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ブイキューブ Research Memo(8):用途特化型サービスや「テレキューブ」に注力し、高成長を目指す

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 成長戦略
ブイキューブ<3681>は今後の成長戦略として、競合の少ないブルーオーシャン領域と位置付けられる用途特化型の映像コミュニケーションサービスや映像組み込みSDK、オンプレミスサービスでの拡販を進めていくと同時に、競争の激しいレッドオーシャン領域となる汎用Web会議サービスやテレビ会議システム(「V-CUBE Box」)では、顧客満足度向上による解約率の低減並びに顧客単価アップ施策に取り組むことで、収益成長を目指していく方針を打ち出している。同社では、2020年11月の2020年12月期第3四半期決算発表と同時に現在策定中の中期経営計画を発表する予定にしており、その内容が注目される。

(1) 用途特化型映像コミュニケーションサービス
用途特化型の映像コミュニケーションサービスとして、製薬業界向けWeb講演会や各種イベントセミナー、自治体向け緊急対策・災害対策ソリューション、映像組み込みSDKなどの拡販に注力していく。汎用Web会議サービスについては大手外資系企業との競争が激しいが、用途特化型ではサービス品質や機能だけでなく、システムを円滑に運用していくためのサポート体制が整備されているかどうかが導入の決め手となるケースが多く、こうしたサービス面については競合大手と比べて同社が強みとしているところでもある。業界ごとの商慣習や業務フローに合わせたカスタマイズにより使い勝手の良いサービスを提供し、運用や配信サポートを通じたオンラインによるコミュニケーション文化の定着を支援しながらアップセルに取り組んでいくことで高成長を実現していく。

製薬業界向けについては、製薬企業の営業プロモーションツールとして、Web講演会の活用が本格的に導入され始めている。製薬業界では年間約16万回の講演会等のイベントが開催されている。2019年までのWeb講演会の普及率は7%程度にしか過ぎなかったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でリアル講演会の開催が困難となり、Web講演会の普及が急速に進む状況となっている。

また、緊急対策・災害対策ソリューションについても、自然災害の多発によって、自治体だけでなく消防局や社会インフラ関連企業などからの受注拡大が見込まれる。同ソリューションの限界利益率に関してはハードウェアのコストが含まれるため、60%台と主要サービスの中では低いものの、競合相手はほとんどなくOnly One企業として売上拡大が期待される。

映像組み込みSDKについては、エンターテイメント企業などのライブ配信や遠隔医療における電子カルテシステムとの連携など、様々な利用シーンで活用が進んでいる。各業界においてサービスのリモート化が進むなかで、自社システムに手軽に組み込めることが成長の要因となっている。SDKの売上規模は他のサービスと比べると小さいものの、限界利益率は9割弱と高い。リモートサービスを切り口としたSDKの潜在需要は依然大きく、2021年12月期以降も高成長が続く見通しだ。

(2) テレキューブ
「テレキューブ」のうち、企業向けに関してはテレワーク用途だけでなく会議室用途としての需要もあり、2人用ブースの販売も増加している。同社では低コストで導入できるようにするため、サブスクリプション型でのサービス提供も開始しており、2020年12月期末までに100台の設置を目標としている。2020年12月期第2四半期までの実績としては、1台当たり月額8.5万円となっており、100台で月額850万円の収入、限界利益は70%程度となる。同社ではサブスクリプション型での導入を進めることで、収益基盤の安定化を図っていく。

また、公共空間向けでは、テレキューブサービスを通じてオフィスビルのエントランスや商業施設、私鉄駅構内等での設置を進め、2023年12月期までに累計設置台数で1,000台を目標としている。また、JR東日本でもシェアオフィス事業「STATION WORK」の「STATION BOOTH」として「テレキューブ」を引き続き採用し、2020年秋に「STATION WORK」を主要ターミナル駅中心に48ヶ所に設置し、今後1年以内に100ヶ所に拡大していく予定となっている。また、中期目標として2025年には1,000ヶ所の展開を目指しており、同社の収益にも貢献するものと予想される。

なお、公共空間向け「テレキューブ」が普及するかどうかは、稼働率をどの程度維持できるかにかかっている。損益分岐点となる稼働率は4割前後と見られるが、今のところ一部を除いて駅構内に設置された「テレキューブ」に関しては同水準を上回る高い稼働率で推移しているもようだ。オフィスビルや複合施設での展開についても、株主でもある三菱地所の豊富なネットワークを通じての展開が期待される。「テレキューブ」の限界利益率は、ハードウェアコストの比率が高いため30%前後(オカムラ経由を除く)と他のサービスと比較すると低いものの、現段階で競合が不在であり、かつ潜在市場が大きいことを考えると、中期的に同社の収益柱の1つとして育つ可能性が高いと弊社では見ている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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