TKP Research Memo(6):コロナ禍での新たな需要へ対応するとともに、アライアンス戦略にも積極的に取り組む
[20/11/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ティーケーピー<3479>の新型コロナウイルス感染症拡大における経営方針と進捗
1. 新型コロナウイルス感染症収束までの施策
(1)十分な運転資金の確保と固定費の圧縮
既述のとおり、「現金及び預金」及び「調達枠」を含め、2020年8月末の運転資金として350億円超を確保した。また、費用面についても役員報酬の自主返納を含む人件費の削減や地代家賃の圧縮等により、第2四半期の主要費用はピーク時(2020年2月期第3四半期)の約80%にまで削減。さらに下期には新規出店の抑制やオペレーション見直しに伴って一層の費用減少を見込む。
(2)事業の選択と集中
コア事業のフレキシブルオフィス事業に注力するほか、周辺事業については選択と集中により準コア事業とノンコア事業とに分けて展開していく方針である。準コア事業においては、都市型宿泊×研修施設である「アパホテル(フランチャイズ運営)」や、郊外型宿泊×研修施設である「石のや」及び「レクトーレ」が順調に回復。「アパホテル」の平均稼働率は約70%まで復活するとともに、「石のや」及び「レクトーレ」についてもGo Toトラベルによるリゾート需要の増加※により足元好調のようだ。また、「コールセンター」や「イベントプロデュース」などもコロナ禍における新たな需要を取り込んでいる。
※Go Toトラベルを受けた東京近郊のリゾート需要の高まりにより「伊豆長岡温泉Villa Garden 石のや」は8月に過去最高売上を達成。また、2020年9月16日に「石のや 熱海」を新規オープンし、ワーケーション(ワーク×バケーションを表す造語)等の新規需要にも対応していく計画である。
(3)需要の変化への対応
コロナ禍におけるオプション需要や利用形態の変化、長期貸し案件の増加など、コロナ禍をきっかけとした新たなビジネスチャンスへの対応を図ることで、商品ラインナップや新サービスを強化していく方針である。特にTKP本体においては、カンファレンスセンター以下のグレードで、試験会場利用やウェビナー案件の需要が旺盛であるとともに、2日以上にわたって利用する長期貸し案件も増加しており、業績の底上げに貢献している。なお、ウェビナーについては、グループ会社のメジャースを中心とした専門スタッフによるトータルサポートに強みが発揮されており、第2四半期の受注件数は第1四半期比2.5倍に急増。今後、TKP会場と最新の高性能機材や通信速度の安定した回線等をセットにして、より高品質なサービスを提供する「TKPウェビナーパッケージプラン」の販売を強化していく。また、英検や入試などの試験会場においてもソーシャルディスタンス確保のため、多くのスペースを利用する「サテライト試験会場」の需要が拡大している。これらの対応策が奏功し、第2四半期におけるコールセンター問い合わせ件数は前年同期比で80%水準まで回復するとともに、新規案件単価は前年よりも上昇傾向にあるようだ。
2. 出店方針
コロナ禍をきっかけとしたオフィス環境の変化(オフィス規模の縮小、空室率の上昇、サテライトオフィス需要の増加等)は、同社にとって追い風になるとの認識のもと、当面の新規出店についてはリージャス中心、またはTKP本体との共同出店としていく方針である。一方、TKP本体の単独出店は抑制したうえで、提携による他社施設の活用により初期費用をかけずにスペースの拡大を図る戦略だ。また、出店エリアは、「ハブアンドスポーク型モデル」※の流れに対応し、本社ビル集積地に加え、住宅地域から都心部へのハブとなる駅(東京・新橋、品川、渋谷、新宿、赤坂・六本木等のエリア)を出店候補地としている。さらには、ビル1棟型のコワーキングスペース「SPACES」も新たに展開。一部をTKP本体の出店とすることで損益分岐点に達するまでの期間を短縮する戦略を描いており、すでに「SPACES新宿」をオープンし、2022年2月期にさらに2棟をオープン予定である。
※今後のオフィスの在り方として、都心部においては本社オフィスと複数のサテライトオフィスで構成されるネットワーク展開。
3. アライアンス戦略
既述のとおり、ブライダルやホテル、飲食店、商業施設のほか、鉄道会社、空港など、好立地や遊休スペースを有する企業を候補先として、アライアンス強化にも取り組む。2020年7月16日には全国で結婚施設を運営するエスクリ<2196>との資本業務提携を締結。平日をメインにエスクリの遊休施設を共同ブランド「CIRQ(シルク)」に転換し、同社が顧客企業のパーティや懇親会の会場として活用する。同社にとっては、全国主要都市の駅近を中心に展開しているエスクリ施設を活用することで、ブライダルクオリティの会場を同社の商品ラインナップに追加することができ、出店コストをかけずにスペースの拡大を図ることができる。また、他にも積極的にアライアンスを進めており、内田洋行<8057>との共同企画では、コロナ禍で高まっている「リスクヘッジのための分散型オフィス」や「テレワーク・リモートワークが可能な場所」などのニーズに応えるため、次世代型オフィススペースの提供を開始した。さらにはフレキシブルの概念をTKPの飲食店舗に活用する「フレキシブル店舗」プロジェクト※を開始し、その第一弾として「富士そば」コラボを実施。2020年9月14日から10月末までの期間限定でTKP札幌ビル内の「ティーケーピーカフェテリア」にて「富士そば」メニューをランチタイムにて提供した。なお、この第一弾が大好評にて終了したため、第二弾として「北海道ザンギ連盟」とコラボを実施。同年12月末までの期間限定で、引き続きTKP札幌ビル内の「ティーケーピーカフェテリア」にて「ザンギ専門店にじゅう-肉汁-」の名称で、北海道のソウルフードである「ザンギ(鶏のから揚げ)」メニューをランチタイムにて提供している。
※他社とのコラボによって、これまでになかった新メニューを提供するなど、変幻自在に店舗スタイルを変えていく新たなプロジェクト。その地域に未出店の名店を全国から取り寄せ、忙しいビジネスパーソンに魅力的なメニューを安全・安心かつスピーディーに提供することを目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 新型コロナウイルス感染症収束までの施策
(1)十分な運転資金の確保と固定費の圧縮
既述のとおり、「現金及び預金」及び「調達枠」を含め、2020年8月末の運転資金として350億円超を確保した。また、費用面についても役員報酬の自主返納を含む人件費の削減や地代家賃の圧縮等により、第2四半期の主要費用はピーク時(2020年2月期第3四半期)の約80%にまで削減。さらに下期には新規出店の抑制やオペレーション見直しに伴って一層の費用減少を見込む。
(2)事業の選択と集中
コア事業のフレキシブルオフィス事業に注力するほか、周辺事業については選択と集中により準コア事業とノンコア事業とに分けて展開していく方針である。準コア事業においては、都市型宿泊×研修施設である「アパホテル(フランチャイズ運営)」や、郊外型宿泊×研修施設である「石のや」及び「レクトーレ」が順調に回復。「アパホテル」の平均稼働率は約70%まで復活するとともに、「石のや」及び「レクトーレ」についてもGo Toトラベルによるリゾート需要の増加※により足元好調のようだ。また、「コールセンター」や「イベントプロデュース」などもコロナ禍における新たな需要を取り込んでいる。
※Go Toトラベルを受けた東京近郊のリゾート需要の高まりにより「伊豆長岡温泉Villa Garden 石のや」は8月に過去最高売上を達成。また、2020年9月16日に「石のや 熱海」を新規オープンし、ワーケーション(ワーク×バケーションを表す造語)等の新規需要にも対応していく計画である。
(3)需要の変化への対応
コロナ禍におけるオプション需要や利用形態の変化、長期貸し案件の増加など、コロナ禍をきっかけとした新たなビジネスチャンスへの対応を図ることで、商品ラインナップや新サービスを強化していく方針である。特にTKP本体においては、カンファレンスセンター以下のグレードで、試験会場利用やウェビナー案件の需要が旺盛であるとともに、2日以上にわたって利用する長期貸し案件も増加しており、業績の底上げに貢献している。なお、ウェビナーについては、グループ会社のメジャースを中心とした専門スタッフによるトータルサポートに強みが発揮されており、第2四半期の受注件数は第1四半期比2.5倍に急増。今後、TKP会場と最新の高性能機材や通信速度の安定した回線等をセットにして、より高品質なサービスを提供する「TKPウェビナーパッケージプラン」の販売を強化していく。また、英検や入試などの試験会場においてもソーシャルディスタンス確保のため、多くのスペースを利用する「サテライト試験会場」の需要が拡大している。これらの対応策が奏功し、第2四半期におけるコールセンター問い合わせ件数は前年同期比で80%水準まで回復するとともに、新規案件単価は前年よりも上昇傾向にあるようだ。
2. 出店方針
コロナ禍をきっかけとしたオフィス環境の変化(オフィス規模の縮小、空室率の上昇、サテライトオフィス需要の増加等)は、同社にとって追い風になるとの認識のもと、当面の新規出店についてはリージャス中心、またはTKP本体との共同出店としていく方針である。一方、TKP本体の単独出店は抑制したうえで、提携による他社施設の活用により初期費用をかけずにスペースの拡大を図る戦略だ。また、出店エリアは、「ハブアンドスポーク型モデル」※の流れに対応し、本社ビル集積地に加え、住宅地域から都心部へのハブとなる駅(東京・新橋、品川、渋谷、新宿、赤坂・六本木等のエリア)を出店候補地としている。さらには、ビル1棟型のコワーキングスペース「SPACES」も新たに展開。一部をTKP本体の出店とすることで損益分岐点に達するまでの期間を短縮する戦略を描いており、すでに「SPACES新宿」をオープンし、2022年2月期にさらに2棟をオープン予定である。
※今後のオフィスの在り方として、都心部においては本社オフィスと複数のサテライトオフィスで構成されるネットワーク展開。
3. アライアンス戦略
既述のとおり、ブライダルやホテル、飲食店、商業施設のほか、鉄道会社、空港など、好立地や遊休スペースを有する企業を候補先として、アライアンス強化にも取り組む。2020年7月16日には全国で結婚施設を運営するエスクリ<2196>との資本業務提携を締結。平日をメインにエスクリの遊休施設を共同ブランド「CIRQ(シルク)」に転換し、同社が顧客企業のパーティや懇親会の会場として活用する。同社にとっては、全国主要都市の駅近を中心に展開しているエスクリ施設を活用することで、ブライダルクオリティの会場を同社の商品ラインナップに追加することができ、出店コストをかけずにスペースの拡大を図ることができる。また、他にも積極的にアライアンスを進めており、内田洋行<8057>との共同企画では、コロナ禍で高まっている「リスクヘッジのための分散型オフィス」や「テレワーク・リモートワークが可能な場所」などのニーズに応えるため、次世代型オフィススペースの提供を開始した。さらにはフレキシブルの概念をTKPの飲食店舗に活用する「フレキシブル店舗」プロジェクト※を開始し、その第一弾として「富士そば」コラボを実施。2020年9月14日から10月末までの期間限定でTKP札幌ビル内の「ティーケーピーカフェテリア」にて「富士そば」メニューをランチタイムにて提供した。なお、この第一弾が大好評にて終了したため、第二弾として「北海道ザンギ連盟」とコラボを実施。同年12月末までの期間限定で、引き続きTKP札幌ビル内の「ティーケーピーカフェテリア」にて「ザンギ専門店にじゅう-肉汁-」の名称で、北海道のソウルフードである「ザンギ(鶏のから揚げ)」メニューをランチタイムにて提供している。
※他社とのコラボによって、これまでになかった新メニューを提供するなど、変幻自在に店舗スタイルを変えていく新たなプロジェクト。その地域に未出店の名店を全国から取り寄せ、忙しいビジネスパーソンに魅力的なメニューを安全・安心かつスピーディーに提供することを目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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