丸運 Research Memo(5):第3次中期経営計画を策定、貨物輸送事業部をコアに海外物流事業部で成長目指す(1)
[20/11/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■丸運<9067>の今後の課題・展望
運送業界は、景気動向といった経済的な要因のほかに、ドライバー不足問題や働き方改革への対応等対処すべき課題があるが、石油関連の輸送の取り扱いも多いことから、石油業界の再編による影響を受けるのが特徴だ。
そのため、同社はまず、社員のマインドを変えることに着手した。具体的には、「守りの丸運」と称しながら肝心の守備に綻びが生じていることから、それを是正するために「丸運イノベーション」と称してパラダイムシフト研修を実行している。管理職、中間管理職、一般社員の階層ごとに分け、全部で12の研修を新たにスタートさせ、社員の意識構造を変えるように努めた。
さらに、今後も成長を目指すために、以下に示すような様々な施策を講じ、成果が現われ始めている。
1. 10年後(2030年)の「ありたい姿」
既述のとおり、研修の充実を具体例とする、業務及び意識改革を目的とする「丸運イノベーション」を柱とした経営計画体系を整備するとともに、同社グループの10年後の「ありたい姿」を事業部ごとに掲げている。
貨物輸送事業部では、輸出入一体運営を強化し、顧客のニーズに沿った物流サービスを提供することで、同社グループのけん引役を果たす考えだ。
エネルギー輸送事業部では、エネルギー需要が減少するなかでも、エリア戦略及び協力会社としての連携強化等により企業体質を強化することで、石油系元売系エネルギー輸送会社の中核会社として貢献するとともに、大都市圏での危険物保管需要を取り込み、危険物の保管配送ネットワークを構築することを掲げている。
また、海外物流事業部では、中国及びベトナムの各拠点を拡充し物流網を構築することで、主要需要家及び各国内物流ニーズを取り込むとともに、アセアン諸国との多国間取引を拡大させ、同社グループの物流品質をアジアに広める方針である。
2. 第3次中期経営計画
同社は2020年8月5日に「第3次中期経営計画」を発表した、2020年3月期を最終年度とした第2次中期経営計画に続くものだが、そこでは「ありたい姿」を見据えた課題を確認し、課題を克服するためのアクションプランを策定することを基本方針としている。
なお、第3次中期経営計画期間は「飛躍に向けた準備期間」としており、意欲的な設備投資実行の影響もあることから、目標値としてEBITDAを設定し、実力損益の改善を示している。具体的には、最終年度である2023年3月期に経常利益1,630百万円、EBITDA3,810百万円を目指す。
事業部ごとのアクションプランは以下のとおりである。
(1) 貨物輸送事業部
コア事業として事業規模拡大を目指す。具体的には、長距離配車センターを設立するとともに拠点の統廃合を行うことで、利益率の改善を目指す。また、機工事業の強化や新座流通センターの冷凍倉庫化、東扇島物流センターの活用など、高成長・高収益分野への積極投資を行うとともに、国際貨物営業部門の強化も図る。また、運賃改定や新規顧客獲得も引き続き行う方針である。
(2) エネルギー輸送事業部
縮小傾向である石油輸送に対して、事業規模維持を目指す。具体的には、ENEOSホールディングスの石油輸送中核会社化を目指すとともに、事業体質の強化を図る。合わせて、危険物倉庫の新設や危険物扱い製品の拡大といった供給インフラを効率的に整備することで、大都市圏での危険物・毒劇物需要の開拓を目指す。また、近畿エリアでの2次基地構想や関西地区での危険物倉庫新設、海外(ボーダレス)M&A案件の取り込みなどにより、大口顧客の事業戦略に対応した物流サービスを提案・提供する方針である。
(3) 海外物流事業部
海外物流事業部は、積極展開を目指す成長事業になる。具体的には、新規拠点の構築や倉庫の増床、現地企業のM&A(ベトナム)により、現地ネットワークの整備・拡充を行うとともに、既存深耕及び現地物流ニーズの取り込みを目指す。また、各国拠点の連携強化やマレーシアー中国間貿易を開拓することで多国間取引の拡大も目指している。なお、中国においては、鉄道利用輸送の利用拡大や国内代理店との協業強化も図る方針である。
3. 縮小する石油輸送への対応
2017年4月1日に、JXホールディングス(株)は東燃ゼネラル石油(株)と統合し、ENEOSホールディングス(株)が誕生した(2020年6月、ENEOSホールディングスに商号変更)。中期的に見ても石油輸送はパイが縮小傾向にあると見られており、同社では年間2%程度の縮小を見込んでいる。このような状況のなか、同社ではENEOSホールディングスの石油輸送中核化により更なる成長を目指す。
同社は関西地区で旧JX系のビジネスに強みを持っていたが、旧エクソンモービル(有)・東燃ゼネラル石油系も関西に強いことから、そこから顧客を取り込むほか、コスト削減にも努めていく。さらに石油輸送については、ドライバーの確保も重要な課題だ。危険物を取り扱うため有資格者でなければならず、特に需要期の冬場はドライバーを取り合う状況になっているという。このため、今後もドライバー確保に全力を注ぐ方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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運送業界は、景気動向といった経済的な要因のほかに、ドライバー不足問題や働き方改革への対応等対処すべき課題があるが、石油関連の輸送の取り扱いも多いことから、石油業界の再編による影響を受けるのが特徴だ。
そのため、同社はまず、社員のマインドを変えることに着手した。具体的には、「守りの丸運」と称しながら肝心の守備に綻びが生じていることから、それを是正するために「丸運イノベーション」と称してパラダイムシフト研修を実行している。管理職、中間管理職、一般社員の階層ごとに分け、全部で12の研修を新たにスタートさせ、社員の意識構造を変えるように努めた。
さらに、今後も成長を目指すために、以下に示すような様々な施策を講じ、成果が現われ始めている。
1. 10年後(2030年)の「ありたい姿」
既述のとおり、研修の充実を具体例とする、業務及び意識改革を目的とする「丸運イノベーション」を柱とした経営計画体系を整備するとともに、同社グループの10年後の「ありたい姿」を事業部ごとに掲げている。
貨物輸送事業部では、輸出入一体運営を強化し、顧客のニーズに沿った物流サービスを提供することで、同社グループのけん引役を果たす考えだ。
エネルギー輸送事業部では、エネルギー需要が減少するなかでも、エリア戦略及び協力会社としての連携強化等により企業体質を強化することで、石油系元売系エネルギー輸送会社の中核会社として貢献するとともに、大都市圏での危険物保管需要を取り込み、危険物の保管配送ネットワークを構築することを掲げている。
また、海外物流事業部では、中国及びベトナムの各拠点を拡充し物流網を構築することで、主要需要家及び各国内物流ニーズを取り込むとともに、アセアン諸国との多国間取引を拡大させ、同社グループの物流品質をアジアに広める方針である。
2. 第3次中期経営計画
同社は2020年8月5日に「第3次中期経営計画」を発表した、2020年3月期を最終年度とした第2次中期経営計画に続くものだが、そこでは「ありたい姿」を見据えた課題を確認し、課題を克服するためのアクションプランを策定することを基本方針としている。
なお、第3次中期経営計画期間は「飛躍に向けた準備期間」としており、意欲的な設備投資実行の影響もあることから、目標値としてEBITDAを設定し、実力損益の改善を示している。具体的には、最終年度である2023年3月期に経常利益1,630百万円、EBITDA3,810百万円を目指す。
事業部ごとのアクションプランは以下のとおりである。
(1) 貨物輸送事業部
コア事業として事業規模拡大を目指す。具体的には、長距離配車センターを設立するとともに拠点の統廃合を行うことで、利益率の改善を目指す。また、機工事業の強化や新座流通センターの冷凍倉庫化、東扇島物流センターの活用など、高成長・高収益分野への積極投資を行うとともに、国際貨物営業部門の強化も図る。また、運賃改定や新規顧客獲得も引き続き行う方針である。
(2) エネルギー輸送事業部
縮小傾向である石油輸送に対して、事業規模維持を目指す。具体的には、ENEOSホールディングスの石油輸送中核会社化を目指すとともに、事業体質の強化を図る。合わせて、危険物倉庫の新設や危険物扱い製品の拡大といった供給インフラを効率的に整備することで、大都市圏での危険物・毒劇物需要の開拓を目指す。また、近畿エリアでの2次基地構想や関西地区での危険物倉庫新設、海外(ボーダレス)M&A案件の取り込みなどにより、大口顧客の事業戦略に対応した物流サービスを提案・提供する方針である。
(3) 海外物流事業部
海外物流事業部は、積極展開を目指す成長事業になる。具体的には、新規拠点の構築や倉庫の増床、現地企業のM&A(ベトナム)により、現地ネットワークの整備・拡充を行うとともに、既存深耕及び現地物流ニーズの取り込みを目指す。また、各国拠点の連携強化やマレーシアー中国間貿易を開拓することで多国間取引の拡大も目指している。なお、中国においては、鉄道利用輸送の利用拡大や国内代理店との協業強化も図る方針である。
3. 縮小する石油輸送への対応
2017年4月1日に、JXホールディングス(株)は東燃ゼネラル石油(株)と統合し、ENEOSホールディングス(株)が誕生した(2020年6月、ENEOSホールディングスに商号変更)。中期的に見ても石油輸送はパイが縮小傾向にあると見られており、同社では年間2%程度の縮小を見込んでいる。このような状況のなか、同社ではENEOSホールディングスの石油輸送中核化により更なる成長を目指す。
同社は関西地区で旧JX系のビジネスに強みを持っていたが、旧エクソンモービル(有)・東燃ゼネラル石油系も関西に強いことから、そこから顧客を取り込むほか、コスト削減にも努めていく。さらに石油輸送については、ドライバーの確保も重要な課題だ。危険物を取り扱うため有資格者でなければならず、特に需要期の冬場はドライバーを取り合う状況になっているという。このため、今後もドライバー確保に全力を注ぐ方針だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 水野文也)
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