ムサシ Research Memo(6):選挙関連ビジネスをベースに様々な注力事業の拡大で持続的成長の実現を目指す(1)
[20/08/27]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■ムサシ<7521>の中長期成長戦略
選挙関連ビジネスを中心に既存事業を伸ばすことに注力するのは言うまでもないが、今後は特にメディアコンバート事業、業務用ろ過フィルター事業、社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』事業、選挙関連事業の4分野に注力して業績を伸ばしていく方針だ。
1. メディアコンバート事業
同社のメディアコンバート事業の概要や特色は前述のとおりだが、加えて2019年に特殊なデジタル化技術を手に入れデジタルアーカイブ事業を強化した。具体的には、独自のデジタルアーカイブシステム「RoDA」(ロダ)のリリースである。このシステムはスキャナーやデジタルカメラで作成された高精細画像を美しい画質のまま効率的に圧縮・保存・利用することを可能にする技術だ。
デジタルカメラなどの性能向上により、美術品や古文書などの文化遺産を高精細画像にすることは容易だが、それらをインターネット上でスムーズに拡大しストレスなく閲覧することは実は簡単ではない。高精細画像を圧縮・保存・利用するための国際規格としてJPEG2000があるが、問題はこの規格に沿って画像の処理を行うと、非常に動作が重くなり実用性が著しく損なわれる点にある。新システム「RoDA」はこの点を解決する画期的な技術だ。
RoDAの効果は、大きく2つ挙げることができる。1つは他社との差別化だ。JPEG2000の規格を利用しようとする際は、RoDA技術を有する同社はほとんどのケースで検討対象に入ることとなり、そのうちのかなりの割合がRoDAを採用することになると期待される。第2はメディアコンバート事業にとっての新市場が創出されることだ。図書館・公文書館の文書や美術館・博物館の収蔵品の画像について、JPEG2000規格でのデジタル化を強力に推進することが可能となった。これらの事業が収益に本格的に貢献するまでには多少時間を要することが予想されるが、貴重な文化財の保存・保管に貢献するだけでなく、一般市民が貴重な文化財や美術品等にオリジナルに近い状態で接する機会を増やすことは社会的な要請でもあるため、今後は全国の図書館や公文書館、博物館、美術館、自治体などへ積極的な営業展開を行う計画だ。
また、足元では経済に大きなダメージを与えているコロナ拡大防止策として「テレワーク」が急ピッチで推進されている。このテレワークを実現するためには、必要な文書等をデジタルデータ化し、オフィスと同じ事務処理をリモートで行うことを可能にする環境整備が必要である。よって、業種や職種を問わずこれまで以上の様々な文書のデジタル化需要が拡大していることは確実である。現在、同社ではこれら需要を取り込むべく営業活動を強化している。
今後のメディアコンバート事業全体の事業環境としては、以下のような状況が考えられる。
(1) 民間企業の需要
民間企業の需要は、拡大傾向にあるが、その背景として以下4点が挙げられる。
a) 業務効率向上のためのIT化進展=財務・税務書類:電子化文書で保存可能
b) 「e文書法」施行(2005年4月)
c) 企業改革法(日本版SOX法)、個人情報保護法の施行:文書管理の強化
d) マイナンバー制度の運用
(2) 官公庁・自治体の需要
「電子政府・電子自治体の推進」を基本方針とし、行政情報公開、申請届出のオンラインワンストップサービスの整備など、情報のデジタル化と情報活用のネットワーク網の整備を推進している。具体的には、以下2点が挙げられる。
a) 「国土強靭化計画」
社会インフラ設備資料の電子化(建設後50年超の老朽化が進むインフラ施設の管理)
→関連データの一元管理
→膨大な情報のデジタル化
b) 「公文書管理法」の施行(2011年)=各省庁における行政文書の管理強化
→各自治体へも公文書の管理強化が波及
(3) セキュリティ対策の需要
セキュリティ対策の需要は、官公庁・自治体・民間企業いずれにおいてもあるが、震災の教訓から、紙媒体による文書保管のリスクが指摘され、データの分散化、文書のデジタル化・マイクロフィルム化促進といったニーズがある。
(4) 働き方改革に対する需要
先述のコロナ拡大防止策として「テレワーク推進」のための文書デジタル化ニーズがある。このことは日本の労働生産性の向上にも貢献する。
このような環境のもと、同社ではあらゆる市場に向けて取り組みを強化し、メディアコンバート事業を同社グループの収益柱に成長させる計画だ。具体的には、民間企業の需要には、同社主導の提案営業を強化し、売上高の拡大を図る。また、官公庁・自治体の需要(大口案件、入札)に対しては、採算性重視の選別受注により適正収益を確保する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
選挙関連ビジネスを中心に既存事業を伸ばすことに注力するのは言うまでもないが、今後は特にメディアコンバート事業、業務用ろ過フィルター事業、社会インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』事業、選挙関連事業の4分野に注力して業績を伸ばしていく方針だ。
1. メディアコンバート事業
同社のメディアコンバート事業の概要や特色は前述のとおりだが、加えて2019年に特殊なデジタル化技術を手に入れデジタルアーカイブ事業を強化した。具体的には、独自のデジタルアーカイブシステム「RoDA」(ロダ)のリリースである。このシステムはスキャナーやデジタルカメラで作成された高精細画像を美しい画質のまま効率的に圧縮・保存・利用することを可能にする技術だ。
デジタルカメラなどの性能向上により、美術品や古文書などの文化遺産を高精細画像にすることは容易だが、それらをインターネット上でスムーズに拡大しストレスなく閲覧することは実は簡単ではない。高精細画像を圧縮・保存・利用するための国際規格としてJPEG2000があるが、問題はこの規格に沿って画像の処理を行うと、非常に動作が重くなり実用性が著しく損なわれる点にある。新システム「RoDA」はこの点を解決する画期的な技術だ。
RoDAの効果は、大きく2つ挙げることができる。1つは他社との差別化だ。JPEG2000の規格を利用しようとする際は、RoDA技術を有する同社はほとんどのケースで検討対象に入ることとなり、そのうちのかなりの割合がRoDAを採用することになると期待される。第2はメディアコンバート事業にとっての新市場が創出されることだ。図書館・公文書館の文書や美術館・博物館の収蔵品の画像について、JPEG2000規格でのデジタル化を強力に推進することが可能となった。これらの事業が収益に本格的に貢献するまでには多少時間を要することが予想されるが、貴重な文化財の保存・保管に貢献するだけでなく、一般市民が貴重な文化財や美術品等にオリジナルに近い状態で接する機会を増やすことは社会的な要請でもあるため、今後は全国の図書館や公文書館、博物館、美術館、自治体などへ積極的な営業展開を行う計画だ。
また、足元では経済に大きなダメージを与えているコロナ拡大防止策として「テレワーク」が急ピッチで推進されている。このテレワークを実現するためには、必要な文書等をデジタルデータ化し、オフィスと同じ事務処理をリモートで行うことを可能にする環境整備が必要である。よって、業種や職種を問わずこれまで以上の様々な文書のデジタル化需要が拡大していることは確実である。現在、同社ではこれら需要を取り込むべく営業活動を強化している。
今後のメディアコンバート事業全体の事業環境としては、以下のような状況が考えられる。
(1) 民間企業の需要
民間企業の需要は、拡大傾向にあるが、その背景として以下4点が挙げられる。
a) 業務効率向上のためのIT化進展=財務・税務書類:電子化文書で保存可能
b) 「e文書法」施行(2005年4月)
c) 企業改革法(日本版SOX法)、個人情報保護法の施行:文書管理の強化
d) マイナンバー制度の運用
(2) 官公庁・自治体の需要
「電子政府・電子自治体の推進」を基本方針とし、行政情報公開、申請届出のオンラインワンストップサービスの整備など、情報のデジタル化と情報活用のネットワーク網の整備を推進している。具体的には、以下2点が挙げられる。
a) 「国土強靭化計画」
社会インフラ設備資料の電子化(建設後50年超の老朽化が進むインフラ施設の管理)
→関連データの一元管理
→膨大な情報のデジタル化
b) 「公文書管理法」の施行(2011年)=各省庁における行政文書の管理強化
→各自治体へも公文書の管理強化が波及
(3) セキュリティ対策の需要
セキュリティ対策の需要は、官公庁・自治体・民間企業いずれにおいてもあるが、震災の教訓から、紙媒体による文書保管のリスクが指摘され、データの分散化、文書のデジタル化・マイクロフィルム化促進といったニーズがある。
(4) 働き方改革に対する需要
先述のコロナ拡大防止策として「テレワーク推進」のための文書デジタル化ニーズがある。このことは日本の労働生産性の向上にも貢献する。
このような環境のもと、同社ではあらゆる市場に向けて取り組みを強化し、メディアコンバート事業を同社グループの収益柱に成長させる計画だ。具体的には、民間企業の需要には、同社主導の提案営業を強化し、売上高の拡大を図る。また、官公庁・自治体の需要(大口案件、入札)に対しては、採算性重視の選別受注により適正収益を確保する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>