ムサシ Research Memo(5):2021年3月期は第3四半期からの回復を見込む
[20/08/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ムサシ<7521>の今期の見通し
1. 2021年3月期第1四半期の業績概要
すでに2021年3月期第1四半期の決算が発表されており、売上高は6,579百万円(前年同期比30.1%減)、営業利益は120百万円の損失(前年同期は468百万円の利益)、経常利益は102百万円の損失(同473百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は94百万円の損失(同315百万円の利益)となった。
選挙システム機材は、東京都知事選挙をはじめ全国の地方選挙向けに、投票用紙交付機や読取分類機などの機器販売が順調だったものの、昨年実施された参議院選挙や統一地方選挙など大型選挙の実施が無かったため反動減の影響を受けた。また、印刷システム機材は、コロナ拡大に伴う各種イベントの中止や店舗の営業自粛等により商業印刷物の需要が大幅に減少し機材販売が落ち込んだ。紙・紙加工品についても、印刷物の需要減少の影響で印刷用紙や情報用紙などの販売が低調に推移した。
2. 2021年3月期業績予想
同社では当初、コロナ拡大の影響を合理的に見積もることが困難であることから、通期の業績予想を未定としていた。しかし緊急事態宣言の解除後、経済活動が徐々に戻りつつあり、売上回復の時期がある程度予想できる状況になったため、現時点で入手可能な情報や予測に基づいた業績予想を公表した。それによると、2021年3月期通期の売上高は33,447百万円(前期比11.0%減)、営業利益は151百万円(同85.3%減)、経常利益は216百万円(同82.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は43百万円(同95.0%減)が見込まれている。
今後、経済の急速な停滞が再び発生しないことを前提に、コロナ拡大で落ち込んだ各事業の需要は、第3四半期から徐々に回復し、今期末には例年の8割から9割程度まで回復すると見込んでいる。
なお、衆議院議員の任期満了は2021年10月であるが、仮に2021年3月期中に衆議院が解散し選挙が実施されることになれば、選挙システム機材事業の売上高が大幅にアップし、全体収益に対して大きなプラス効果が加わることで予想利益が一変することになる。
セグメント別の業績は、以下のように予想している。
(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
a) 情報・産業システム機材
スキャナー等の電子化機器については、引き続き堅調な更新需要が見込まれるほか、コロナ禍でのテレワーク環境の構築に関する新規需要を取り込むことで販売拡大を目指す。工業用検査機材については、製造業の業務再開や回復等により検査需要は今後も堅調に推移すると見ている。一方、業務用ろ過フィルターについては、外食産業の営業再開で飲料需要が上向くと予想されるものの、飲食業の顧客数が元に戻らない限り需要の完全回復は見込めないため、顧客市場の拡大がポイントとなる。文書のデジタル化事業では、デジタル化作業現場におけるコロナ感染防止対策や作業従事者の勤務状況等が今後も継続する限り、案件の先送りや作業効率の低下による納期遅延などの影響を受ける可能性がある。
b) 印刷システム機材
元々減少傾向にあった印刷物の需要が、コロナ禍における各種イベントの中止や、店舗の営業自粛等により、さらに急速に落ち込んだため、今後、社会活動の回復に同調した印刷需要の復元は期待できない見通し。また、レーザー加工機を含むCTPやPODなど機器の販売についても印刷物需要の回復動向を背景に、時間差をもって推移する見込みである。
(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
a) 選挙システム機材
2021年3月期は、昨年実施された参議院選挙や統一地方選挙など全国規模の大型選挙の予定がなく反動減の影響を受けているが、全国各地の地方選挙は予定通り実施されており、機器やシステム、用品用具等の販売にコロナ禍でのマイナスの影響はないと見ている。仮に2021年3月期中に衆議院選挙が実施される場合は大きなプラス効果が発生する。
b) 金融汎用システム機材
金融機関でのキャッシュレス志向の高まりや新たな店舗形態の模索などにより、設備投資にマイナス影響が見られる。
(3) 紙・紙加工品セグメント
経済活動の停滞やテレワークの導入等により印刷・情報用紙の需要減少が加速し、堅調であった紙器用板紙もインバウンド需要の激減でマイナスの影響を受ける見込みである。
(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメント
不動産賃貸業、リース事業等は堅調に推移する見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
1. 2021年3月期第1四半期の業績概要
すでに2021年3月期第1四半期の決算が発表されており、売上高は6,579百万円(前年同期比30.1%減)、営業利益は120百万円の損失(前年同期は468百万円の利益)、経常利益は102百万円の損失(同473百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は94百万円の損失(同315百万円の利益)となった。
選挙システム機材は、東京都知事選挙をはじめ全国の地方選挙向けに、投票用紙交付機や読取分類機などの機器販売が順調だったものの、昨年実施された参議院選挙や統一地方選挙など大型選挙の実施が無かったため反動減の影響を受けた。また、印刷システム機材は、コロナ拡大に伴う各種イベントの中止や店舗の営業自粛等により商業印刷物の需要が大幅に減少し機材販売が落ち込んだ。紙・紙加工品についても、印刷物の需要減少の影響で印刷用紙や情報用紙などの販売が低調に推移した。
2. 2021年3月期業績予想
同社では当初、コロナ拡大の影響を合理的に見積もることが困難であることから、通期の業績予想を未定としていた。しかし緊急事態宣言の解除後、経済活動が徐々に戻りつつあり、売上回復の時期がある程度予想できる状況になったため、現時点で入手可能な情報や予測に基づいた業績予想を公表した。それによると、2021年3月期通期の売上高は33,447百万円(前期比11.0%減)、営業利益は151百万円(同85.3%減)、経常利益は216百万円(同82.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は43百万円(同95.0%減)が見込まれている。
今後、経済の急速な停滞が再び発生しないことを前提に、コロナ拡大で落ち込んだ各事業の需要は、第3四半期から徐々に回復し、今期末には例年の8割から9割程度まで回復すると見込んでいる。
なお、衆議院議員の任期満了は2021年10月であるが、仮に2021年3月期中に衆議院が解散し選挙が実施されることになれば、選挙システム機材事業の売上高が大幅にアップし、全体収益に対して大きなプラス効果が加わることで予想利益が一変することになる。
セグメント別の業績は、以下のように予想している。
(1) 情報・印刷・産業システム機材セグメント
a) 情報・産業システム機材
スキャナー等の電子化機器については、引き続き堅調な更新需要が見込まれるほか、コロナ禍でのテレワーク環境の構築に関する新規需要を取り込むことで販売拡大を目指す。工業用検査機材については、製造業の業務再開や回復等により検査需要は今後も堅調に推移すると見ている。一方、業務用ろ過フィルターについては、外食産業の営業再開で飲料需要が上向くと予想されるものの、飲食業の顧客数が元に戻らない限り需要の完全回復は見込めないため、顧客市場の拡大がポイントとなる。文書のデジタル化事業では、デジタル化作業現場におけるコロナ感染防止対策や作業従事者の勤務状況等が今後も継続する限り、案件の先送りや作業効率の低下による納期遅延などの影響を受ける可能性がある。
b) 印刷システム機材
元々減少傾向にあった印刷物の需要が、コロナ禍における各種イベントの中止や、店舗の営業自粛等により、さらに急速に落ち込んだため、今後、社会活動の回復に同調した印刷需要の復元は期待できない見通し。また、レーザー加工機を含むCTPやPODなど機器の販売についても印刷物需要の回復動向を背景に、時間差をもって推移する見込みである。
(2) 金融汎用・選挙システム機材セグメント
a) 選挙システム機材
2021年3月期は、昨年実施された参議院選挙や統一地方選挙など全国規模の大型選挙の予定がなく反動減の影響を受けているが、全国各地の地方選挙は予定通り実施されており、機器やシステム、用品用具等の販売にコロナ禍でのマイナスの影響はないと見ている。仮に2021年3月期中に衆議院選挙が実施される場合は大きなプラス効果が発生する。
b) 金融汎用システム機材
金融機関でのキャッシュレス志向の高まりや新たな店舗形態の模索などにより、設備投資にマイナス影響が見られる。
(3) 紙・紙加工品セグメント
経済活動の停滞やテレワークの導入等により印刷・情報用紙の需要減少が加速し、堅調であった紙器用板紙もインバウンド需要の激減でマイナスの影響を受ける見込みである。
(4) 不動産賃貸・リース事業等セグメント
不動産賃貸業、リース事業等は堅調に推移する見通しである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>