Shinwa Research Memo(1):コンテンポラリーアートの強化や新プラットフォーム構築で市場活性化を目指す
[20/10/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要
Shinwa Wise Holdings<2437>は、国内最大級の美術品オークション会社を傘下に持つ純粋持株会社である。日本の近代美術を中心として、近代陶芸やワイン、ブランド雑貨、時計、宝飾品なども手掛けている。2,000万円以上の高額落札作品における市場シェアでは業界トップクラスを誇る。近代美術の相場低迷が続くなかで、今後はコンテンポラリーアート(戦後美術を含む)を強化するとともに、ブロックチェーンを活用した新たなプラットフォーム構築による市場の活性化を目指す方針である。また、完工ラッシュが始まるバイオマス発電所向け「PKS(ヤシ殻)事業」や、富裕層向け資産防衛を目的とした「ダイヤモンド販売事業」など、新たな成長軸の育成にも取り組んでいる。
2. 2020年5月期の業績
2020年5月期の業績は、売上高は前期比41.4%減の1,719百万円、営業損失は271百万円と、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)などの影響により大幅な減収減益となり、各段階利益で損失を計上した。主力の「オークション関連事業」が、コロナ禍によるイベント等の自粛要請や緊急事態宣言の発令に伴うオークションの開催延期等により大きく落ち込んだ。また、「エネルギー関連事業」についても、前期まで行っていた太陽光発電施設の販売実績がなかったところは想定内であるが、マレーシアでのPKS事業において、政府による活動制限令を受けて事業活動を一時的に停止したことが下振れ要因となった。利益面でも、減収に伴って「オークション関連事業」がセグメント損失に陥ったほか、「エネルギー関連事業」においても、売上高の下振れにより黒字化を達成することができなかった。
3. 2021年5月期の業績予想
2021年5月期の業績予想について同社は、コロナ禍が日本の美術市場やオークションそのものに与える影響を予想することが困難な状況にあることから、現時点で予想値の公表を見合わせている。ただ、出品点数と落札価格の増大によるオークション事業と美術品売買関連事業の収益化をはじめ、資産防衛ダイヤモンド販売の拡大、「シンワ資産形成アート投資サロン」事業の開始、PKS事業の損益改善に取り組むことで、4期ぶりの黒字化を目指していく方針である。
4. 成長戦略
同社では、これまで「日本近代美術再生プロジェクト」と銘打ち、日本の近代美術の再評価と価値付けに取り組んできた。ただ、ここ数年の近代美術の相場低迷などを受け、本プロジェクトの進展が見られないなかで、近代美術以外の新たな柱となり得るコンテンポラリーアート(戦後美術を含む)へのシフトに注力するとともに、新たに「資産形成アート投資サロン」を立ち上げ、数多くのコレクターを呼び込むなど、市場活性化につなげていく方向性を打ち出している。また、「資産防衛ダイヤモンド事業」についても、コロナ禍に伴う各国の金融緩和政策から生じるインフレ懸念により需要が急拡大しており、引き続き、売上げの増大を目指していく。一方、「エネルギー関連事業」については、マレーシアでのPKS事業に軸足を移し、国内のバイオマス発電所の完工ラッシュが始まる2021年から2023年に向けて本格的な収益化を図っていく計画である。
■Key Points
・2020年5月期の業績はコロナ禍の影響等により大幅な減収減益(3期連続の損失計上)
・絵画の相場全体の低迷が続いているうえに、コロナ禍に伴うオークション開催延期が重なったことが業績の落ち込みを招いた
・2021年5月期の業績予想について同社は、コロナ禍による不透明性を踏まえ現時点で公表を見合わせている
・近代美術の相場低迷が継続する見通しの下、近代美術以外の新たな柱となり得る戦後及び現代美術への展開や、新たなアート取引のプラットフォーム構築などにより市場活性化を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NB>
1. 会社概要
Shinwa Wise Holdings<2437>は、国内最大級の美術品オークション会社を傘下に持つ純粋持株会社である。日本の近代美術を中心として、近代陶芸やワイン、ブランド雑貨、時計、宝飾品なども手掛けている。2,000万円以上の高額落札作品における市場シェアでは業界トップクラスを誇る。近代美術の相場低迷が続くなかで、今後はコンテンポラリーアート(戦後美術を含む)を強化するとともに、ブロックチェーンを活用した新たなプラットフォーム構築による市場の活性化を目指す方針である。また、完工ラッシュが始まるバイオマス発電所向け「PKS(ヤシ殻)事業」や、富裕層向け資産防衛を目的とした「ダイヤモンド販売事業」など、新たな成長軸の育成にも取り組んでいる。
2. 2020年5月期の業績
2020年5月期の業績は、売上高は前期比41.4%減の1,719百万円、営業損失は271百万円と、新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)などの影響により大幅な減収減益となり、各段階利益で損失を計上した。主力の「オークション関連事業」が、コロナ禍によるイベント等の自粛要請や緊急事態宣言の発令に伴うオークションの開催延期等により大きく落ち込んだ。また、「エネルギー関連事業」についても、前期まで行っていた太陽光発電施設の販売実績がなかったところは想定内であるが、マレーシアでのPKS事業において、政府による活動制限令を受けて事業活動を一時的に停止したことが下振れ要因となった。利益面でも、減収に伴って「オークション関連事業」がセグメント損失に陥ったほか、「エネルギー関連事業」においても、売上高の下振れにより黒字化を達成することができなかった。
3. 2021年5月期の業績予想
2021年5月期の業績予想について同社は、コロナ禍が日本の美術市場やオークションそのものに与える影響を予想することが困難な状況にあることから、現時点で予想値の公表を見合わせている。ただ、出品点数と落札価格の増大によるオークション事業と美術品売買関連事業の収益化をはじめ、資産防衛ダイヤモンド販売の拡大、「シンワ資産形成アート投資サロン」事業の開始、PKS事業の損益改善に取り組むことで、4期ぶりの黒字化を目指していく方針である。
4. 成長戦略
同社では、これまで「日本近代美術再生プロジェクト」と銘打ち、日本の近代美術の再評価と価値付けに取り組んできた。ただ、ここ数年の近代美術の相場低迷などを受け、本プロジェクトの進展が見られないなかで、近代美術以外の新たな柱となり得るコンテンポラリーアート(戦後美術を含む)へのシフトに注力するとともに、新たに「資産形成アート投資サロン」を立ち上げ、数多くのコレクターを呼び込むなど、市場活性化につなげていく方向性を打ち出している。また、「資産防衛ダイヤモンド事業」についても、コロナ禍に伴う各国の金融緩和政策から生じるインフレ懸念により需要が急拡大しており、引き続き、売上げの増大を目指していく。一方、「エネルギー関連事業」については、マレーシアでのPKS事業に軸足を移し、国内のバイオマス発電所の完工ラッシュが始まる2021年から2023年に向けて本格的な収益化を図っていく計画である。
■Key Points
・2020年5月期の業績はコロナ禍の影響等により大幅な減収減益(3期連続の損失計上)
・絵画の相場全体の低迷が続いているうえに、コロナ禍に伴うオークション開催延期が重なったことが業績の落ち込みを招いた
・2021年5月期の業績予想について同社は、コロナ禍による不透明性を踏まえ現時点で公表を見合わせている
・近代美術の相場低迷が継続する見通しの下、近代美術以外の新たな柱となり得る戦後及び現代美術への展開や、新たなアート取引のプラットフォーム構築などにより市場活性化を目指す方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NB>