ケネディクス Research Memo(7):中期経営計画では「ケネディクスモデル」の更なる発展を目指す
[20/09/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
ケネディクス<4321>は、2015年に定めた長期ビジョン「Kenedix Vision 2025」のもと、2018年12月期からは3ヶ年の中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」を推進している。
1. 長期ビジョン
同社は、2025年の長期ビジョン「Kenedix Vision 2025」として、AUM4兆円、グループ時価総額2兆円、ROE15%を掲げている。特にAUMは、過去8年間(2009年から2017年まで)で1兆円から2兆円に倍増してきたペースをさらに加速し、2017年からの8年間で2兆円から4兆円へ倍増させる計画である。長期ビジョン策定時には想定していなかったコロナ禍の影響を一部受けているものの、あくまでも一過性及び限定的なものと認識しており、今後の方向性に見直しはない。すなわち、「メインスポンサーREIT」と「私募ファンド」に加えて、新たな成長軸である「不動産セキュリティ・トークン」を3本目の柱に育成することにより、投資対象及び投資家層の拡大を図りながら安定的・持続的な成長を目指していく。また、AUM拡大に向けたM&A機会も模索する方針である。注目すべき点は、総資産の規模や財務レバレッジ(有利子負債比率)を現状から大きく拡大することなく、AUMを積み上げることで収益性(資本効率)を高める方向性が示されているところであり、まさに「ケネディクスモデル」ならではの独自の成長シナリオとなっている。
2. 中期経営計画
2018年12月期よりスタートした中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」は、これまでの方向性を継承し、「ケネディクスモデルの発展期」と位置付けられている。すなわち、同社の強みである投資案件の組成力と運用力を高め、顧客投資家層を拡大し、「ケネディクスモデル」を多方面に発展・深化させることで、同社の収益基盤を一層強化する。また、機動的な投資と健全な財務体質を維持しながら、資本の有効活用と株主還元の充実を図り、不動産アセットマネジメントのリーディングカンパニーとして企業価値の一層の向上を目指す方針である。定量計画として、ROE(3年平均)10%以上、総還元性向(3年平均)50%以上を掲げている。
基本方針と重点施策は以下のとおりである。
(1) 不動産アセットマネジメントを中心とするビジネス領域の拡充
a) AUMと安定収益の拡大につながる多様な投資機会の創出
b) 国内外における顧客投資家層の拡大と投資家リレーションの深化
c) 投資案件の組成力と運用力を向上させる運用体制の強化
d) アセットマネジメントの付加価値を高める関連サービスの強化
e) ビジネス領域の拡充に資する戦略的M&Aや事業提携の模索
(2) 機動的かつ戦略的な投資の推進
a) 顧客投資家との共同投資の推進
b) 同社グループ運用ファンドの成長につなげる機動的な投資の実行
c) 海外や成長分野でのビジネス拡大に資する戦略的な投資の実行
d) 分散と規律の保たれた投資ポートフォリオの維持とモニタリング体制の強化
e) 財務の健全性と透明性の堅持
(3) 時代の変化を捉えた新たな成長分野の開拓
a) アジア市場における事業の拡大
b) 米国市場でのアウトバウンド投資ビジネスの推進
c) ホテル、民泊、サービスアパート等の滞在型施設運営ビジネスの推進
d) 「不動産×金融×テクノロジー」に焦点を当てた新ビジネスの立ち上げ
(4) 持続的成長と社会的責任の両立に向けた経営基盤の強化
a) 組織と個人の生産性を高める社内インフラの進化
b) ケネディクスモデルの礎となる多様な人材の確保・育成
c) 社会の変化に応じた柔軟な働き方の追求
d) ESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組み推進
これまでの中期経営計画の進捗を振り返ると、コロナ禍による足元業績の遅れを除けば、定量面及び定性面ともに順調に推移していると評価できる。また、今後の中長期的な展望についても、外部要因(世界的な低金利を背景とした投資家ニーズの継続等)や内部要因(ケネディクスモデルの進展)の両面から判断して、持続的な成長を実現することは可能であると評価しており、コロナ禍に伴う環境変化(ニューノーマル)についても、「ケネディクスモデル」の柔軟性の高さや収益基盤の安定性から判断して、大きなリスク要因としては捉えていない。最大の課題は、2025年末のAUM4兆円達成に向けていかに拡大ペースを維持・加速していくのかにある。また、「不動産セキュリティ・トークン」など、新たな成長軸がどのように市場を創造しながら同社自身の成長につなげていくのかにも注目している。さらにはM&Aによる規模拡大も選択肢に入っており、今後の動向に注意する必要があるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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ケネディクス<4321>は、2015年に定めた長期ビジョン「Kenedix Vision 2025」のもと、2018年12月期からは3ヶ年の中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」を推進している。
1. 長期ビジョン
同社は、2025年の長期ビジョン「Kenedix Vision 2025」として、AUM4兆円、グループ時価総額2兆円、ROE15%を掲げている。特にAUMは、過去8年間(2009年から2017年まで)で1兆円から2兆円に倍増してきたペースをさらに加速し、2017年からの8年間で2兆円から4兆円へ倍増させる計画である。長期ビジョン策定時には想定していなかったコロナ禍の影響を一部受けているものの、あくまでも一過性及び限定的なものと認識しており、今後の方向性に見直しはない。すなわち、「メインスポンサーREIT」と「私募ファンド」に加えて、新たな成長軸である「不動産セキュリティ・トークン」を3本目の柱に育成することにより、投資対象及び投資家層の拡大を図りながら安定的・持続的な成長を目指していく。また、AUM拡大に向けたM&A機会も模索する方針である。注目すべき点は、総資産の規模や財務レバレッジ(有利子負債比率)を現状から大きく拡大することなく、AUMを積み上げることで収益性(資本効率)を高める方向性が示されているところであり、まさに「ケネディクスモデル」ならではの独自の成長シナリオとなっている。
2. 中期経営計画
2018年12月期よりスタートした中期経営計画「Partners in Growth, Next 2020」は、これまでの方向性を継承し、「ケネディクスモデルの発展期」と位置付けられている。すなわち、同社の強みである投資案件の組成力と運用力を高め、顧客投資家層を拡大し、「ケネディクスモデル」を多方面に発展・深化させることで、同社の収益基盤を一層強化する。また、機動的な投資と健全な財務体質を維持しながら、資本の有効活用と株主還元の充実を図り、不動産アセットマネジメントのリーディングカンパニーとして企業価値の一層の向上を目指す方針である。定量計画として、ROE(3年平均)10%以上、総還元性向(3年平均)50%以上を掲げている。
基本方針と重点施策は以下のとおりである。
(1) 不動産アセットマネジメントを中心とするビジネス領域の拡充
a) AUMと安定収益の拡大につながる多様な投資機会の創出
b) 国内外における顧客投資家層の拡大と投資家リレーションの深化
c) 投資案件の組成力と運用力を向上させる運用体制の強化
d) アセットマネジメントの付加価値を高める関連サービスの強化
e) ビジネス領域の拡充に資する戦略的M&Aや事業提携の模索
(2) 機動的かつ戦略的な投資の推進
a) 顧客投資家との共同投資の推進
b) 同社グループ運用ファンドの成長につなげる機動的な投資の実行
c) 海外や成長分野でのビジネス拡大に資する戦略的な投資の実行
d) 分散と規律の保たれた投資ポートフォリオの維持とモニタリング体制の強化
e) 財務の健全性と透明性の堅持
(3) 時代の変化を捉えた新たな成長分野の開拓
a) アジア市場における事業の拡大
b) 米国市場でのアウトバウンド投資ビジネスの推進
c) ホテル、民泊、サービスアパート等の滞在型施設運営ビジネスの推進
d) 「不動産×金融×テクノロジー」に焦点を当てた新ビジネスの立ち上げ
(4) 持続的成長と社会的責任の両立に向けた経営基盤の強化
a) 組織と個人の生産性を高める社内インフラの進化
b) ケネディクスモデルの礎となる多様な人材の確保・育成
c) 社会の変化に応じた柔軟な働き方の追求
d) ESG(環境、社会、ガバナンス)への取り組み推進
これまでの中期経営計画の進捗を振り返ると、コロナ禍による足元業績の遅れを除けば、定量面及び定性面ともに順調に推移していると評価できる。また、今後の中長期的な展望についても、外部要因(世界的な低金利を背景とした投資家ニーズの継続等)や内部要因(ケネディクスモデルの進展)の両面から判断して、持続的な成長を実現することは可能であると評価しており、コロナ禍に伴う環境変化(ニューノーマル)についても、「ケネディクスモデル」の柔軟性の高さや収益基盤の安定性から判断して、大きなリスク要因としては捉えていない。最大の課題は、2025年末のAUM4兆円達成に向けていかに拡大ペースを維持・加速していくのかにある。また、「不動産セキュリティ・トークン」など、新たな成長軸がどのように市場を創造しながら同社自身の成長につなげていくのかにも注目している。さらにはM&Aによる規模拡大も選択肢に入っており、今後の動向に注意する必要があるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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