マーケットE Research Memo(4):自己完結したネット型リユースから生まれる強み
[20/10/06]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■事業領域の拡大
1. 事業構造上の特徴
リアルなリユース店に対するマーケットエンタープライズ<3135>の優位性は、買取と販売でインターネットを利用しているため、店舗家賃や店頭従業員などにコストがかからないこと、商圏範囲が広いため効率よく売り手と買い手をマッチングできること、にある。一方、近年成長が注目されるフリマアプリなどCtoCプラットフォームに対しても強みを持つ。また、CtoCでは取引相手や取引商材に対する不安(信用や動作不良や品質面など)や仲介機能に対する信頼が低いことから、数100円〜数1,000円という低価格商材の取引が多くなるが、同社の場合は、品質や価格に対する安心感や安全性を背景に、利用者は高額品を売買しやすくなっている(同社の平均販売単価は3.2万円と高い)。
Web集客力、ECノウハウの蓄積、システム開発力
2. 同社に内在する強み
こうした外部に対する特徴は、ネットにおける専門性とリユース流通における構造にあると考えられる。そしてその背景にはWeb集客力、ECノウハウの蓄積、システム開発力という、同社が設立以来培ってきた強みがあると考えられる。Web集客力は、2006年の設立時からWebマーケティングを重視、メディアの集客を強化するリスティングやSEOも自社内で行ってきており、そうしたノウハウが同社に蓄積されている。
自社で完結したシステム開発力も強みである。同社の個品在庫管理システムや査定データベースの安定性も、充実した業務マニュアルによる標準化されたオペレーションも、自社構築だから可能と言える。このほか、上場企業としての信頼感と取引の安全性、独自配送ネットワークなども同社の強みと言えるだろう。こうした強みは、競合するリユース店ばかりでなく、新品を販売する業者に対してさえ強みとなっており、だからこそヤフー(Zホールディングス<4689>)やAmazon(アマゾン・ドット・コム)といったECプラットフォーマーの信頼を得て、そうした企業との業務提携に結び付いたと考えられる。
強みを背景に成長ステージをステップアップ
3. 成長ステージ
こうした強みをより一層生かすため、同社は事業ドメインの拡大を図っており、これまで様々な事業を譲り受けてきた。その結果、自社買取自社販売を中心とした自社完結モデルから、国内外の法人パートナーとともに協創するモデルへと業容を拡大させつつある。そして、公正で安全な取引プラットフォーム(取引市場)の構築、インターネットメディアを介し認知度向上や販促支援を進めるデジタル集客支援の強化、安価かつ安全なネットインフラ環境の拡張などにより、小規模事業主や法人に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現を支援するサービスを展開する計画である。同社にとって成長のステージを大きくステップアップすることになるかもしれない計画と言える。
ステップアップの結果として、国内外の法人パートナーと共同で送客支援やマーケットプレイスなど買取・販売の周辺サービスを強化するなど、法人パートナーとの共創モデルへの進化を目指している。具体的なターゲットとして、日本に眠っている農機具などの大型機器を国内外に循環させることや、リユース中小企業をDXなどの面で支援していく方針である。こうした戦略は同社のビジネスチャンスを拡大するだけにとどまらず、国連が推進するSDGs(持続可能な開発目標)にも合致しており、同社が目指している「持続可能な社会を目指す最適化商社」に大きく近づくことになる。なお、足元の動きを見ると、2020年6月期は新型コロナウイルス感染症の拡大もあってメディア事業とモバイル通信事業が大きく伸びたが、2021年6月期は機能面の向上が進んだ主力のネット型リユース事業において、後に詳述するが、農機具領域の買取・販売とマッチングプラットフォーム「おいくら」を中心に成長を図る考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
1. 事業構造上の特徴
リアルなリユース店に対するマーケットエンタープライズ<3135>の優位性は、買取と販売でインターネットを利用しているため、店舗家賃や店頭従業員などにコストがかからないこと、商圏範囲が広いため効率よく売り手と買い手をマッチングできること、にある。一方、近年成長が注目されるフリマアプリなどCtoCプラットフォームに対しても強みを持つ。また、CtoCでは取引相手や取引商材に対する不安(信用や動作不良や品質面など)や仲介機能に対する信頼が低いことから、数100円〜数1,000円という低価格商材の取引が多くなるが、同社の場合は、品質や価格に対する安心感や安全性を背景に、利用者は高額品を売買しやすくなっている(同社の平均販売単価は3.2万円と高い)。
Web集客力、ECノウハウの蓄積、システム開発力
2. 同社に内在する強み
こうした外部に対する特徴は、ネットにおける専門性とリユース流通における構造にあると考えられる。そしてその背景にはWeb集客力、ECノウハウの蓄積、システム開発力という、同社が設立以来培ってきた強みがあると考えられる。Web集客力は、2006年の設立時からWebマーケティングを重視、メディアの集客を強化するリスティングやSEOも自社内で行ってきており、そうしたノウハウが同社に蓄積されている。
自社で完結したシステム開発力も強みである。同社の個品在庫管理システムや査定データベースの安定性も、充実した業務マニュアルによる標準化されたオペレーションも、自社構築だから可能と言える。このほか、上場企業としての信頼感と取引の安全性、独自配送ネットワークなども同社の強みと言えるだろう。こうした強みは、競合するリユース店ばかりでなく、新品を販売する業者に対してさえ強みとなっており、だからこそヤフー(Zホールディングス<4689>)やAmazon(アマゾン・ドット・コム
強みを背景に成長ステージをステップアップ
3. 成長ステージ
こうした強みをより一層生かすため、同社は事業ドメインの拡大を図っており、これまで様々な事業を譲り受けてきた。その結果、自社買取自社販売を中心とした自社完結モデルから、国内外の法人パートナーとともに協創するモデルへと業容を拡大させつつある。そして、公正で安全な取引プラットフォーム(取引市場)の構築、インターネットメディアを介し認知度向上や販促支援を進めるデジタル集客支援の強化、安価かつ安全なネットインフラ環境の拡張などにより、小規模事業主や法人に対してDX(デジタルトランスフォーメーション)の実現を支援するサービスを展開する計画である。同社にとって成長のステージを大きくステップアップすることになるかもしれない計画と言える。
ステップアップの結果として、国内外の法人パートナーと共同で送客支援やマーケットプレイスなど買取・販売の周辺サービスを強化するなど、法人パートナーとの共創モデルへの進化を目指している。具体的なターゲットとして、日本に眠っている農機具などの大型機器を国内外に循環させることや、リユース中小企業をDXなどの面で支援していく方針である。こうした戦略は同社のビジネスチャンスを拡大するだけにとどまらず、国連が推進するSDGs(持続可能な開発目標)にも合致しており、同社が目指している「持続可能な社会を目指す最適化商社」に大きく近づくことになる。なお、足元の動きを見ると、2020年6月期は新型コロナウイルス感染症の拡大もあってメディア事業とモバイル通信事業が大きく伸びたが、2021年6月期は機能面の向上が進んだ主力のネット型リユース事業において、後に詳述するが、農機具領域の買取・販売とマッチングプラットフォーム「おいくら」を中心に成長を図る考えだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>