用面では、戸数増による支払家賃増加や人員数の増加による人件費増加はあったものの、前期に刷新した基幹システムの運用にかかる一時的な人件費増加負担も一巡したことから、比較的緩やかな増加となった。この結果、売上高24,295百万円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益4,557百万円(同26.0%増)の大幅な増収増益となった。
このように不動産賃貸管理事業では、当期も物件数の増加に伴い売上高・セグメント利益は右肩上がりで順調に拡大し、人件費等の費用の増加を吸収して高い利益率を維持している。
(2) 高齢者住宅事業
高齢者住宅事業では、これまでの事業譲受による拠点数の増加や事業会社買収に伴い、管理棟数は14棟(前年同期は13棟)に増加した。特に、2019年10月にオープンした滋賀県大津市の「グランメゾン迎賓館大津大将軍」では、事業開始直後ではあるものの、足元での稼働率は当初計画を上回っており、新規オープン直後の原価負担を補い、良好な運営環境で推移している。立地が良く家族が通いやすいことや、病院などからの入居者紹介が多いことなどが、高稼働率の背景にある。また、そのほかの既存施設においても、営業力強化やベッド単価の引き上げ等の損益改善施策により、順調に推移している。その結果、売上高1,318百万円(前年同期比22.9%増)、セグメント利益158百万円(同176.1%増)と、大幅な増収増益となった。
高齢者住宅事業では、施設数の増加に伴い売上高は順調に拡大し、セグメント利益も2017年10月期から黒字に転じている。利益率も新規取得の施設の黒字化には時間がかかることもあり、不動産賃貸管理事業に比べて低い利益率にとどまっているものの、当期は大きく改善している。
(3) その他の事業
その他の事業としては、学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種支援サービスの提供と、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めるとともに、学生マンションの共用部をシェアリングスペースとして活用するなど、独自性のある価値提供へ向けた取り組みを行っている。その他事業については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると言えるだろう。当期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、学生支援サービス事業では合同企業説明会において企業側の出展取り止めや、合同企業説明会の主催者側での開催中止などもあり、売上高は低調に推移した。また、日本語学校事業では、留学生への入国制限等により、当初見込んでいた時期での受け入れに遅れが生じることとなった。以上のことから、その他の事業は、売上高221百万円(前年同期比12.6%減)、セグメント損失22百万円(前年同期は1百万円の利益)にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 2020年10月期第2四半期の業績概要
2020年10月期第2四半期累計期間における日本経済は、雇用・所得環境の改善などの内需の下支えがありながらも、海外における政治・通商問題も抱え、足踏み感のある景気基調で推移した。その後、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大の影響を受け、個人消費は急速に悪化した。企業収益は感染症拡大による経済活動抑制の影響を強く受け、国内消費の急減速、輸出の大幅な減少と海外生産の急速な低下、さらには原油価格急落の影響もあり、多くの企業において業況判断を大きく引き下げる動きが広がっている。感染拡大の影響により景気悪化の長期化も懸念されるなか、いまだ収束の見通しが立っておらず、先行きについては極めて不透明な状況が続いている。
このような環境下、同社グループにおいては、2017年12月に公表した中期経営計画最終年度を迎え、第2四半期は賃貸入居需要の集中する最繁忙期(3月−4月)であった。高付加価値を備えた競争力のある新規物件開発や大手デベロッパーとの連携の推進、M&Aによる事業会社の取得等を背景に、既に見たように物件管理戸数は順調に増加し、同社グループの募集力や斡旋力の裏付けとなる入居率についても高水準を維持してきた。その結果、先行きの景況感では悪化懸念はあるものの、足元での経営成績については、当初掲げた中期経営計画の目標数値を上回るペースで推移している。
以上から2020年10月期第2四半期累計期間は、売上高25,834百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益4,037百万円(同29.5%増)、経常利益3,964百万円(同28.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益2,654百万円(同28.6%増)の大幅な増収増益となった。また、2019年10月期決算発表時の期初予想に比べると、売上高で2.6%、経常利益で17.1%、親会社株主に帰属する四半期純利益は18.2%も上回る好決算であった。物件管理戸数の増加や高水準の入居率維持により賃貸関連売上高が伸長したことに加え、前年度のシステム刷新に伴う一時的な費用負担が減少したことから、大幅な増収増益となった。
なお、同社グループでは主力事業である不動産賃貸管理事業において、賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期に新規契約件数が増加することから、売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向がある。また広告宣伝活動の積極展開、システム投資などによって、将来の事業発展にも十分に備えていると言える。
2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
新型コロナウイルス感染症の影響で3月から学生の部屋探しが減少した影響で、入居率は前期までの99.9%から99.8%へとわずかに低下したものの、引き続き高水準を維持した。加えて物件管理戸数は72,484戸(前年同期比6,420戸増)と当初計画を上回る増加をしたことで、学生マンションの家賃収入をはじめ、各種不動産賃貸関連サービス収入は順調に推移した。一方、費用面では、戸数増による支払家賃増加や人員数の増加による人件費増加はあったものの、前期に刷新した基幹システムの運用にかかる一時的な人件費増加負担も一巡したことから、比較的緩やかな増加となった。この結果、売上高24,295百万円(前年同期比14.0%増)、セグメント利益4,557百万円(同26.0%増)の大幅な増収増益となった。
このように不動産賃貸管理事業では、当期も物件数の増加に伴い売上高・セグメント利益は右肩上がりで順調に拡大し、人件費等の費用の増加を吸収して高い利益率を維持している。
(2) 高齢者住宅事業
高齢者住宅事業では、これまでの事業譲受による拠点数の増加や事業会社買収に伴い、管理棟数は14棟(前年同期は13棟)に増加した。特に、2019年10月にオープンした滋賀県大津市の「グランメゾン迎賓館大津大将軍」では、事業開始直後ではあるものの、足元での稼働率は当初計画を上回っており、新規オープン直後の原価負担を補い、良好な運営環境で推移している。立地が良く家族が通いやすいことや、病院などからの入居者紹介が多いことなどが、高稼働率の背景にある。また、そのほかの既存施設においても、営業力強化やベッド単価の引き上げ等の損益改善施策により、順調に推移している。その結果、売上高1,318百万円(前年同期比22.9%増)、セグメント利益158百万円(同176.1%増)と、大幅な増収増益となった。
高齢者住宅事業では、施設数の増加に伴い売上高は順調に拡大し、セグメント利益も2017年10月期から黒字に転じている。利益率も新規取得の施設の黒字化には時間がかかることもあり、不動産賃貸管理事業に比べて低い利益率にとどまっているものの、当期は大きく改善している。
(3) その他の事業
その他の事業としては、学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種支援サービスの提供と、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めるとともに、学生マンションの共用部をシェアリングスペースとして活用するなど、独自性のある価値提供へ向けた取り組みを行っている。その他事業については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると言えるだろう。当期は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、学生支援サービス事業では合同企業説明会において企業側の出展取り止めや、合同企業説明会の主催者側での開催中止などもあり、売上高は低調に推移した。また、日本語学校事業では、留学生への入国制限等により、当初見込んでいた時期での受け入れに遅れが生じることとなった。以上のことから、その他の事業は、売上高221百万円(前年同期比12.6%減)、セグメント損失22百万円(前年同期は1百万円の利益)にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<EY>