エルテス Research Memo(2):リスク検知に特化したビッグデータ解析が強み
[20/11/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 事業内容
エルテス<3967>は、「次々と現れる新たなデジタルリスクに立ち向かい、デジタルリスクを解決すること」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析ソリューションを展開している。主力の「ソーシャルリスクサービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。最近では、社内ログデータを対象として情報漏えいや隠れ超過残業などを検知する「内部脅威検知サービス」も着実に伸びている。さらには、警備業界のデジタルトランスフォーメーションを支援する「AIセキュリティ事業」のほか、新たな社会インフラとして注目されている「情報銀行」(詳細は後述)や「電子政府」の実現に向けた新規事業の開発に取り組むとともに、足元ではコロナ禍関連の新たな需要に対応する新サービスも順調に立ち上がってきた。
顧客基盤は大手航空会社や食品、外食、ホテルをはじめ、メーカーや金融機関など幅広く、有力ブランドを持つ大手企業を中心に年間400社以上(延べ1,000社以上)、契約数は500件以上の取引実績を誇る。無料セミナーや提携先企業からの紹介、積極的な広告宣伝活動等を通じた新規顧客の獲得と契約継続率の高さが同社業績の伸びをけん引してきた。特に、ソーシャルリスクの影響を受けやすい外食業界や食品業界向けの売上構成比率が高いが、最近では「内部脅威検知サービス」への展開などにより、高度な技術情報を持つ製造業など、多様な顧客層へと拡充している。
事業セグメントは、「デジタルリスク事業」と「その他事業」(AIセキュリティ事業や電子政府関連等から構成)の2つのセグメントに区分される。現時点では、「デジタルリスク事業」が売上高の約95%を占めているが、将来的には、「AIセキュリティ事業」や「電子政府関連」などポテンシャルの大きな新規事業による成長加速を目指している。
(1) デジタルリスク事業
a) ソーシャルリスクサービス
これまでの成長をけん引してきた主力サービスであり、「リスクコンサルティングサービス」と「リスクモニタリングサービス」の大きく2つに分けられる。創業来の「リスクコンサルティングサービス」は、ソーシャルリスクに関する危機発生後に、顧客が適切な対応を取れるようにアドバイスを行うサービスであり、リスクが顕在化している企業や組織に対して、事後のレピュテーション回復(及びブランド再構築)に向けたサービスを提供している。一方、「リスクモニタリングサービス」は、ソーシャルリスクの発生を早期に検知及び把握するもので、24時間365日、Twitter等のSNSやネット掲示板といったソーシャルメディア上の投稿を分析し、リスクの予兆があれば緊急通知の実施や対応方法のアドバイスを行い、危険投稿がなければ日報で報告するサービスである(月報でのトレンド報告を含む)。同社では、リスク予防型で契約継続率の高い「リスクモニタリングサービス」による収益基盤の積み上げを目指している。
b) 内部脅威検知サービス
企業内のログデータや管理情報を統合的に分析し、内部からの情報漏えいや内部不正リスクを検知するサービスである。データ上に現れる「人の動き」を解析し、デジタルリスクの予兆を捉えるところに特徴があり、膨大な組織内部のシステムログや管理データから、同社独自のアルゴリズムによりリスクの高い行動パターンを認識し、危険度や緊急度の高いものは即時通知することで、未然防止につなげることができる。契約数は着実に積み上がっており、2本目の事業の柱となってきた。2020年1月からは「AIリスク管理プラットフォーム」としてサービス提供を開始した。これまでは月次レポート文書で納品していたが、今後はプラットフォーム画面から随時確認できるようになっており、リアルタイム性が大幅に向上するとともに、同社アナリストとの画面上のやりとりを通じて円滑な対応を進めることが可能となっている。
(2) その他事業
a) AIセキュリティ事業
リスク情報分析や危機対応支援などを含め、警備業界のデジタルトランスフォーメーションを支援するAIプラットフォーム「AIK」※や「デジタル信用調査」を提供している。
※連結子会社の(株)エルテスセキュリティインテリジェンスが手掛けている。
b) デジタルガバメント関連事業
2017年3月に提携したサイバネティカ(エストニア)※1の情報共有技術「UXP」や本人認証技術「SplitKey」を活用したアプリケーションの企画・開発(情報銀行※2向けソリューションや電子政府関連等)を進めており、後述する「信託プラットフォーム」構築(実証実験)では一部収益化を実現している。
※1 電子政府先進国であるエストニアにおいて、電子政府の基盤となるシステム「X-Road」でのデータベース連携のセキュリティシステムの構築、電子投票ソフトウェアの開発を行うなど、電子政府プロジェクトにおいて優れた実績を保有する。
※2 IoT、AIの発展により、膨大な量のデータを収集・分析する環境が整いつつあるなか、パーソナルデータの利活用が注目されているが、その仕組みの1つである「情報銀行」とは、個人からパーソナルデータ(プロフィール、購入履歴、健康情報など)を預かり、預かったデータを個人に代わって管理・提供し、得た利益を個人に還元する仕組みである。一方、利用事業者にとってはデータの提供を受けることにより、個人のニーズに即したサービスの提供が可能となる。2019年3月から政府による事業者認定が開始されており、多数の企業が参入を表明している。
c) 新規事業
デジタル分析領域のベンチャー投資事業※を行っている。
※連結子会社の(株)エルテスキャピタルが展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 事業内容
エルテス<3967>は、「次々と現れる新たなデジタルリスクに立ち向かい、デジタルリスクを解決すること」をミッションに掲げ、リスク検知に特化したビッグデータ解析ソリューションを展開している。主力の「ソーシャルリスクサービス」は、SNSやブログ、検索サイトなどWeb上の様々なメディアに起因するリスクに対するソリューションを提供するものである。インターネットの普及やデジタルデバイスの進化により、利便性の向上と引き換えに様々なリスク(従業員による不適切投稿等に伴う風評被害やネット炎上等)が顕在化するなか、ソーシャルメディアの監視から緊急対応、その後の対応まで、顧客のリスクマネジメントをワンストップで支援する独自のポジショニングにより成長を実現してきた。最近では、社内ログデータを対象として情報漏えいや隠れ超過残業などを検知する「内部脅威検知サービス」も着実に伸びている。さらには、警備業界のデジタルトランスフォーメーションを支援する「AIセキュリティ事業」のほか、新たな社会インフラとして注目されている「情報銀行」(詳細は後述)や「電子政府」の実現に向けた新規事業の開発に取り組むとともに、足元ではコロナ禍関連の新たな需要に対応する新サービスも順調に立ち上がってきた。
顧客基盤は大手航空会社や食品、外食、ホテルをはじめ、メーカーや金融機関など幅広く、有力ブランドを持つ大手企業を中心に年間400社以上(延べ1,000社以上)、契約数は500件以上の取引実績を誇る。無料セミナーや提携先企業からの紹介、積極的な広告宣伝活動等を通じた新規顧客の獲得と契約継続率の高さが同社業績の伸びをけん引してきた。特に、ソーシャルリスクの影響を受けやすい外食業界や食品業界向けの売上構成比率が高いが、最近では「内部脅威検知サービス」への展開などにより、高度な技術情報を持つ製造業など、多様な顧客層へと拡充している。
事業セグメントは、「デジタルリスク事業」と「その他事業」(AIセキュリティ事業や電子政府関連等から構成)の2つのセグメントに区分される。現時点では、「デジタルリスク事業」が売上高の約95%を占めているが、将来的には、「AIセキュリティ事業」や「電子政府関連」などポテンシャルの大きな新規事業による成長加速を目指している。
(1) デジタルリスク事業
a) ソーシャルリスクサービス
これまでの成長をけん引してきた主力サービスであり、「リスクコンサルティングサービス」と「リスクモニタリングサービス」の大きく2つに分けられる。創業来の「リスクコンサルティングサービス」は、ソーシャルリスクに関する危機発生後に、顧客が適切な対応を取れるようにアドバイスを行うサービスであり、リスクが顕在化している企業や組織に対して、事後のレピュテーション回復(及びブランド再構築)に向けたサービスを提供している。一方、「リスクモニタリングサービス」は、ソーシャルリスクの発生を早期に検知及び把握するもので、24時間365日、Twitter等のSNSやネット掲示板といったソーシャルメディア上の投稿を分析し、リスクの予兆があれば緊急通知の実施や対応方法のアドバイスを行い、危険投稿がなければ日報で報告するサービスである(月報でのトレンド報告を含む)。同社では、リスク予防型で契約継続率の高い「リスクモニタリングサービス」による収益基盤の積み上げを目指している。
b) 内部脅威検知サービス
企業内のログデータや管理情報を統合的に分析し、内部からの情報漏えいや内部不正リスクを検知するサービスである。データ上に現れる「人の動き」を解析し、デジタルリスクの予兆を捉えるところに特徴があり、膨大な組織内部のシステムログや管理データから、同社独自のアルゴリズムによりリスクの高い行動パターンを認識し、危険度や緊急度の高いものは即時通知することで、未然防止につなげることができる。契約数は着実に積み上がっており、2本目の事業の柱となってきた。2020年1月からは「AIリスク管理プラットフォーム」としてサービス提供を開始した。これまでは月次レポート文書で納品していたが、今後はプラットフォーム画面から随時確認できるようになっており、リアルタイム性が大幅に向上するとともに、同社アナリストとの画面上のやりとりを通じて円滑な対応を進めることが可能となっている。
(2) その他事業
a) AIセキュリティ事業
リスク情報分析や危機対応支援などを含め、警備業界のデジタルトランスフォーメーションを支援するAIプラットフォーム「AIK」※や「デジタル信用調査」を提供している。
※連結子会社の(株)エルテスセキュリティインテリジェンスが手掛けている。
b) デジタルガバメント関連事業
2017年3月に提携したサイバネティカ(エストニア)※1の情報共有技術「UXP」や本人認証技術「SplitKey」を活用したアプリケーションの企画・開発(情報銀行※2向けソリューションや電子政府関連等)を進めており、後述する「信託プラットフォーム」構築(実証実験)では一部収益化を実現している。
※1 電子政府先進国であるエストニアにおいて、電子政府の基盤となるシステム「X-Road」でのデータベース連携のセキュリティシステムの構築、電子投票ソフトウェアの開発を行うなど、電子政府プロジェクトにおいて優れた実績を保有する。
※2 IoT、AIの発展により、膨大な量のデータを収集・分析する環境が整いつつあるなか、パーソナルデータの利活用が注目されているが、その仕組みの1つである「情報銀行」とは、個人からパーソナルデータ(プロフィール、購入履歴、健康情報など)を預かり、預かったデータを個人に代わって管理・提供し、得た利益を個人に還元する仕組みである。一方、利用事業者にとってはデータの提供を受けることにより、個人のニーズに即したサービスの提供が可能となる。2019年3月から政府による事業者認定が開始されており、多数の企業が参入を表明している。
c) 新規事業
デジタル分析領域のベンチャー投資事業※を行っている。
※連結子会社の(株)エルテスキャピタルが展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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