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サイバーコム Research Memo(5):2020年12月期第2四半期累計は原価低減効果により会社計画を上回る増益

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2020年12月期第2四半期累計業績の概要
サイバーコム<3852>の2020年12月期第2四半期累計の売上高は前年同期比0.8%増の6,863百万円、営業利益は同25.6%増の419百万円、経常利益は同27.2%増の428百万円、四半期純利益は同17.8%増の264百万円と増収増益となった。また、期初計画に対しては売上高で4.9%下回ったものの、営業利益で25.2%上回るなどすべての利益項目で計画を上回って着地した。

売上高は新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ソフトウェア開発事業が前年同期比2.8%減となったものの、サービス事業が同16.4%増と好調を持続したことでカバーし、増収を維持した。利益面では、新入社員研修費用の増加(81百万円)や東京オフィス開設費用及び我孫子オフィス閉鎖費用(25百万円)などがあったものの、増収効果に加えて外注費の効率化や経費の減少等により売上総利益率が前年同期の18.9%から20.4%に上昇したこと、交通費や通勤費の減少や各種イベント開催見送りによる経費の減少等が増益要因となった。なお、特別損失として新型コロナウイルス感染症対策費用40百万円を計上している。具体的には、感染防止対策費用に加え、新入社員研修をオンラインでの在宅研修に切り替えたことによる機材及び寮のキャンセル料などが含まれている。

会社計画との差異要因を見ると、売上高に関しては新型コロナウイルス感染症拡大により、システム開発時期の延伸や中止等が発生し、ソフトウェア開発事業の売上が未達になったことが挙げられる。一方、営業利益については売上原価率の改善が進んだことに加えて、各種イベント開催の見送り等による経費の減少、新入社員研修費用及び東京オフィス開設費用の一部が第3四半期にシフトしたこと等が挙げられる。通常の研修であれば3ヶ月間でスキルを習得し、現場配属されることになるが、在宅研修だけでは実践で求められるスキルに到達しない可能性もあるため、研修期間を延長して人財育成に取り組んでいる。


ソフトウェア開発事業は通信分野で増収、サービス事業は2ケタ成長が続く
2. 事業セグメント別動向
(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業の売上高は前年同期比2.8%減の5,366百万円と減収となったものの、セグメント利益は同2.0%増の824百万円と増益を維持した。

分野別の動向を見ると、通信ソフトウェア開発は、売上高で前年同期比9.1%増の1,005百万円、セグメント利益で同33.2%増の153百万円と増収増益が続いた。通信端末等の開発案件が好調に推移したことにより、その他通信向けの売上高が同24.9%増収となったほか、通信基盤向けも同2.8%増と堅調に推移し、収益増に貢献した。

制御ソフトウェア開発は、売上高で前年同期比12.7%減の1,491百万円、セグメント利益で同0.4%増の223百万円と減収増益となった。新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあって、今まで成長を続けてきた車載向けが同8.2%減と減少に転じたほか、その他制御ソフトウェアについても機械制御系システムや制御用アプリ等、全般的に開発案件が縮小し、同18.6%減と落ち込んだ。利益面では、経費削減効果等により若干ながら増益を維持した格好となっている。

業務ソフトウェア開発は、売上高で前年同期比0.7%減の2,869百万円、セグメント利益で同4.9%減の447百万円と減収減益に転じた。企業向け業務システムや医療システムのほか、製造業向けにIoTを活用した生産管理システム等の開発案件が好調に推移したが、前年同期の収益に貢献した生命保険会社向けシステムの開発案件が縮小し、金融向けが同15.9%減と落ち込んだことが響き、減収減益要因となった。

(2) サービス事業
サービス事業の売上高は前年同期比16.4%増の1,470百万円、セグメント利益は同49.3%増の235百万円となった。SIサービス(サーバ/ネットワーク構築、保守・運用、評価検証)において、社会インフラや金融系を中心とした仮想化、クラウドへの移行案件、ネットワーク構築案件、携帯電話の5G基地局検証案件等が好調に推移した。四半期ベースでも第2四半期は前年同期比で増収増益となっており、新型コロナウイルス感染症の影響はほとんどなかったものと見受けられる。

また、売上規模はまだ小さいものの、自社プロダクトである「Cyber Smart」シリーズ製品は、IP-PBX案件の導入社数増加や、クラウドサービス及び年間保守料の増加などにより堅調に推移した。なお、2019年8月より販売を開始したクラウドVPNサービス「楽々セキュアコネクト」は、低コスト※かつ手軽にテレワーク環境を構築できることもあって、引き合いが増加している。2020年3月から7月までは「テレワーク応援キャンペーン!」(初月の利用料が無料)を実施したため、収益への貢献はほとんどなかったものの、企業のテレワークに対する取り組みは今後も維持されることから、第3四半期以降も着実に導入台数が増えていくものと予想される。

※2020年3月より価格改定を実施。初期費用は無料とし、月額サービス利用料のみとした。月額利用料は利用人数に応じて1人当たり700円(50名以上)、900円(30〜49名)、1,300円(10〜29名)、1,800円(5〜9名)となる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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