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サイオス Research Memo(1):子会社の再編統合、事業売却の実施により、成長に向けた経営基盤を固める

注目トピックス 日本株
■要約

サイオス<3744>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※1の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行っている。OSSの技術サポート体制では国内トップクラス。主力製品はシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」※2や、MFP向けソフトウェア※3製品など。2015年に(株)キーポート・ソリューションズ(以下、KPS)、Profit Cube(株)(以下、PCI)と、金融業界向けのシステム開発会社を子会社化し、事業領域を拡大している。

※1 ソフトウェアの設計図に当たるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。
※2 稼働中のサーバーとは別に同じ環境の予備サーバーを待機させ、万が一障害が発生した場合は自動的に予備サーバーに業務を引き継がせる役割を担うソフトウェア。
※3 「Quickスキャン」「Speedoc」等のMFP上で利用できる文書管理ソフトウェア。なお、MFPとはプリンタ、スキャナー、コピー、ファクス等複数の機能を搭載した機器(複合機)を指す。


1. 2020年12月期第2四半期累計業績の概要
2020年12月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比5.2%増の7,276百万円、営業利益で同42.0%増の54百万円となった。主力の「LifeKeeper」の売上が順調に推移したほか、教育機関向けシステム開発・構築支援が好調に推移したことにより、売上高は過去最高を更新した。利益面では、「LifeKeeper」の機能強化にかかる研究開発費や新規事業関連費用が増加したものの、増収効果や金融機関向けシステム開発・構築支援の収益性向上等により増益となった。

2. 2020年12月期見通し
2020年12月期の連結業績は、売上高で前期比4.5%増の14,300百万円、営業利益で同45.6%増の80百万円と期初計画を据え置いた。MFP向けソフトウェア製品はサブスクリプション型へのシフトが進んでいるため減収となるものの、BCP対策の強化を背景に「LifeKeeper」が順調に拡大するほか、リモートワーク環境に対応したクラウドサービスの成長を見込んでいる。売上高のうちサブスクリプションの売上は、前期比11.3%増の2,160百万円と順調に拡大する見通し。なお、同社は経営資源の集中による業務運営の効率化と生産性向上を目的に、2020年10月1日付で、子会社のサイオステクノロジー(株)(以下、STI)を存続会社として、KPS、(株)グルージェント(以下、GLU)を吸収合併する予定となっている。また、同年7月にSTIのDirectorsGear事業を、9月にKPSの社会公共アウトソーシングサービス事業をそれぞれ売却しており、当第3四半期において事業譲渡益193百万円を特別利益として計上する見込みだ。

3. 中期経営計画の概要
3ヶ年の中期経営計画では、自社製品におけるサブスクリプションモデルへの転換を進め、収益の安定性を高めながら成長を目指していく方針を打ち出している。2019年12月期の自社製品売上高4,470百万円を2022年12月期には6,260百万円(年平均成長率11.9%)に拡大する計画で、このうちサブスクリプションの売上比率は43.4%から49.5%まで引き上げていく。主には「LifeKeeper」やMFP向けソフトウェア製品、「Gluegentシリーズ」※1などでの伸長を見込んでいる。また、経営指標としてはEBITDA(償却前営業利益)※2やROIC(投下資本利益率)※3の向上を目指していく考えで、最終年度となる2022年12月期の目標は、EBITDAで560百万円(2019年12月期は145百万円)、ROICで14.7%(同1.7%)を掲げている。2021年12月期以降はグループ会社の再編統合効果も期待され、サブスクリプション売上の拡大とともに利益成長も加速していくものと弊社では予想している。

※1 IDの管理をクラウド上で行うサービス「Gluegent Gate」、Googleカレンダーにチームメンバーの予定管理機能を付加した「Gluegent Appsグループスケジューラ」等、企業内での業務効率化を支援する各種クラウドサービス。
※2 EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額。
※3 ROIC=営業利益×(1-実効税率)÷(有利子負債+株主資本)。実効税率は35%を前提に計算。


■Key Points
・2020年12月期第2四半期累計売上高は過去最高を更新、営業利益も4年ぶりに増益に転じる
・2020年12月期業績は期初計画を据え置き
・サブスクリプションモデルへの転換を推進し、2022年12月期にEBITDAで560百万円、ROICで14.7%を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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