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トレードワークス Research Memo(1):2020年12月期業績は2期ぶりに増収増益へ転じる見通し

注目トピックス 日本株
■要約

トレードワークス<3997>は証券会社やFX会社等の金融業界を主要顧客とする独立系システム開発会社である。インターネット証券取引システムを中心に、ディーリングシステムや不公正取引監視システム等の開発、クラウドサービス(SaaS※型サービス)を展開し、証券会社向けが売上高の約9割を占める。証券知識に精通したエンジニアの育成に注力しており、競合と比較して低コスト・短納期を実現しているほか、多様な顧客ニーズに対応できる開発力を持っていることが強みとなる。

※SaaS(Software as a Service):クラウドを利用した「顧客に対し必要な機能の提供」を行うサービス形態。


1. 2020年12月期第2四半期累計業績の概要
2020年12月期第2四半期累計(2020年1月-6月)の業績は、売上高で前年同期比32.5%増の861百万円、営業損失で85百万円(前年同期は79百万円の損失)となった。売上高は一部案件の検収が第3四半期にずれ込んだものの、前年同期の水準が低かったこともあり、すべての事業で2ケタ増収となった。一方、利益面ではクラウドサービス強化のためのインフラ構築費用や新サービスの開発費用など戦略投資を継続して実施したほか賃借料の増加もあり、前年同期から若干悪化したが、計画どおりの進捗となった。また、課題であった人員採用についても、新卒者5名を含めた14名のエンジニアを採用し、通期計画の25名に対して順調に進んでいる。

2. 2020年12月期業績見通し
2020年12月期業績は、売上高で前期比16.3%増の2,313百万円、営業利益で同15.6%増の144百万円と2期ぶりの増収増益に転じる見通し。第2四半期までの進捗率は売上高で37.2%だが、開発案件の売上計上時期が第4四半期に集中することから、計画の達成は可能と見られる。なお、主力の金融ソリューション事業におけるストック型収入の構成比は2019年12月期の4割弱から2020年12月期は5割強まで拡大する見込みとなっており、今後は収益の安定性も向上する見通しだ。なお、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響について、テレワーク体制下において生産面での支障は出ていないものの、顧客側で今後投資マインドが冷え込む可能性もあり、リスク要因として見ておく必要がある。

3. 今後の成長戦略
今後の成長戦略としては、ストック型ビジネスモデルへの収益構造の転換と新サービス/新領域の展開の2点を主に掲げている。同社では収益の安定性向上と多様な顧客ニーズに対応していくため、主力の金融ソリューション事業において、「開発・フロー型」から「利用型・ストック型」のビジネスモデルへの転換を進めており、中期的に6割強までストック型収入の比率を引き上げていく方針となっている。このため、現状はデータセンターのサーバー増強など費用が先行する格好となっているが、投資が一巡すれば収益面でその効果が顕在化してくるものと思われる。また、新サービス/新領域の展開としては、AI/IoT/VRなどを活用したサービスの開発を進めている。2019年11月にチャットボットサービス「スマート法律相談」の提供を開始しているが、同サービスで蓄積したノウハウを金融業界向けの新サービスに活用していくことになる。こうした施策により、現在、1ケタ台にとどまっている営業利益率も、2021年12月期以降は再び10%を超えてくるものと弊社では予想している。

■Key Points
・金融業界に特化した独立系システム開発会社で、金融知識を併せ持つエンジニアによる低コスト・短納期開発が強み
・2020年12月期第2四半期累計業績はほぼ会社計画どおりの進捗、ストック型ビジネスモデルへの転換が着実に進む
・ストック型ビジネスモデルへの転換と新サービス/新領域への展開により成長を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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