ダイコク電 Research Memo(1):厳しい環境が続くなかで、AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」が業績寄与
[20/08/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35%を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,504店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発や継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策、「新規則」機への置換えなど)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も重なり、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。一方、2019年6月には、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、今後の事業拡大に向けて本格的に動き出した。「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、市場シェア拡大と収益力の向上を目指している。
2. 2020年3月期の業績
2020年3月期の業績は、売上高が前期比5.6%増の32,922百万円、営業利益が同6.3%減の1,431百万円と増収減益となった。ただ、利益面では計画を上回る着地となっている。売上高は、「情報システム事業」が計画を上回るペースで伸長。特に、新たに市場投入したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」が増収に寄与した。一方、「制御システム事業」は、市場全体の新台販売台数減少に伴う遊技機メーカーの販売計画見直しなどにより、表示及び制御ユニットの販売が下期にかけて大きく落ち込んだ。利益面では、減価償却費や販促費が増加したことから営業減益となったものの、収益性の高いMGサービスの伸びなどにより計画を上回ることができた。
3. 2021年3月期の業績予想
2021年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比15.0%減の28,000百万円、営業利益を同72.1%減の400百万円と減収減益を見込んでいる。ただ、下期偏重の業績予想となっていることに注意が必要である。売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響(ホール休業や時短営業等)や、それに伴う投資意欲の冷え込み等により、上期が大きく落ち込むものの、下期にかけて段階的に市場環境が正常化し、同社の業績も回復に向かう想定となっている。特に、パチンコ新内規(遊タイム)機種への入れ替えや大手ホール企業によるM&Aの動きが市場活性化に寄与するものと見ているようだ。利益面でも、上期において大幅な損失計上を見込んでおり、通期では利益を確保するものの前期比では大きく減益となる想定である。
4. 今後の戦略的方向性
同社は、規則改正などパチンコ業界を取り巻く環境の変化に対して、中長期的には業界がさらに幅広く社会に支持される産業へ進化する好機と捉えている。特に、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」及び次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、業界の発展に貢献すると同時に、同社自身の成長力及び収益力の向上へと結びつける方針である。弊社でも、中長期的な視点から、業界全体の活性化に向けた取り組みのほか、異業種を含めたM&Aの動きにも注目している。
■Key Points
・2020年3月期は増収減益となるが、利益面では計画を上回る着地
・厳しい業界環境が続くなかで、新製品のAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」が業績寄与。注力するMGサービスも順調に伸長
・2021年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により減収減益を見込む。上期業績は大きく落ち込むものの、下期には回復に向かう想定
・「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、データ活用による新たな価値の提供により、市場シェアの拡大と収益力の向上を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業概要
ダイコク電機<6430>は、パチンコホール向けコンピュータシステムの開発・製造・販売のほか、パチンコ遊技機の表示・制御ユニット及びパチスロ遊技機の開発・製造・販売等を2本柱としている。主力のホールコンピュータ分野では、デファクトスタンダードとなっている管理手法の提供等により、業界No.1の市場シェア約35%を握る。また、パチンコホールの経営を支援する業界随一の会員制情報提供サービス「DK-SIS」では、会員数3,504店とのネットワークを形成し、同社の事業基盤を支えている。
同社は、年々縮小傾向にあるパチンコ市場等を踏まえ、次世代ホールコンピュータの開発や継続的に収益が得られるストック型ビジネスモデルへの転換など、中長期を見据えた事業改革を推進してきた。ただ、一連の規則改正等(出玉制限や依存症対策、「新規則」機への置換えなど)を通じて、パチンコ業界が大きな転換点を迎えるなかで、新型コロナウイルス感染症拡大の影響も重なり、先行き不透明感の影響から足元業績は厳しい状況が続いている。一方、2019年6月には、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」をリリースし、今後の事業拡大に向けて本格的に動き出した。「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、市場シェア拡大と収益力の向上を目指している。
2. 2020年3月期の業績
2020年3月期の業績は、売上高が前期比5.6%増の32,922百万円、営業利益が同6.3%減の1,431百万円と増収減益となった。ただ、利益面では計画を上回る着地となっている。売上高は、「情報システム事業」が計画を上回るペースで伸長。特に、新たに市場投入したAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」が増収に寄与した。一方、「制御システム事業」は、市場全体の新台販売台数減少に伴う遊技機メーカーの販売計画見直しなどにより、表示及び制御ユニットの販売が下期にかけて大きく落ち込んだ。利益面では、減価償却費や販促費が増加したことから営業減益となったものの、収益性の高いMGサービスの伸びなどにより計画を上回ることができた。
3. 2021年3月期の業績予想
2021年3月期の業績予想について同社は、売上高を前期比15.0%減の28,000百万円、営業利益を同72.1%減の400百万円と減収減益を見込んでいる。ただ、下期偏重の業績予想となっていることに注意が必要である。売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響(ホール休業や時短営業等)や、それに伴う投資意欲の冷え込み等により、上期が大きく落ち込むものの、下期にかけて段階的に市場環境が正常化し、同社の業績も回復に向かう想定となっている。特に、パチンコ新内規(遊タイム)機種への入れ替えや大手ホール企業によるM&Aの動きが市場活性化に寄与するものと見ているようだ。利益面でも、上期において大幅な損失計上を見込んでおり、通期では利益を確保するものの前期比では大きく減益となる想定である。
4. 今後の戦略的方向性
同社は、規則改正などパチンコ業界を取り巻く環境の変化に対して、中長期的には業界がさらに幅広く社会に支持される産業へ進化する好機と捉えている。特に、業界初となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」及び次世代製品群によるシェア拡大のほか、データ分析力や企画開発力を生かした新たな価値の創出により、業界の発展に貢献すると同時に、同社自身の成長力及び収益力の向上へと結びつける方針である。弊社でも、中長期的な視点から、業界全体の活性化に向けた取り組みのほか、異業種を含めたM&Aの動きにも注目している。
■Key Points
・2020年3月期は増収減益となるが、利益面では計画を上回る着地
・厳しい業界環境が続くなかで、新製品のAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」が業績寄与。注力するMGサービスも順調に伸長
・2021年3月期は新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により減収減益を見込む。上期業績は大きく落ち込むものの、下期には回復に向かう想定
・「新規則」機による新たな時代に向けて、ホール経営の効率化・省力化に貢献するとともに、データ活用による新たな価値の提供により、市場シェアの拡大と収益力の向上を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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