ムサシ Research Memo(7):選挙関連ビジネスをベースに様々な注力事業の拡大で持続的成長の実現を目指す(2)
[20/08/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期成長戦略
2. 業務用ろ過フィルター事業
この事業は富士フイルムが開発・製造するろ過フィルター「ミクロフィルター」の販売代理店事業だ。ムサシ<7521>は国内市場の総販売代理店の地位にある。このろ過フィルターは食品・飲料、エレクトロニクス(半導体、電子部品等)、医療などの各分野で幅広く利用されており、ろ過フィルターの国内市場規模は約4,800億円とみられている。
富士フイルムのミクロフィルターはこの市場では後発組(先発は主に外資系企業)であるが、独自の非対称膜構造による優れたろ過機能やロングライフ(長寿命)をセールスポイントに着実に販売を伸ばしている。この事業は2018年1月にスタートしたが、売上高は2019年3月期の531百万円から2020年3月期には617百万円へ順調に拡大した。利益面では、既に現状でも利益を出しているようだが、同社としては早期に区切りとなる売上高10億円を突破し、存在感のある事業へと育て上げたい考えだ。ろ過フィルターの国内市場は約4,800億円であるが、同社の製品にとってのターゲット市場は約500億円とみられる。そこでシェア10%を獲得することが当面の中期的目標になると弊社ではみている。
3. 画像診断サービス『ひびみっけ』事業
インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』は、富士フイルムが医療用画像診断システムの技術を生かして橋梁やトンネルなどの社会インフラの点検をサポートするサービスだ。同社はこれについても販売代理店として地方自治体や検査会社等への営業活動を行っている。主要な営業先の1つが地方自治体となるため、選挙関連ビジネスを通じて全国の地方自治体にパイプを有する同社は、営業部隊の主力として大きな期待がかけられている。
『ひびみっけ』の実体的な収益貢献はこれからだ。インフラ点検業務は現状では近接目視が基本になっているためだ。すでに国(国土交通省)は点検業務での画像利用のための準備を進めており、近い将来には『ひびみっけ』を活用できる環境が整ってくるとみられる。
4. 選挙関連事業
選挙関連の市場に対しては“成熟市場”というイメージもあるが、弊社では“成長市場”だと捉えている。そう考える理由は、国政選挙の有無で年ごとの市場規模が大きく変動するなかにあっても、peak-to-peakで見れば右肩上がりで推移しているためだ。
この要因はいろいろ考えられるが、もっとも大きいのは省力化(省人化)ニーズの高まりであり、これは投票業務と開票業務の双方に共通した要因だ。投票業務については期日前投票の増加や有権者年齢引き下げなどが背景にある。一方で開票業務については、迅速かつ正確な開票作業へのニーズと、それと相反する人件費削減の社会的要請が背景にあると考えられる。
さらに、現在のコロナ禍において同事業の市場拡大が明らかになりつつあることは注目すべきだ。今期は7月の東京都知事選挙をはじめ、春以降に予定されていた地方選挙はコロナ禍においても予定通り実施された。その中で、選挙を運営する自治体はウイルス感染を防止するため、投票所においては投票者にソーシャルディスタンスを守ることへの協力を求めたほか、投票所の入場制限を設けるなどの対策を行った。一方、投票所内では、投票者の投票にかかる時間を短縮するため、投票者の本人確認の迅速化に取り組むと共に、投票用紙を従来の手渡しから機械による交付に改める自治体が増えた。このことは、同社の投票業務管理システムや投票用紙交付機の需要拡大に直結する。
また、開票所においては、自治体の職員が開票作業を行うが、ここでも作業の3密を避けるため従事者数の削減を行った自治体が数多くあった。そして、人員削減による作業スピードの低下をカバーするため、機械を増設するなど一層の機械化による業務の高効率化を行なった。このことは、同社が市場で圧倒的な高いシェアを持つ投票用紙読取分類機や、投票用紙計数機など開票作業向け効率化機器の市場拡大を意味する。
このように、同社の選挙関連事業は、更新需要だけでも安定成長が十分可能と考えられていたが、ウィズ(with)コロナの時代においては、投票者や開票従事者の安全安心を担保するために不可欠なものとして価値を高め、さらなる事業拡大へと進みだしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
2. 業務用ろ過フィルター事業
この事業は富士フイルムが開発・製造するろ過フィルター「ミクロフィルター」の販売代理店事業だ。ムサシ<7521>は国内市場の総販売代理店の地位にある。このろ過フィルターは食品・飲料、エレクトロニクス(半導体、電子部品等)、医療などの各分野で幅広く利用されており、ろ過フィルターの国内市場規模は約4,800億円とみられている。
富士フイルムのミクロフィルターはこの市場では後発組(先発は主に外資系企業)であるが、独自の非対称膜構造による優れたろ過機能やロングライフ(長寿命)をセールスポイントに着実に販売を伸ばしている。この事業は2018年1月にスタートしたが、売上高は2019年3月期の531百万円から2020年3月期には617百万円へ順調に拡大した。利益面では、既に現状でも利益を出しているようだが、同社としては早期に区切りとなる売上高10億円を突破し、存在感のある事業へと育て上げたい考えだ。ろ過フィルターの国内市場は約4,800億円であるが、同社の製品にとってのターゲット市場は約500億円とみられる。そこでシェア10%を獲得することが当面の中期的目標になると弊社ではみている。
3. 画像診断サービス『ひびみっけ』事業
インフラ画像診断サービス『ひびみっけ』は、富士フイルムが医療用画像診断システムの技術を生かして橋梁やトンネルなどの社会インフラの点検をサポートするサービスだ。同社はこれについても販売代理店として地方自治体や検査会社等への営業活動を行っている。主要な営業先の1つが地方自治体となるため、選挙関連ビジネスを通じて全国の地方自治体にパイプを有する同社は、営業部隊の主力として大きな期待がかけられている。
『ひびみっけ』の実体的な収益貢献はこれからだ。インフラ点検業務は現状では近接目視が基本になっているためだ。すでに国(国土交通省)は点検業務での画像利用のための準備を進めており、近い将来には『ひびみっけ』を活用できる環境が整ってくるとみられる。
4. 選挙関連事業
選挙関連の市場に対しては“成熟市場”というイメージもあるが、弊社では“成長市場”だと捉えている。そう考える理由は、国政選挙の有無で年ごとの市場規模が大きく変動するなかにあっても、peak-to-peakで見れば右肩上がりで推移しているためだ。
この要因はいろいろ考えられるが、もっとも大きいのは省力化(省人化)ニーズの高まりであり、これは投票業務と開票業務の双方に共通した要因だ。投票業務については期日前投票の増加や有権者年齢引き下げなどが背景にある。一方で開票業務については、迅速かつ正確な開票作業へのニーズと、それと相反する人件費削減の社会的要請が背景にあると考えられる。
さらに、現在のコロナ禍において同事業の市場拡大が明らかになりつつあることは注目すべきだ。今期は7月の東京都知事選挙をはじめ、春以降に予定されていた地方選挙はコロナ禍においても予定通り実施された。その中で、選挙を運営する自治体はウイルス感染を防止するため、投票所においては投票者にソーシャルディスタンスを守ることへの協力を求めたほか、投票所の入場制限を設けるなどの対策を行った。一方、投票所内では、投票者の投票にかかる時間を短縮するため、投票者の本人確認の迅速化に取り組むと共に、投票用紙を従来の手渡しから機械による交付に改める自治体が増えた。このことは、同社の投票業務管理システムや投票用紙交付機の需要拡大に直結する。
また、開票所においては、自治体の職員が開票作業を行うが、ここでも作業の3密を避けるため従事者数の削減を行った自治体が数多くあった。そして、人員削減による作業スピードの低下をカバーするため、機械を増設するなど一層の機械化による業務の高効率化を行なった。このことは、同社が市場で圧倒的な高いシェアを持つ投票用紙読取分類機や、投票用紙計数機など開票作業向け効率化機器の市場拡大を意味する。
このように、同社の選挙関連事業は、更新需要だけでも安定成長が十分可能と考えられていたが、ウィズ(with)コロナの時代においては、投票者や開票従事者の安全安心を担保するために不可欠なものとして価値を高め、さらなる事業拡大へと進みだしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>