エルテス Research Memo(7):テクノロジーの発展に伴う様々なデジタルリスクに対応
[20/11/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の方向性と取り組み
1. 成長戦略の方向性
これからもIoTやブロックチェーン、仮想通貨、自動運転など、新しいテクノロジーが出るたびに、新たなデジタルリスクの発生が予想されるが、それらのデジタルリスクに対応していくことにより成長を加速する方向性である。エルテス<3967>はこれまでも、SNS上のオープンデータの収集・解析(風評ダメージや炎上対策)から始まり、組織内ログデータ(情報漏えい対策)、勤怠・入退室データ(生産性向上)など、より機密性の高いデータへと分析対象を拡げることで、顧客企業に対するソリューションの幅(影響範囲)も拡げてきたが、今後も、増加するデジタルデータを分析対象に加えるとともに、新たな顧客層(中小企業や零細・個人事業)を獲得するための新規プロダクトの開発にも取り組む。
加えて、デジタルリスクから派生する新たな社会課題(テロ対策、電子政府化、金融犯罪対策等)の解決に向けた貢献を同社自身の成長につなげていく戦略を描いている。
2. 今後の取り組み
同社は、デジタルリスク分野の第一人者のポジションを確立するため、以下の5つの施策を実施する計画である。
(1) 継続率の更なる向上
具体的な施策として、クライアントのフォロー体制の強化、既存プロダクトの絶え間ないアップデート、顧客ニーズに合わせたプライシングなどに取り組み、クライアントとの継続的な関係構築に向けた取り組みを一層強化する。
(2) 新規契約社数の増加
既存プロダクトの営業体制の強化(代理店との協力による拡販体制の強化を含む)に加え、新たな顧客層を獲得するための新規プロダクトの開発の2軸により顧客基盤の拡大を図る。特に新規プロダクトについては、「中小企業向け」や「零細・個人事業向け」の開発により顧客層の拡がりを狙う。
(3) 多様な領域でのリスク検知プロダクトの開発
前述のコロナ禍関連の新サービス(feve等)に見られるように、今後も新しいデジタルリスクが発生しても検知できるソリューションをはじめ、多様な領域の商材を継続的に開発していく。
(4) データ活用力と組織運営力の向上
今後もグループ全体でDX推進・業務プロセス進化(ビッグデータ活用、テレワークへの対応、グループ子会社の活用等)を図るとともに、組織力強化に向けた人材採用(営業体制をはじめ、経営人材やシステム開発人材の強化等)を加速化していく。
(5) 業界リーディングポジションを確立するためのマーケティング活動
日経新聞広告やデジタルリスクフォーラム2020の開催、大学への寄付講座の実施など、今後もデジタルリスク分野の第一人者のポジションを確立するためのマーケティングを継続的に実施し、市場創造、営業機会の創出を実現していく。
3. 弊社の注目点
弊社でも、足元業績はコロナ禍の影響を受けているものの、デジタル化の進展に伴う新たなリスク対策ニーズの拡大に加えて、今回のコロナ禍の拡大がデジタル化の流れを一気に加速させる可能性が見込まれるなかで、他社に先行して優位性を構築してきた同社にとっては、高い成長を実現するチャンスであると捉えている。特に、着実に導入数が増えている「内部脅威検知サービス」は、潜在的な市場規模が大きく、競合も少ないことから圧倒的なポジショニングを確立する可能性が高い。また、新たに開始した「従業員感染リスク管理プラットフォーム(feve)」によるプレゼンス向上をはじめ、ポテンシャルの大きい情報共有技術や本人認証技術の活用(電子政府関連等)についても、将来を見据えた先行投資により早い段階で事業を立ち上げ、実証実験等を積み上げていく同社の戦略は、理にかなったものと評価できる。IT先進国のエストニアにて導入実績のある情報共有技術や本人認証技術をいかに活用していくのかが今後の成功要因となるだろう。これからも新規事業の進捗を含め、具体的なソリューション実績のほか、案件や顧客層の拡がりをフォローするとともに、事業拡大に向けた社内体制の強化をはじめ、他社との連携やM&Aなど外部リソースの活用にも注目したい。
■株主還元等
投資を優先すべきフェーズであることから、しばらくは無配が継続する見通し
同社は、成長過程にあり、獲得した資金については、優先的にシステム等の設備投資や人材の採用及び育成投資などの事業投資に振り向ける方針としている。したがって、しばらくは無配が継続するものと弊社では予想している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<YM>
1. 成長戦略の方向性
これからもIoTやブロックチェーン、仮想通貨、自動運転など、新しいテクノロジーが出るたびに、新たなデジタルリスクの発生が予想されるが、それらのデジタルリスクに対応していくことにより成長を加速する方向性である。エルテス<3967>はこれまでも、SNS上のオープンデータの収集・解析(風評ダメージや炎上対策)から始まり、組織内ログデータ(情報漏えい対策)、勤怠・入退室データ(生産性向上)など、より機密性の高いデータへと分析対象を拡げることで、顧客企業に対するソリューションの幅(影響範囲)も拡げてきたが、今後も、増加するデジタルデータを分析対象に加えるとともに、新たな顧客層(中小企業や零細・個人事業)を獲得するための新規プロダクトの開発にも取り組む。
加えて、デジタルリスクから派生する新たな社会課題(テロ対策、電子政府化、金融犯罪対策等)の解決に向けた貢献を同社自身の成長につなげていく戦略を描いている。
2. 今後の取り組み
同社は、デジタルリスク分野の第一人者のポジションを確立するため、以下の5つの施策を実施する計画である。
(1) 継続率の更なる向上
具体的な施策として、クライアントのフォロー体制の強化、既存プロダクトの絶え間ないアップデート、顧客ニーズに合わせたプライシングなどに取り組み、クライアントとの継続的な関係構築に向けた取り組みを一層強化する。
(2) 新規契約社数の増加
既存プロダクトの営業体制の強化(代理店との協力による拡販体制の強化を含む)に加え、新たな顧客層を獲得するための新規プロダクトの開発の2軸により顧客基盤の拡大を図る。特に新規プロダクトについては、「中小企業向け」や「零細・個人事業向け」の開発により顧客層の拡がりを狙う。
(3) 多様な領域でのリスク検知プロダクトの開発
前述のコロナ禍関連の新サービス(feve等)に見られるように、今後も新しいデジタルリスクが発生しても検知できるソリューションをはじめ、多様な領域の商材を継続的に開発していく。
(4) データ活用力と組織運営力の向上
今後もグループ全体でDX推進・業務プロセス進化(ビッグデータ活用、テレワークへの対応、グループ子会社の活用等)を図るとともに、組織力強化に向けた人材採用(営業体制をはじめ、経営人材やシステム開発人材の強化等)を加速化していく。
(5) 業界リーディングポジションを確立するためのマーケティング活動
日経新聞広告やデジタルリスクフォーラム2020の開催、大学への寄付講座の実施など、今後もデジタルリスク分野の第一人者のポジションを確立するためのマーケティングを継続的に実施し、市場創造、営業機会の創出を実現していく。
3. 弊社の注目点
弊社でも、足元業績はコロナ禍の影響を受けているものの、デジタル化の進展に伴う新たなリスク対策ニーズの拡大に加えて、今回のコロナ禍の拡大がデジタル化の流れを一気に加速させる可能性が見込まれるなかで、他社に先行して優位性を構築してきた同社にとっては、高い成長を実現するチャンスであると捉えている。特に、着実に導入数が増えている「内部脅威検知サービス」は、潜在的な市場規模が大きく、競合も少ないことから圧倒的なポジショニングを確立する可能性が高い。また、新たに開始した「従業員感染リスク管理プラットフォーム(feve)」によるプレゼンス向上をはじめ、ポテンシャルの大きい情報共有技術や本人認証技術の活用(電子政府関連等)についても、将来を見据えた先行投資により早い段階で事業を立ち上げ、実証実験等を積み上げていく同社の戦略は、理にかなったものと評価できる。IT先進国のエストニアにて導入実績のある情報共有技術や本人認証技術をいかに活用していくのかが今後の成功要因となるだろう。これからも新規事業の進捗を含め、具体的なソリューション実績のほか、案件や顧客層の拡がりをフォローするとともに、事業拡大に向けた社内体制の強化をはじめ、他社との連携やM&Aなど外部リソースの活用にも注目したい。
■株主還元等
投資を優先すべきフェーズであることから、しばらくは無配が継続する見通し
同社は、成長過程にあり、獲得した資金については、優先的にシステム等の設備投資や人材の採用及び育成投資などの事業投資に振り向ける方針としている。したがって、しばらくは無配が継続するものと弊社では予想している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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