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平和RE Research Memo(3):分配金は9期連続でスポンサー変更後の最高値を更新

注目トピックス 日本株
■平和不動産リート投資法人<8966>の業績動向

1. 2020年5月期の業績概要
2020年5月期における国内経済は、企業収益の改善に伴う設備投資の増加や雇用・所得環境の改善が継続し、2019年10月からの消費税増税による個人消費への影響はあったものの、外需の持ち直しと内需の底堅さに支えられ、全体としては緩やかな回復基調でスタートした。しかし、後半は新型コロナウイルス感染症の発生・拡大により景気は大幅に下押しされ、先行きの不透明感が増した。

このような環境下、2020年5月期(第37期)決算は、営業収益6,588百万円(前期比4.1%増)、営業利益3,206百万円(同8.1%増)、経常利益2,788百万円(同11.2%増)、当期純利益2,788百万円(同11.2%減)の増収増益となった。賃料収入の増加に加え、期初には予想していなかったHF麻布十番レジデンスの譲渡益331百万円の計上があり、2020年1月16日発表の期初予想をすべて大きく上回った。なお、REITでは、税引前利益の90%超を分配金として支払う場合には法人税が免除されることから、当期純利益は経常利益とほぼ同水準となっている。また、実力ベースの収益力を示す、賃貸収益ベースの1口当たり当期純利益(譲渡益等の一時的要因を除く)は前期比150円増と好調であったことから、1口当たり分配金を期初予想の2,525円を上回る2,550円(同50円増)とし、9期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。なお、譲渡益の一部は分配金に充当するものの、残額は内部留保することで将来の分配金支払い等の原資として活用する方針である。

その他、ポートフォリオ全体の期中平均稼働率は97.70%と、引き続き高水準を維持したことに加え、オフィスの期中平均稼働率が99.70%と過去最高値を更新した。一方、レジデンスは繁忙期を迎え(レジデンスでは5月期は3月・4月を含む繁忙期となるが、11月期は非繁忙期)、期中平均稼働率は4月以降に新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたものの、3月末には97.94%と過去最高水準を更新した。また、稼働率の高位安定、賃料改定の進展などに伴い、NOI利回り(実質利回りとも言う、(賃貸事業収入−賃貸事業費用)(年換算)/期中平均帳簿価額×100で計算)は5.44%と、過去最高水準を更新した。

2. 財政状態
2020年5月期の財政状態は、総資産188,326百万円(前期末比1.3%増)、純資産95,974百万円(同0.3%増)、有利子負債84,667百万円(同2.7%増)であった。2020年5月期のファイナンス・コストは0.592%と既存の調達コストを下回り、平均調達金利は0.805%と過去最低を更新した。また、有利子負債の平均調達年数は6.94年であった。今後も、主要金融機関との良好な関係のもと、比較的金利水準が高い過去の借入金が満期を迎えることで、緩やかな調達コストの低下が見込まれる。長期借入金固定化比率を95%として、将来の金利上昇リスクに備えている。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を考慮し、大手都銀からのコミットメントライン(必要な時に借りられる、銀行からの融資枠)を70億円(同10億円増)に拡大して、不測の事態にも対応できるように、手許流動性を拡充している。

一方、鑑定LTV比率(期末の鑑定評価額(帳簿価額+含み損益)に対する有利子負債の割合)は40.2%と良好な低水準を維持している。同REITでは、同比率40〜50%を標準水準として維持し、上限を65%に設定しているが、鑑定評価額の増加に伴って同比率の低下が続いており、借入余力が拡大したことで、より機動的な物件取得が可能になっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)




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