MRO Research Memo(1):2020年12月期第2四半期は売上高・各利益ともに堅調に推移
[20/08/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。近年は大企業向け(大企業連携)も急成長している。483.5万口座(2020年6月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品59.0万点(うち自社保有在庫で46.1万点)を販売する。
1. 2020年12月期第2四半期の単体業績
同社の2020年12月期第2四半期単体業績は、売上高は前年同期比20.0%増の72,651百万円、営業利益は同21.0%増の9,572百万円、経常利益は同21.2%増の9,586百万円、四半期純利益は同21.4%増の6,662百万円となった。売上高・各利益ともに20%を超える成長を達成した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で顧客の購買行動が変化するなか、期初計画を上回った。売上高に関しては、新型コロナウイルス対策関連商品の売上の増加などにより、年初計画を1.2%超えて進捗した。新規顧客獲得では、検索エンジンへのインターネット広告の出稿(リスティング広告)と自社サイトを検索エンジンにおいて上位に表すための検索エンジン最適化(SEO)が奏功した。また、新型コロナウイルス対策関連商品を求める個人顧客が増えたことなどにより獲得口座数が大幅に拡大した。通販事業(大企業連携は除く)は主要3業種(製造、建設・工事、自動車整備)の注文単価下落が見られたが、新型コロナウイルス対策関連商品を求める新規個人顧客の売上等がけん引し、前年同期を上回った。購買管理システム事業(大企業連携)では、大企業連携社数・売上高ともに前年同期比で増加し、期初計画を下回ったものの、高い成長を維持した。
2. 2020年12月期の連結業績見通し
2020年12月期通期の連結業績は、売上高は前期比19.0%増の156,468百万円、営業利益は同17.2%増の18,569百万円、経常利益は同17.0%増の18,584百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同18.3%増の12,997百万円としている。期初の予想を据え置き、売上高・各利益ともに高い成長を維持する予想である。この計画が達成されれば、19期連続の増収、11期連続の増益となる。売上高に関しては、新型コロナウイルスの今後の動向によって左右される。事業者向けネット通販事業(monotaro.com)では、主力3業種(製造、建設・工事、自動車整備)の注文単価下落がゴールデンウイークあたりを底に回復傾向が見られ、個人顧客の新型コロナウイルス対策関連商品注文も継続している。購買管理システム事業(大企業連携)も非常事態宣言解除後、計画未達幅に縮小傾向の兆しが見られる。利益に関しては、売上総利益率、販売費及び一般管理費(以下、販売管理費)率それぞれに変動要因が存在する。売上総利益率は個人顧客の比率は足元では低下傾向であり、この傾向が続けば配送料率が減少するため、通期予想に近い着地となる可能性が高い。販売管理費率は、2020年12月期下期は遅延中の商品情報管理システム等の費用(システム利用料、減価償却費)の本格計上が開始されることなどから、通期予想に近い比率に近づくことが予想される。2020年12月期通期の計画に対する当第2四半期の進捗率は、売上高が48.1%(前年同期は47.9%)、営業利益が50.2%(同48.0%)と前期を上回る。激動の上期を乗り越えたなかで、同社のビジネスモデルの堅牢さが改めて証明された。弊社では、2020年12月期下期に多少の外部環境の波乱があったとしても通期の着地の下振れのリスクは低く、むしろ法人需要の回復による上振れが期待できると考えている。
3. 物流・ITプロジェクトへの進捗
同社は急拡大するなかで、物流センター構築プロジェクトやサプライチェーン高度化のためのITシステム構築プロジェクトを並行して推進している。過去3年間の同社売上高の平均成長率は23.5%(単体)であり、仮にこのペースで成長すれば4年後の2024年12月期には約3,000億円の売上規模に達する計算となる(弊社による単純計算)。今後、物流センターの出荷や在庫の機能を向上させることは不可欠である。物流センター拡張については、笠間ディストリビューションセンター(DC)のバックヤード機能が主機能となる茨城中央サテライトセンター(SC)の建設工事が進んでいる。コロナ禍の影響で工事が一時中断したが再開し、当初の予定通り2021年4月に稼働開始する見込みである。また、関西の猪名川DCも、コロナ禍の影響で工事が一時中断したが現在では再開し、当初計画通り2022年4月に第1期稼働開始予定である。同社は、2019年初めから、サプライチェーン高度化のため、商品情報管理及び受発注管理の新システムの導入プロジェクトを推進してきた。初期版(Phase1)運用開始は2020年12月期第2四半期中ごろの予定であったが、コロナ禍などの要因により2020年12月期第3四半期中から終盤にかけてスタートする予定となった。
■Key Points
・2020年12月期第2四半期は売上高・各利益ともに20%を超える成長。新型コロナウイルス対策関連商品求める新規個人顧客が大幅に増える
・2020年12月期は第2四半期実績の好調を踏まえ11期連続増収増益の期初予想を据え置き。通期計画に対する進捗率は売上・各利益ともに前期を上回る
・新型コロナウイルス対策関連商品の特需に加え、下期は法人需要の回復に期待。売上規模拡大に向けた物流センター・ITプロジェクトが進捗
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
MonotaRO<3064>は、兵庫県尼崎市に本社を置く、インターネットなどを利用した工場・工事用、自動車整備用等の間接資材※の通信販売会社である。
※間接資材とは、製造工程で使用される研磨剤やドリル、軍手など、事業者が自社内で使用し、再販を目的としない商品を指す。業種により個別性が高い。
同社のビジネスモデルの特徴は、同一の価格で間接資材を販売するという点である。市場の慣習により売り手から不公平な価格を強いられがちであった中小企業を中心に支持を受け、ニッチ市場における専門通販業者として確固たる地位を確立した。近年は大企業向け(大企業連携)も急成長している。483.5万口座(2020年6月末現在)の顧客に対して1,800万点を超えるアイテムを取り扱い、当日出荷対象商品59.0万点(うち自社保有在庫で46.1万点)を販売する。
1. 2020年12月期第2四半期の単体業績
同社の2020年12月期第2四半期単体業績は、売上高は前年同期比20.0%増の72,651百万円、営業利益は同21.0%増の9,572百万円、経常利益は同21.2%増の9,586百万円、四半期純利益は同21.4%増の6,662百万円となった。売上高・各利益ともに20%を超える成長を達成した。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響で顧客の購買行動が変化するなか、期初計画を上回った。売上高に関しては、新型コロナウイルス対策関連商品の売上の増加などにより、年初計画を1.2%超えて進捗した。新規顧客獲得では、検索エンジンへのインターネット広告の出稿(リスティング広告)と自社サイトを検索エンジンにおいて上位に表すための検索エンジン最適化(SEO)が奏功した。また、新型コロナウイルス対策関連商品を求める個人顧客が増えたことなどにより獲得口座数が大幅に拡大した。通販事業(大企業連携は除く)は主要3業種(製造、建設・工事、自動車整備)の注文単価下落が見られたが、新型コロナウイルス対策関連商品を求める新規個人顧客の売上等がけん引し、前年同期を上回った。購買管理システム事業(大企業連携)では、大企業連携社数・売上高ともに前年同期比で増加し、期初計画を下回ったものの、高い成長を維持した。
2. 2020年12月期の連結業績見通し
2020年12月期通期の連結業績は、売上高は前期比19.0%増の156,468百万円、営業利益は同17.2%増の18,569百万円、経常利益は同17.0%増の18,584百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同18.3%増の12,997百万円としている。期初の予想を据え置き、売上高・各利益ともに高い成長を維持する予想である。この計画が達成されれば、19期連続の増収、11期連続の増益となる。売上高に関しては、新型コロナウイルスの今後の動向によって左右される。事業者向けネット通販事業(monotaro.com)では、主力3業種(製造、建設・工事、自動車整備)の注文単価下落がゴールデンウイークあたりを底に回復傾向が見られ、個人顧客の新型コロナウイルス対策関連商品注文も継続している。購買管理システム事業(大企業連携)も非常事態宣言解除後、計画未達幅に縮小傾向の兆しが見られる。利益に関しては、売上総利益率、販売費及び一般管理費(以下、販売管理費)率それぞれに変動要因が存在する。売上総利益率は個人顧客の比率は足元では低下傾向であり、この傾向が続けば配送料率が減少するため、通期予想に近い着地となる可能性が高い。販売管理費率は、2020年12月期下期は遅延中の商品情報管理システム等の費用(システム利用料、減価償却費)の本格計上が開始されることなどから、通期予想に近い比率に近づくことが予想される。2020年12月期通期の計画に対する当第2四半期の進捗率は、売上高が48.1%(前年同期は47.9%)、営業利益が50.2%(同48.0%)と前期を上回る。激動の上期を乗り越えたなかで、同社のビジネスモデルの堅牢さが改めて証明された。弊社では、2020年12月期下期に多少の外部環境の波乱があったとしても通期の着地の下振れのリスクは低く、むしろ法人需要の回復による上振れが期待できると考えている。
3. 物流・ITプロジェクトへの進捗
同社は急拡大するなかで、物流センター構築プロジェクトやサプライチェーン高度化のためのITシステム構築プロジェクトを並行して推進している。過去3年間の同社売上高の平均成長率は23.5%(単体)であり、仮にこのペースで成長すれば4年後の2024年12月期には約3,000億円の売上規模に達する計算となる(弊社による単純計算)。今後、物流センターの出荷や在庫の機能を向上させることは不可欠である。物流センター拡張については、笠間ディストリビューションセンター(DC)のバックヤード機能が主機能となる茨城中央サテライトセンター(SC)の建設工事が進んでいる。コロナ禍の影響で工事が一時中断したが再開し、当初の予定通り2021年4月に稼働開始する見込みである。また、関西の猪名川DCも、コロナ禍の影響で工事が一時中断したが現在では再開し、当初計画通り2022年4月に第1期稼働開始予定である。同社は、2019年初めから、サプライチェーン高度化のため、商品情報管理及び受発注管理の新システムの導入プロジェクトを推進してきた。初期版(Phase1)運用開始は2020年12月期第2四半期中ごろの予定であったが、コロナ禍などの要因により2020年12月期第3四半期中から終盤にかけてスタートする予定となった。
■Key Points
・2020年12月期第2四半期は売上高・各利益ともに20%を超える成長。新型コロナウイルス対策関連商品求める新規個人顧客が大幅に増える
・2020年12月期は第2四半期実績の好調を踏まえ11期連続増収増益の期初予想を据え置き。通期計画に対する進捗率は売上・各利益ともに前期を上回る
・新型コロナウイルス対策関連商品の特需に加え、下期は法人需要の回復に期待。売上規模拡大に向けた物流センター・ITプロジェクトが進捗
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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