ブイキューブ Research Memo(3):主力事業の売上の7割以上はサブスクリプションモデルで占める(1)
[20/10/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ブイキューブ<3681>の事業概要
同社グループが提供するビジュアルコミュニケーションサービスは、「いつでも、どこでも、『だれでも』使える」をコンセプトに、ユーザーのPCあるいはスマートフォン、タブレット等のモバイル端末から、インターネットを通じて遠くの相手とお互いの顔や資料を共有しながら遠隔会議を行うWeb会議サービス、あるいはオンラインセミナー等に代表される、文字や音声だけでなく映像も含めたコミュニケーションサービスである。
事業セグメント別の売上高構成比(2020年12月期第2四半期累計実績)を見ると、ビジュアルコミュニケーション事業が71.8%、ラーニングマネジメントシステム事業が12.0%、アプライアンス事業が16.2%となっており、ビジュアルコミュニケーション事業が主力事業となっている。また、ラーニングマネジメントシステム事業については、シンガポール子会社であるWizlearn Technologies (以下、Wizlearn)の事業となっている。
1. 事業セグメント別内容
(1) ビジュアルコミュニケーション事業
ビジュアルコミュニケーション事業では、同社及び海外子会社で、「V-CUBEミーティング」「V-CUBEセミナー」「V-CUBE Video SDK」等の各種ビジュアルコミュニケーションサービスを提供している。また、競合であるZoomの販売代理店にもなっており、顧客ニーズがあれば「Zoomミーティング」の販売(サブスクリプション契約)も行っている。
2020年12月期第2四半期累計の売上実績では、クラウド型の占める比率が76.4%となっており、ストック型のビジネスモデルと言える。クラウドサービスのうち、「V-CUBEミーティング」など汎用的なサービスは月額サブスクリプションサービスで提供しており、製薬業界向けセミナーなど「V-CUBEセミナー」による配信サービスについては、年間開催枠を設けて顧客の希望に沿った日時・場所で配信業務を行う年額サブスクリプションサービスで提供しているケースが多い。
ここ数年の傾向を見ると、汎用サービス主体の月額サブスクリプションについては、外資系を中心とした競合との競争激化により伸び悩んでいたが、2020年4月以降は新型コロナウイルス感染症拡大により、大企業などでテレワークを本格的に導入する動きが強まり、同社のサービスを利用する顧客数も増加し、売上の伸びも顕著となっている。請求社数ベースで見ると、2020年12月期第2四半期は1,393社(販売代理店経由は1社でカウント)と1年前に比べて15%増加している。なお、2020年12月期第2四半期に解約率が11.9%とやや上昇したが、これは「V-CUBEセミナー」の旧システム終息に伴う解約の影響による一時的な要因と同社では認識している。
(2) ラーニングマネジメントシステム事業
シンガポールの子会社Wizlearnの事業が中心となっている。Wizlearnでは、主にシンガポールの学校・企業向けにLMS/TMS(学習管理/教育研修管理システム)をクラウドサービスで提供している。従来は学校向けが売上の過半を占めていたが、2019年以降、政府が内製化方針を打ち出して以降減少し、2020年は企業向けが逆転する見通しとなっている。学校向けのサービス縮小に伴い、学校に派遣していたIT技術者の削減を進めたことを主因として、2020年12月期第2四半期末のシンガポールにおける従業員数は108名と前期末比で45名減少している。
(3) アプライアンス事業
アプライアンス事業では、教育機関、官公庁、企業向けのテレビ会議システム「V-CUBE Box」や、企業及び公共空間向けの個室型スマートワークブース「テレキューブ」、主に官公庁向け災害対策ソリューションとして利用される「V-CUBEボード」などの販売のほか、「V-CUBE」各種サービスで利用する周辺デバイス(マイク、スピーカー、カメラ、ヘッドセット等)やソフトウェアなどの販売が含まれる。
2. ビジネスモデル
(1) 積み上げ型のビジネスモデル
同社の売上高の7割弱を占めるクラウド型サービスは、解約がなければ新規契約分が純増する積み上げ(ストック)型のビジネスモデルとなる。月額利用料は利用規模によって異なり(例えば、5千円から数百万円までと幅広い)、契約先を増やすことと、1社当たりの契約利用料(契約ポート数×契約ポート単価)を増加させることが売上高の拡大につながる。スイッチングコストが高いため、大部分が契約を継続する長期利用となっている。
(2) コスト(費用)の構造
主なコストは、サーバー関連費用、通信回線(専用線)費用、ソフトウェア開発費用、営業費用などである。サーバーは外部のデータセンターを利用しているが、一部は同社グループ専用サーバーとして利用している。顧客(利用量)の増加に伴ってある程度サーバーを増強していく必要があるため関連費用は増加するものの、規模の拡大によるボリュームディスカウントが効きやすく、主力サービスの「V-CUBEミーティング」では限界利益率が約80%と極めて高くなっている。このため、売上規模が拡大すれば利益率も上昇することになる。加えて、2017年12月期以降取り組んできた構造改革(事業の選択と集中)によって固定費の削減も進み、高収益体質への転換が進んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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同社グループが提供するビジュアルコミュニケーションサービスは、「いつでも、どこでも、『だれでも』使える」をコンセプトに、ユーザーのPCあるいはスマートフォン、タブレット等のモバイル端末から、インターネットを通じて遠くの相手とお互いの顔や資料を共有しながら遠隔会議を行うWeb会議サービス、あるいはオンラインセミナー等に代表される、文字や音声だけでなく映像も含めたコミュニケーションサービスである。
事業セグメント別の売上高構成比(2020年12月期第2四半期累計実績)を見ると、ビジュアルコミュニケーション事業が71.8%、ラーニングマネジメントシステム事業が12.0%、アプライアンス事業が16.2%となっており、ビジュアルコミュニケーション事業が主力事業となっている。また、ラーニングマネジメントシステム事業については、シンガポール子会社であるWizlearn Technologies (以下、Wizlearn)の事業となっている。
1. 事業セグメント別内容
(1) ビジュアルコミュニケーション事業
ビジュアルコミュニケーション事業では、同社及び海外子会社で、「V-CUBEミーティング」「V-CUBEセミナー」「V-CUBE Video SDK」等の各種ビジュアルコミュニケーションサービスを提供している。また、競合であるZoomの販売代理店にもなっており、顧客ニーズがあれば「Zoomミーティング」の販売(サブスクリプション契約)も行っている。
2020年12月期第2四半期累計の売上実績では、クラウド型の占める比率が76.4%となっており、ストック型のビジネスモデルと言える。クラウドサービスのうち、「V-CUBEミーティング」など汎用的なサービスは月額サブスクリプションサービスで提供しており、製薬業界向けセミナーなど「V-CUBEセミナー」による配信サービスについては、年間開催枠を設けて顧客の希望に沿った日時・場所で配信業務を行う年額サブスクリプションサービスで提供しているケースが多い。
ここ数年の傾向を見ると、汎用サービス主体の月額サブスクリプションについては、外資系を中心とした競合との競争激化により伸び悩んでいたが、2020年4月以降は新型コロナウイルス感染症拡大により、大企業などでテレワークを本格的に導入する動きが強まり、同社のサービスを利用する顧客数も増加し、売上の伸びも顕著となっている。請求社数ベースで見ると、2020年12月期第2四半期は1,393社(販売代理店経由は1社でカウント)と1年前に比べて15%増加している。なお、2020年12月期第2四半期に解約率が11.9%とやや上昇したが、これは「V-CUBEセミナー」の旧システム終息に伴う解約の影響による一時的な要因と同社では認識している。
(2) ラーニングマネジメントシステム事業
シンガポールの子会社Wizlearnの事業が中心となっている。Wizlearnでは、主にシンガポールの学校・企業向けにLMS/TMS(学習管理/教育研修管理システム)をクラウドサービスで提供している。従来は学校向けが売上の過半を占めていたが、2019年以降、政府が内製化方針を打ち出して以降減少し、2020年は企業向けが逆転する見通しとなっている。学校向けのサービス縮小に伴い、学校に派遣していたIT技術者の削減を進めたことを主因として、2020年12月期第2四半期末のシンガポールにおける従業員数は108名と前期末比で45名減少している。
(3) アプライアンス事業
アプライアンス事業では、教育機関、官公庁、企業向けのテレビ会議システム「V-CUBE Box」や、企業及び公共空間向けの個室型スマートワークブース「テレキューブ」、主に官公庁向け災害対策ソリューションとして利用される「V-CUBEボード」などの販売のほか、「V-CUBE」各種サービスで利用する周辺デバイス(マイク、スピーカー、カメラ、ヘッドセット等)やソフトウェアなどの販売が含まれる。
2. ビジネスモデル
(1) 積み上げ型のビジネスモデル
同社の売上高の7割弱を占めるクラウド型サービスは、解約がなければ新規契約分が純増する積み上げ(ストック)型のビジネスモデルとなる。月額利用料は利用規模によって異なり(例えば、5千円から数百万円までと幅広い)、契約先を増やすことと、1社当たりの契約利用料(契約ポート数×契約ポート単価)を増加させることが売上高の拡大につながる。スイッチングコストが高いため、大部分が契約を継続する長期利用となっている。
(2) コスト(費用)の構造
主なコストは、サーバー関連費用、通信回線(専用線)費用、ソフトウェア開発費用、営業費用などである。サーバーは外部のデータセンターを利用しているが、一部は同社グループ専用サーバーとして利用している。顧客(利用量)の増加に伴ってある程度サーバーを増強していく必要があるため関連費用は増加するものの、規模の拡大によるボリュームディスカウントが効きやすく、主力サービスの「V-CUBEミーティング」では限界利益率が約80%と極めて高くなっている。このため、売上規模が拡大すれば利益率も上昇することになる。加えて、2017年12月期以降取り組んできた構造改革(事業の選択と集中)によって固定費の削減も進み、高収益体質への転換が進んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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