SI Research Memo(1):不採算案件とコロナ禍の影響により、2021年2月期業績は減収減益に転じる見通し
[20/11/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
システムインテグレータ<3826>は独立系のソフトウェア開発会社で、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」をコーポレート・スローガンに企業の生産性向上に寄与するソフトウェア・サービスの開発・販売を行っている。データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(以下、OBPM)」等のObject Browser事業のほか、E-Commerce事業、ERP・AI事業を展開している。また、働き方改革や育児支援等に積極的に取り組んでおり、離職率も5%未満とIT業界の中では低く、社員からの評価も高い企業として知られている。
1. 2021年2月期第2四半期累計業績の概要
2021年2月期第2四半期累計(2020年3月-8月)の売上高は、ERP事業の拡大により前年同期比10.2%増の2,151百万円と増収となったものの、利益面ではERP事業で大型不採算案件が発生(受注損失引当金127百万円を計上)したこと、並びに新型コロナウイルス感染症拡大による商談の遅れや企業の購買意欲低下により、E-Commerce事業やObject Browser事業が減収となったことが響き、経常利益で同48.1%減の145百万円と減益に転じた。なお、大型不採算案件については2020年12月の納品に向けて、現在品質向上に取り組んでいる段階だが、費用については引き当て済みであり、第3四半期以降に追加費用が発生するリスクは低いと見られる。
2. 2021年2月期業績の見通し
2021年2月期の業績は、売上高で前期比3.4%減の4,400百万円、経常利益は同24.3%減の503百万円と4期ぶりの減収減益に転じる見通しだ。売上高については新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、ERP不採算案件の改修に人的リソースを充当せざるを得なかったこともあり、すべての事業セグメントで減収を見込んでいる。利益面では、減収に伴う粗利益の減少や受注損失引当金の計上が減益要因となる。ただ、下期だけで見るとERP・AI事業やE-Commerce事業は生産性向上の効果もあって前年同期比で増益に転じる見通しとなっている。一方、Object Browser事業については、「OBPM」の販売形態がオンプレミス型(ライセンス料)から月額課金のクラウドサービス型へと移行が進む影響もあって、下期も低迷が続くと見ている。
3. 成長戦略について
今後の成長戦略として、既存事業での2ケタ成長と新規事業の収益化実現によって成長を加速していくほか、現在20%台の水準にあるストック型ビジネスの売上構成比を40%程度まで引き上げることで、収益の安定性向上と高収益体質の確立を目指していく考えだ。ERP事業やE-Commerce事業では、2ケタ成長に向けて外部協力企業の開拓を進めていく方針となっている。従前はベトナムに開発拠点を設ける予定であったが、コロナ禍で往来が難しくなっていること、国内ニアショア拠点が需給軟化により活用しやすくなったことから、当面は国内での協力企業の開拓と育成を進めていくことにし、ベトナム開発拠点の設置については2021年度以降に仕切りなおす計画だ。また、新規事業では「AISI∀-AD(アイシアAD)」(画像認識技術を用いた異常検知システム)に引き続き注力する。従前は実証試験的な引き合いがほとんどであったが、現在は実際に製造現場で導入を進めるための商談が増えてきており、2022年2月期に売上高で1億円を目指している。また、「TOPSIC」(プログラミングスキル判定サービス)についても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で足元は導入ペースが鈍化しているものの、IT企業における開発人員の採用・育成業務を効率化するツールとして認知度が徐々に広がっており、2022年2月期の収益化を目指していく。2021年2月期は不採算案件の発生もあり減収減益となる見込みだが、2022年2月期以降はこうした取り組みにより再成長に転じるものと弊社では予想している。
■Key Points
・2021年2月期第2四半期累計業績は不採算案件の発生と新型コロナウイルス感染症の影響により増収減益に
・E-Commerce事業とERP・AI事業は下期から増益に転じる見通し
・既存事業の2ケタ成長と新規事業の収益化実現、ストック型ビジネスの拡大等に取り組んでいく方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
システムインテグレータ<3826>は独立系のソフトウェア開発会社で、「時間を奪うのではなく、時間を与えるソフトウェアを創り続ける」をコーポレート・スローガンに企業の生産性向上に寄与するソフトウェア・サービスの開発・販売を行っている。データベース開発支援ツール「SI Object Browser」や統合型プロジェクト管理ツール「SI Object Browser PM(以下、OBPM)」等のObject Browser事業のほか、E-Commerce事業、ERP・AI事業を展開している。また、働き方改革や育児支援等に積極的に取り組んでおり、離職率も5%未満とIT業界の中では低く、社員からの評価も高い企業として知られている。
1. 2021年2月期第2四半期累計業績の概要
2021年2月期第2四半期累計(2020年3月-8月)の売上高は、ERP事業の拡大により前年同期比10.2%増の2,151百万円と増収となったものの、利益面ではERP事業で大型不採算案件が発生(受注損失引当金127百万円を計上)したこと、並びに新型コロナウイルス感染症拡大による商談の遅れや企業の購買意欲低下により、E-Commerce事業やObject Browser事業が減収となったことが響き、経常利益で同48.1%減の145百万円と減益に転じた。なお、大型不採算案件については2020年12月の納品に向けて、現在品質向上に取り組んでいる段階だが、費用については引き当て済みであり、第3四半期以降に追加費用が発生するリスクは低いと見られる。
2. 2021年2月期業績の見通し
2021年2月期の業績は、売上高で前期比3.4%減の4,400百万円、経常利益は同24.3%減の503百万円と4期ぶりの減収減益に転じる見通しだ。売上高については新型コロナウイルス感染症拡大の影響や、ERP不採算案件の改修に人的リソースを充当せざるを得なかったこともあり、すべての事業セグメントで減収を見込んでいる。利益面では、減収に伴う粗利益の減少や受注損失引当金の計上が減益要因となる。ただ、下期だけで見るとERP・AI事業やE-Commerce事業は生産性向上の効果もあって前年同期比で増益に転じる見通しとなっている。一方、Object Browser事業については、「OBPM」の販売形態がオンプレミス型(ライセンス料)から月額課金のクラウドサービス型へと移行が進む影響もあって、下期も低迷が続くと見ている。
3. 成長戦略について
今後の成長戦略として、既存事業での2ケタ成長と新規事業の収益化実現によって成長を加速していくほか、現在20%台の水準にあるストック型ビジネスの売上構成比を40%程度まで引き上げることで、収益の安定性向上と高収益体質の確立を目指していく考えだ。ERP事業やE-Commerce事業では、2ケタ成長に向けて外部協力企業の開拓を進めていく方針となっている。従前はベトナムに開発拠点を設ける予定であったが、コロナ禍で往来が難しくなっていること、国内ニアショア拠点が需給軟化により活用しやすくなったことから、当面は国内での協力企業の開拓と育成を進めていくことにし、ベトナム開発拠点の設置については2021年度以降に仕切りなおす計画だ。また、新規事業では「AISI∀-AD(アイシアAD)」(画像認識技術を用いた異常検知システム)に引き続き注力する。従前は実証試験的な引き合いがほとんどであったが、現在は実際に製造現場で導入を進めるための商談が増えてきており、2022年2月期に売上高で1億円を目指している。また、「TOPSIC」(プログラミングスキル判定サービス)についても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で足元は導入ペースが鈍化しているものの、IT企業における開発人員の採用・育成業務を効率化するツールとして認知度が徐々に広がっており、2022年2月期の収益化を目指していく。2021年2月期は不採算案件の発生もあり減収減益となる見込みだが、2022年2月期以降はこうした取り組みにより再成長に転じるものと弊社では予想している。
■Key Points
・2021年2月期第2四半期累計業績は不採算案件の発生と新型コロナウイルス感染症の影響により増収減益に
・E-Commerce事業とERP・AI事業は下期から増益に転じる見通し
・既存事業の2ケタ成長と新規事業の収益化実現、ストック型ビジネスの拡大等に取り組んでいく方針
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>