クロスマーケ Research Memo(1):「Afterコロナ」は再び成長を目指す
[20/09/28]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. マーケティングソリューションをベースにデジタルトランスフォーメーションの推進で業況拡大
クロス・マーケティンググループ<3675>は、リサーチ事業、ITソリューション事業、その他の事業と3つの事業を展開している。主力のリサーチ事業では、ネットリサーチを核に内外の様々な顧客のリサーチニーズに対して、分析からコンサル、レポーティングまでワンストップのサービスを提供している。ITソリューション事業では、モバイル向けシステムの企画・開発・運用やエンジニアの派遣などを行っている。その他の事業では、マーケティング支援のためのプロモーション事業を行っている。設立はマーケティングリサーチ業界でも最後発だったが、今や業界大手の一角を占める業容となった。現在、各事業をクロスオーバーしたマーケティングソリューションをベースに、急速なデジタル化に対応するデジタルトランスフォーメーションを推進し、多様化する顧客ニーズに対応し成長を続けているところである。
2. マーケティングソリューションとデジタルトランスフォーメーションが強みをさらに強化
同社リサーチ事業の特徴は、パネル(登録モニター)の質と量にある。量については、アクティブパネル数が同社に219万人、提携先も合わせると465万人おり、十分確保できていると言える(2019年10月時点)。質については、パネルの基本属性を常に最新に保ち、利用しやすいよう事前にカテゴライズしているほか、悪質な不正回答者を登録抹消するなど、パネルの品質管理を徹底している。強みは、セールスやリサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となって顧客の課題解決に当たるサポート体制や、課題に対し適切に提案・設計するリサーチャーの経験、グループ内外の機能を機動的に利用する組織体制などにある。こうしたベーシックな特徴・強みに加えて、マーケティングソリューションをベースとしたデジタルトランスフォーメーションの推進による業容拡大は、今後、更なる差別化要因になっていくと思われる。
3. 第2四半期業績は新型コロナの影響で苦戦したが積極戦略も展開
2020年12月期第2四半期の業績は、売上高7,700百万円(前年同期比12.6%減)、営業利益166百万円(同60.8%減)と厳しい結果となった。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界的に経済活動が大きく制限されたことに起因する。同社も、ITソリューション事業やその他の事業以上に経済環境を反映しやすいリサーチ事業が苦戦、とりわけ多くの都市で封鎖措置が取られた海外リサーチ事業は非常に厳しかった。このように新型コロナウイルス感染症の影響が非常に大きく注目が集まってしまうが、同社は今期からデジタルトランスフォーメーションの推進による成長戦略も積極的に展開しており、カスタマージャーニー型データ分析やDtoC(メーカー直販)ブランドの成長支援といった新たなサービスを開発する一方、新会社の設立や統合、業務提携などの展開も推進している。
4. 今期業績は厳しそうだが、「Afterコロナ」には最高益更新も視野に
「Afterコロナ」への対応として、同社は「維持と成長を両立するための変革」を推進する考えである。だが現状、新型コロナウイルス感染症に収束の見通しが立っていないことから、2020年12月期の通期業績予想を「未定」とした。しかし、第3四半期に入っての足元の業況は、非常事態宣言のあった第2四半期が底となり、回復傾向を示しつつあるようだ。このため、第3四半期の業績に関して、売上高が前年同期比前後というところまで立ち直る見込みとなったため、販管費をコントロールすることで業績回復に道筋を付けていく考えである。この結果、2020年12月期の業績は、2019年12月期並みを確保することは難しそうだが、2021年12月期以降へ向けて弾みとなりそうだ。何より中長期的な同社の戦略に大きな変更がないと思われるので、「Afterコロナ」には遠からず、最高益更新や中期成長トレンドへの回帰が見えてくる可能性があると考える。
■Key Points
・マーケティングソリューションとデジタルトランスフォーメーションを軸に業況拡大
・2020年12月期は新型コロナウイルス感染症の影響で大苦戦も、積極経営を継続
・「Afterコロナ」は最高益更新や中期成長トレンド回帰が見えてくる可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<KS>
1. マーケティングソリューションをベースにデジタルトランスフォーメーションの推進で業況拡大
クロス・マーケティンググループ<3675>は、リサーチ事業、ITソリューション事業、その他の事業と3つの事業を展開している。主力のリサーチ事業では、ネットリサーチを核に内外の様々な顧客のリサーチニーズに対して、分析からコンサル、レポーティングまでワンストップのサービスを提供している。ITソリューション事業では、モバイル向けシステムの企画・開発・運用やエンジニアの派遣などを行っている。その他の事業では、マーケティング支援のためのプロモーション事業を行っている。設立はマーケティングリサーチ業界でも最後発だったが、今や業界大手の一角を占める業容となった。現在、各事業をクロスオーバーしたマーケティングソリューションをベースに、急速なデジタル化に対応するデジタルトランスフォーメーションを推進し、多様化する顧客ニーズに対応し成長を続けているところである。
2. マーケティングソリューションとデジタルトランスフォーメーションが強みをさらに強化
同社リサーチ事業の特徴は、パネル(登録モニター)の質と量にある。量については、アクティブパネル数が同社に219万人、提携先も合わせると465万人おり、十分確保できていると言える(2019年10月時点)。質については、パネルの基本属性を常に最新に保ち、利用しやすいよう事前にカテゴライズしているほか、悪質な不正回答者を登録抹消するなど、パネルの品質管理を徹底している。強みは、セールスやリサーチャー、ディレクターなどすべての担当者が一丸となって顧客の課題解決に当たるサポート体制や、課題に対し適切に提案・設計するリサーチャーの経験、グループ内外の機能を機動的に利用する組織体制などにある。こうしたベーシックな特徴・強みに加えて、マーケティングソリューションをベースとしたデジタルトランスフォーメーションの推進による業容拡大は、今後、更なる差別化要因になっていくと思われる。
3. 第2四半期業績は新型コロナの影響で苦戦したが積極戦略も展開
2020年12月期第2四半期の業績は、売上高7,700百万円(前年同期比12.6%減)、営業利益166百万円(同60.8%減)と厳しい結果となった。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、世界的に経済活動が大きく制限されたことに起因する。同社も、ITソリューション事業やその他の事業以上に経済環境を反映しやすいリサーチ事業が苦戦、とりわけ多くの都市で封鎖措置が取られた海外リサーチ事業は非常に厳しかった。このように新型コロナウイルス感染症の影響が非常に大きく注目が集まってしまうが、同社は今期からデジタルトランスフォーメーションの推進による成長戦略も積極的に展開しており、カスタマージャーニー型データ分析やDtoC(メーカー直販)ブランドの成長支援といった新たなサービスを開発する一方、新会社の設立や統合、業務提携などの展開も推進している。
4. 今期業績は厳しそうだが、「Afterコロナ」には最高益更新も視野に
「Afterコロナ」への対応として、同社は「維持と成長を両立するための変革」を推進する考えである。だが現状、新型コロナウイルス感染症に収束の見通しが立っていないことから、2020年12月期の通期業績予想を「未定」とした。しかし、第3四半期に入っての足元の業況は、非常事態宣言のあった第2四半期が底となり、回復傾向を示しつつあるようだ。このため、第3四半期の業績に関して、売上高が前年同期比前後というところまで立ち直る見込みとなったため、販管費をコントロールすることで業績回復に道筋を付けていく考えである。この結果、2020年12月期の業績は、2019年12月期並みを確保することは難しそうだが、2021年12月期以降へ向けて弾みとなりそうだ。何より中長期的な同社の戦略に大きな変更がないと思われるので、「Afterコロナ」には遠からず、最高益更新や中期成長トレンドへの回帰が見えてくる可能性があると考える。
■Key Points
・マーケティングソリューションとデジタルトランスフォーメーションを軸に業況拡大
・2020年12月期は新型コロナウイルス感染症の影響で大苦戦も、積極経営を継続
・「Afterコロナ」は最高益更新や中期成長トレンド回帰が見えてくる可能性
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<KS>