テクノスJPN Research Memo(9):グローバルビジネスの推進や人財投資にも取り組む
[20/07/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
テクノスジャパン<3666>の成長戦略の方向性は、「企業・人・データをつなぎ社会の発展に貢献する」ことをミッションとして、「LEAD THE CONNECTED SOCIETY TO THE FUTURE〜つながる社会の未来をリードする企業へ〜」(ビジョン)を目指すものである。すなわち、創業以来のノウハウを活かしたERP(企業単位での最適化)の導入や切替だけでなく、様々な最新技術を有するパートナー企業や導入企業との協創によって企業間をデータでつなぐ業界最適型(サプライチェーン全体の最適化)のプラットフォームビジネス構想を強く打ち出している。ERP、CRMと独自プラットフォームの組み合わせ、これが同社が推進するデジタルトランスフォーメーションのかたちと言える。また、成長に向けた今後の投資領域として、「プラットフォームビジネス」のほか、「グローバルビジネス」、「人財・組織」の3つのポイントを挙げている。
1. プラットフォームビジネスの構築
独自のプラットフォーム(CBP)の構築に向けて積極的な投資を行うとともに、顧客企業等との協創により、プラットフォーム上で様々なサービスを展開していく。さらには、そこで蓄積されたビッグデータをAI等により最大限に活用し、顧客のビジネス変革を促進する計画である。まずは「BtoB注文決済サービス」の提供を予定しており、参加企業にとっては、注文から請求業務のシンプル化、サプライチェーンの効率化、柔軟な決済手段への対応などに効果が期待できる。また、同社にとっても、つながったところから1社、1社着実に拡げていくことが可能なうえ、ストック型の安定収益源を確保できるところにメリットがある。しばらくは先行費用のフェーズが続くものの、弊社では2〜3年で年間損益を黒字化すると見ている。
2. グローバルビジネスの推進
買収したLirikのビジネスをベースとして北米市場への展開を目指す。特に、現在の西海岸中心のビジネスからビジネス商圏を拡大していく方針である。一方、グローバルビジネスの日本拠点における推進組織として、「グローバル推進本部」を設置。同社とLirikの強みを結集し、ERP×CRM×AIのビジネスを日本と北米で連携しながら拡大する方針である。また、Lirikのオフショア拠点(インド)の強化によるIT及びAI人材の獲得に加えて、引き続きシリコンバレーの最新技術の発掘・育成を目指していく。
3. 人財・組織への投資
業界における人材不足の問題が深刻化するなかで、海外人材の積極採用を行う方針であり、インド、北米に持つグループネットワークと多様な文化を生かしながら採用実績を積み上げていく考えだ。一方、社員教育にも注力する。特に、日本人社員を買収した海外拠点(米国やインド)へ送り込むなど、グローバル人材の育成にも取り組む。2019年4月には東京(日本橋)にイノベーションセンターを新設。優秀な人材確保のほか、人材育成やイノベーション促進に向けた環境整備、テレワークの推進などに狙いがある。また、最新技術を有するベンチャー企業などパートナーの開拓にも取り組む。
弊社でも、新型コロナウイルス感染拡大の影響については現時点で不透明ではあるものの、その要因を除けば、DX対応を含むERPビジネスだけでも10%を超える潜在的な成長性を有していると評価している。したがって、今後の戦略分野であるプラットフォームビジネスにより、そこにどれだけの上乗せができるかが中長期的なポイントとなろう。特に、プラットフォームビジネスは、これまでのERP・CRMビジネスと比較して事業拡大に向けた制約(人的リソースなど)が少ないうえ、賛同者が集まるほどプラットフォームの価値がさらに高まる正の循環(ネットワーク外部性)が期待できる。また、売上高が損益分岐点を超えると一気に収益性が高まるところや、ERP・CRMビジネスとの連携(セット導入)にも伸びしろがあることから、数年後の成長曲線や収益構造の変化を見据えた評価が必要となろう。新型コロナウイルス感染拡大の影響が一旦業績にマイナスに働く可能性が懸念されるものの、DX実現に向けた構造的な変革は企業のみならず社会全体で取り組むべき課題にもなってきており、同社にとっては社会課題の解決を自社成長に結び付ける大きな機会として捉えることができる。まずは、プラットフォームビジネスの本格稼働に向けた進捗のほか、パートナー企業等との協業を含めた新たな価値の創出にも注目していきたい。また、グローバルビジネスの推進についても、グローバルスタンダードであるSAPやセールスフォースで実績があることや、Lirikの買収により獲得した人材(インド開発拠点を含む)や販路(北米)の活用などから判断すれば、十分に具現性のある戦略と言える。国内のプラットフォームビジネスにより蓄積したノウハウや人材をいかにグローバルに横展開していけるかどうかが、将来的なポテンシャルを左右するものとみている。一方、最大のボトルネックは、業界共通の課題である人材の確保ということになろう。その意味でも人的制約の少ないプラットフォームビジネスへの展開やそれに伴う知的集約型ビジネスの創出に加え、海外人材の獲得を重要な戦略として捉えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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テクノスジャパン<3666>の成長戦略の方向性は、「企業・人・データをつなぎ社会の発展に貢献する」ことをミッションとして、「LEAD THE CONNECTED SOCIETY TO THE FUTURE〜つながる社会の未来をリードする企業へ〜」(ビジョン)を目指すものである。すなわち、創業以来のノウハウを活かしたERP(企業単位での最適化)の導入や切替だけでなく、様々な最新技術を有するパートナー企業や導入企業との協創によって企業間をデータでつなぐ業界最適型(サプライチェーン全体の最適化)のプラットフォームビジネス構想を強く打ち出している。ERP、CRMと独自プラットフォームの組み合わせ、これが同社が推進するデジタルトランスフォーメーションのかたちと言える。また、成長に向けた今後の投資領域として、「プラットフォームビジネス」のほか、「グローバルビジネス」、「人財・組織」の3つのポイントを挙げている。
1. プラットフォームビジネスの構築
独自のプラットフォーム(CBP)の構築に向けて積極的な投資を行うとともに、顧客企業等との協創により、プラットフォーム上で様々なサービスを展開していく。さらには、そこで蓄積されたビッグデータをAI等により最大限に活用し、顧客のビジネス変革を促進する計画である。まずは「BtoB注文決済サービス」の提供を予定しており、参加企業にとっては、注文から請求業務のシンプル化、サプライチェーンの効率化、柔軟な決済手段への対応などに効果が期待できる。また、同社にとっても、つながったところから1社、1社着実に拡げていくことが可能なうえ、ストック型の安定収益源を確保できるところにメリットがある。しばらくは先行費用のフェーズが続くものの、弊社では2〜3年で年間損益を黒字化すると見ている。
2. グローバルビジネスの推進
買収したLirikのビジネスをベースとして北米市場への展開を目指す。特に、現在の西海岸中心のビジネスからビジネス商圏を拡大していく方針である。一方、グローバルビジネスの日本拠点における推進組織として、「グローバル推進本部」を設置。同社とLirikの強みを結集し、ERP×CRM×AIのビジネスを日本と北米で連携しながら拡大する方針である。また、Lirikのオフショア拠点(インド)の強化によるIT及びAI人材の獲得に加えて、引き続きシリコンバレーの最新技術の発掘・育成を目指していく。
3. 人財・組織への投資
業界における人材不足の問題が深刻化するなかで、海外人材の積極採用を行う方針であり、インド、北米に持つグループネットワークと多様な文化を生かしながら採用実績を積み上げていく考えだ。一方、社員教育にも注力する。特に、日本人社員を買収した海外拠点(米国やインド)へ送り込むなど、グローバル人材の育成にも取り組む。2019年4月には東京(日本橋)にイノベーションセンターを新設。優秀な人材確保のほか、人材育成やイノベーション促進に向けた環境整備、テレワークの推進などに狙いがある。また、最新技術を有するベンチャー企業などパートナーの開拓にも取り組む。
弊社でも、新型コロナウイルス感染拡大の影響については現時点で不透明ではあるものの、その要因を除けば、DX対応を含むERPビジネスだけでも10%を超える潜在的な成長性を有していると評価している。したがって、今後の戦略分野であるプラットフォームビジネスにより、そこにどれだけの上乗せができるかが中長期的なポイントとなろう。特に、プラットフォームビジネスは、これまでのERP・CRMビジネスと比較して事業拡大に向けた制約(人的リソースなど)が少ないうえ、賛同者が集まるほどプラットフォームの価値がさらに高まる正の循環(ネットワーク外部性)が期待できる。また、売上高が損益分岐点を超えると一気に収益性が高まるところや、ERP・CRMビジネスとの連携(セット導入)にも伸びしろがあることから、数年後の成長曲線や収益構造の変化を見据えた評価が必要となろう。新型コロナウイルス感染拡大の影響が一旦業績にマイナスに働く可能性が懸念されるものの、DX実現に向けた構造的な変革は企業のみならず社会全体で取り組むべき課題にもなってきており、同社にとっては社会課題の解決を自社成長に結び付ける大きな機会として捉えることができる。まずは、プラットフォームビジネスの本格稼働に向けた進捗のほか、パートナー企業等との協業を含めた新たな価値の創出にも注目していきたい。また、グローバルビジネスの推進についても、グローバルスタンダードであるSAPやセールスフォースで実績があることや、Lirikの買収により獲得した人材(インド開発拠点を含む)や販路(北米)の活用などから判断すれば、十分に具現性のある戦略と言える。国内のプラットフォームビジネスにより蓄積したノウハウや人材をいかにグローバルに横展開していけるかどうかが、将来的なポテンシャルを左右するものとみている。一方、最大のボトルネックは、業界共通の課題である人材の確保ということになろう。その意味でも人的制約の少ないプラットフォームビジネスへの展開やそれに伴う知的集約型ビジネスの創出に加え、海外人材の獲得を重要な戦略として捉えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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