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SI Research Memo(8):E-Commerce事業とERP・AI事業は下期から増益に転じる見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 事業セグメント別見通し
(1) Object Browser事業
Object Browser事業は売上高で前期比14.0%減の660百万円、営業利益で同30.9%減の226百万円と減収減益を見込む。下期だけで見ても売上高は前年同期比11.7%減の333百万円、営業利益は同22.7%減の119百万円と低迷が続く見通しだ。「Object Browser」シリーズについては、9月に回復の動きが見られたが、10月に入って引き合いは鈍っており、先行きについても依然不透明感が強い。また、「OBPM」はクラウドサービスへの移行に伴う一時的な収益の目減りが下期も続く。

こうした状況下で、システムインテグレータ<3826>はWebセミナーの開催やインターネット広告などのデジタルマーケティングの強化に取り組み、契約件数の獲得に注力していく方針だ。また、「OBPM」については政府のIT導入補助金制度※の対象製品として認定を受けたことから、中小企業からの受注獲得も期待される。

※ 経済産業省ならびに独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施する、生産性向上となるITツールを導入する事業者に対して導入費用の一部を補助する制度。対象企業(資本金3億円以下または常勤従業員300人以下の企業)が補助金の申請を行い、採択されることで、費用の3/4(30万円〜450万円未満)の補助金が国から交付される。


「OBDZ」については、ユーザーからのフィードバックにより、随時、機能の改善に取り組んでおり、製品力をさらに強化していくことで導入社数のさらなる拡大を図っていく方針だ。また、導入社数が100社を超えた段階で、価格の見直しを行うことも検討している。

(2) E-Commerce事業
E-Commerce事業は売上高で前期比4.8%減の790百万円、営業利益で同21.3%減の162百万円を見込む。下期だけで見ると売上高は前年同期比5.8%増の454百万円、営業利益は同6.9%増の108百万円と増収増益に転じる見通しとなっている。下期にずれ込んでいた開発案件が売上に貢献すること、開発要員の稼働率も前年同期並みに回復することが要因だ。

とは言え、EC市場が2ケタ成長で伸びている環境であることを考えれば、成長の波に乗り切れていない印象であり、その要因として開発リソース不足が課題となっている。このため、同社では外部協力企業の開拓を進め、開発リソースを拡充することで、大規模化するECサイトのリニューアル案件を中心に受注を獲得していく方針としている。

(3) ERP・AI事業
ERP・AI事業は売上高で前期比0.2%減の2,910百万円、営業利益で同13.1%減の159百万円を見込む。このうち、ERP事業は売上高で前期比0.2%減の2,900百万円、営業利益は同4.7%減の265百万円を見込んでいる。下期だけで見ると売上高は前年同期比18.7%減の1,432百万円、営業利益は同4.9%増の213百万円となる見通しだ。不採算案件の改修に開発要員が振り向けられた影響で、下期の売上高は対上期比でも若干減少するが、利益面では生産性向上により増益を見込んでいる。新型コロナウイルス感染症拡大の影響でIT投資の冷え込みが懸念されているものの、DX(デジタルトランスフォーメーション)化への取り組みは各社の経営課題となっており、ERPシステムの引き合いについては更新案件も含めて堅調に推移しているようだ。

一方、AI事業については売上高で10百万円(前期は9百万円)、営業損失で106百万円(前期は95百万円の損失)を見込む。「AISI∀-AD」については、大手企業4社への導入が見込まれており、実証試験の段階から実際の製造現場での導入へと進んでいる。現在、導入に取り組んでいるフィルムメーカー向けでは、高速ライン上でのフィルムの傷や汚れ等をカメラとAI、エッジコンピュータなどを使って高精度に自動検査するシステムとなり、同案件を成功事例としてフィルム業界での横展開を進めていく戦略となっている。2022年2月期に売上目標として1億円程度を目指し、2023年3月期以降収益貢献を目指している。

(4) その他
「TOPSIC」の売上高は前期比5.7%減の40百万円、営業損失はその他開発費も含めて47百万円(前期は54百万円の損失)を見込む。下期だけで見ると売上高は前年同期比11.2%減の24百万円、営業損失は25百万円(前年同期は28百万円の損失)となる。「TOPSIC」の減収要因は、2020年10月に開催された「PG BATTLE」のスポンサー料が前期比で3百万円減少したことが要因となっている。下期についても契約件数については慎重に見ていることから、サービス利用料については前期比横ばい水準を計画している。

IT業界を中心にエンジニアの人手不足は現在も続いており、採用費が増大するなかで簡単・迅速にプログラミングスキルを判別できる「TOPSIC」の潜在需要は大きいと見られる。外国人エンジニアの採用や外注先企業等のスキルを判別する際にも「TOPSIC」は有効なツールとして活用できることから、新型コロナウイルス感染症の影響が一巡すれば再度成長軌道に乗ることが予想される。なお、学校など教育機関向けも大きな市場で、販売ネットワークを持つ商社とパートナーを組んで取り組んでいるが、学校側のITリテラシーがまだ十分でなく、普及までにはしばらく時間がかかるものと同社では考えている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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