サイバーコム Research Memo(4):通信分野における高度な技術開発力を基盤とした高品質サービスが強み
[20/09/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
3. サイバーコム<3852>の強みと主要顧客、事業リスクについて
(1) 同社の強み
同社の最大の強みは、創業来培ってきた通信分野を基盤とした高度な技術開発力と、高品質なサービスを提供していることが挙げられる。特に顧客の現場レベルから出てきたニーズをくみ取り、求められる要件に対してプラスアルファの成果物を提供することで顧客から高い評価を受け、リピート受注につなげているほか、既存顧客からの口コミにより新規顧客の開拓につなげている。ここ数年は、車載システムの組込みソフトウェアや企業の効率化を目的とした業務システムの開発が伸長しているほか、クラウド導入支援などSIサービス等の受注が拡大するなど、通信分野以外の領域拡大が進んでいる。
また、業界大手の富士ソフトグループに属することで、独立系ソフト会社に比べて不況期においても経営の安定性があることも強みと言える。富士ソフトグループでは独立性を重んじているため、同グループへの売上構成比は2020年12月期第2四半期累計で4.2%と小さいものの、グループ内で積み重ねた通信技術を活かしたソフトウェア開発事業を分担・連携することで、グループ内のシナジーを享受している。
また、外注先として協力企業のネットワークを構築していることも、業務量変動時における調節弁の役割を果たしており、収益性を維持しながら事業を拡大できているという点で強みとなっている。ここ数年、IT業界は慢性的な人材不足が続いており、同社においても人員を増やしてはいるものの、まだ十分とは言えない状況にある。人的リソースの不足分を協力企業の活用によって解消し、売上成長につなげている。このため、ここ数年は売上高に占める外注比率が上昇傾向にあり、現在はプロジェクト稼働人員の約4割が外注人員になっているとみられる。IT業界では外注比率の上昇が利益率の低下につながるケースもあるが、同社の営業利益率は5%台で安定して推移していることからも、付加価値の高い受注案件を増やしつつ、外注先を上手くコントロールしていることがうかがえる。外注先との関係では、新入社員を受け入れて自社の社員と同様の研修を行うなど、良好な関係を構築している。
(2) 主要顧客
2020年12月期第2四半期累計における主要顧客の売上構成比を見ると、NECグループが30.6%と最大顧客となっている。主に通信用や車載向け制御用ソフトウェア開発を受注している。次いで、日立グループが17.1%、富士通グループが5.9%となり、上位3社で50%を超える水準となっている。
(3) 事業リスク
主な事業リスクとして、以下の点が挙げられる。
まず、同社の主力事業であるソフトウェア開発の通信分野では、NTTグループなど大手の通信事業者が最終顧客となっており、通信事業者の設備投資動向によって受注が左右される点にある。なかでも主力分野である携帯電話網基地局システムについては4Gから5Gへの移行の端境期にあり、ここ数年は受注も低迷していた。ただ、2020年より5Gの商用化が開始され、サービスエリアの拡大とともに通信事業者やローカル5Gのサービス事業者などで投資が活発化することが見込まれており、同社にとっても追い風になると予想される。
また、受託開発案件において不採算プロジェクトが発生するリスクが挙げられる。受託開発では要件定義の変更などで想定以上に工期が長引く、あるいは不具合が生じるなどで、不採算プロジェクトが発生するケースがある。同社はこうしたリスクを軽減するため、受注時の見積もり精度の向上やプロジェクト管理体制の強化に取り組んでおり、ここ数年は大きな不採算案件は発生していない。
そのほか、旺盛な受注に対応するためのエンジニアの採用が予定どおり進まない場合に、採用コストや教育研修コストが増加するリスクがある。同社では人材不足を解消するため、2019年の新卒採用では80名(2018年は63名)のうち半分を未経験者の採用で賄った。新人研修は通常2ヶ月間実施して現場に配属されるが、未経験者の場合は3ヶ月の研修期間を要する。2020年の新卒入社は116名(大学卒と専門学校卒の比率はほぼ半々)となっており、初めて高卒生の採用(4名)も実施した。また、中途採用者については年間40名ペースで採用している。ソフトウェア受託開発業界では、IT業界の中でも採用に苦戦する企業が多いが、同社は既述のとおり横浜だけでなく、仙台、新潟、東京、福岡、愛知などにも事業拠点を有しており、現地採用できることもあって採用については同業他社と比べて比較的順調に進んでいるものと思われる。また、離職率についても入社3年後で1ケタ台と業界平均よりも低くなっている。定期的なフォローアップ研修など教育面の取り組みに注力していることが一因と見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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3. サイバーコム<3852>の強みと主要顧客、事業リスクについて
(1) 同社の強み
同社の最大の強みは、創業来培ってきた通信分野を基盤とした高度な技術開発力と、高品質なサービスを提供していることが挙げられる。特に顧客の現場レベルから出てきたニーズをくみ取り、求められる要件に対してプラスアルファの成果物を提供することで顧客から高い評価を受け、リピート受注につなげているほか、既存顧客からの口コミにより新規顧客の開拓につなげている。ここ数年は、車載システムの組込みソフトウェアや企業の効率化を目的とした業務システムの開発が伸長しているほか、クラウド導入支援などSIサービス等の受注が拡大するなど、通信分野以外の領域拡大が進んでいる。
また、業界大手の富士ソフトグループに属することで、独立系ソフト会社に比べて不況期においても経営の安定性があることも強みと言える。富士ソフトグループでは独立性を重んじているため、同グループへの売上構成比は2020年12月期第2四半期累計で4.2%と小さいものの、グループ内で積み重ねた通信技術を活かしたソフトウェア開発事業を分担・連携することで、グループ内のシナジーを享受している。
また、外注先として協力企業のネットワークを構築していることも、業務量変動時における調節弁の役割を果たしており、収益性を維持しながら事業を拡大できているという点で強みとなっている。ここ数年、IT業界は慢性的な人材不足が続いており、同社においても人員を増やしてはいるものの、まだ十分とは言えない状況にある。人的リソースの不足分を協力企業の活用によって解消し、売上成長につなげている。このため、ここ数年は売上高に占める外注比率が上昇傾向にあり、現在はプロジェクト稼働人員の約4割が外注人員になっているとみられる。IT業界では外注比率の上昇が利益率の低下につながるケースもあるが、同社の営業利益率は5%台で安定して推移していることからも、付加価値の高い受注案件を増やしつつ、外注先を上手くコントロールしていることがうかがえる。外注先との関係では、新入社員を受け入れて自社の社員と同様の研修を行うなど、良好な関係を構築している。
(2) 主要顧客
2020年12月期第2四半期累計における主要顧客の売上構成比を見ると、NECグループが30.6%と最大顧客となっている。主に通信用や車載向け制御用ソフトウェア開発を受注している。次いで、日立グループが17.1%、富士通グループが5.9%となり、上位3社で50%を超える水準となっている。
(3) 事業リスク
主な事業リスクとして、以下の点が挙げられる。
まず、同社の主力事業であるソフトウェア開発の通信分野では、NTTグループなど大手の通信事業者が最終顧客となっており、通信事業者の設備投資動向によって受注が左右される点にある。なかでも主力分野である携帯電話網基地局システムについては4Gから5Gへの移行の端境期にあり、ここ数年は受注も低迷していた。ただ、2020年より5Gの商用化が開始され、サービスエリアの拡大とともに通信事業者やローカル5Gのサービス事業者などで投資が活発化することが見込まれており、同社にとっても追い風になると予想される。
また、受託開発案件において不採算プロジェクトが発生するリスクが挙げられる。受託開発では要件定義の変更などで想定以上に工期が長引く、あるいは不具合が生じるなどで、不採算プロジェクトが発生するケースがある。同社はこうしたリスクを軽減するため、受注時の見積もり精度の向上やプロジェクト管理体制の強化に取り組んでおり、ここ数年は大きな不採算案件は発生していない。
そのほか、旺盛な受注に対応するためのエンジニアの採用が予定どおり進まない場合に、採用コストや教育研修コストが増加するリスクがある。同社では人材不足を解消するため、2019年の新卒採用では80名(2018年は63名)のうち半分を未経験者の採用で賄った。新人研修は通常2ヶ月間実施して現場に配属されるが、未経験者の場合は3ヶ月の研修期間を要する。2020年の新卒入社は116名(大学卒と専門学校卒の比率はほぼ半々)となっており、初めて高卒生の採用(4名)も実施した。また、中途採用者については年間40名ペースで採用している。ソフトウェア受託開発業界では、IT業界の中でも採用に苦戦する企業が多いが、同社は既述のとおり横浜だけでなく、仙台、新潟、東京、福岡、愛知などにも事業拠点を有しており、現地採用できることもあって採用については同業他社と比べて比較的順調に進んでいるものと思われる。また、離職率についても入社3年後で1ケタ台と業界平均よりも低くなっている。定期的なフォローアップ研修など教育面の取り組みに注力していることが一因と見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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