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ヒトコムHD Research Memo(8):2021年8月期は、3つの新たなデジタル営業支援サービスを開始

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2021年8月期業績予想
ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングス<4433>の2021年8月期の業績予想は、売上高が前期比2.1%増の73,000百万円、営業利益が同11.1%増の3,500百万円、経常利益が同7.1%増の3,600百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同37.1%増の1,880百万円である。半期ベースの前年同期比増減率は、売上高が上期-1.9%:下期+6.2%、営業利益が-10.2%:+43.4%となる。営業利益の2020年8月期実績と2021年8月期予想の半期ベースの推移は、1,894百万円:1,255百万円、1,700百万円:1,800百万円が見込まれている。

セクター別通期売上高の前期比増減額及び増減率は、デジタル営業支援が+1,893百万円、+5.7%、販売系営業支援が+434百万円、+2.0%、ホールセールが+193百万円、+2.5%、ツーリズム・スポーツが-1,082百万円、-19.2%、セールスビジネス支援が+44百万円、+6.0%、その他が+17百万円、+0.8%である。

デジタル営業支援は、2020年8月期の伸び率が21.6%と高く、2021年8月期は増収率が鈍化する。また、2020年8月期下期はリアル店舗の休業や営業時間の短縮により、消費者の購買がECに集中するという特殊な状態であった。既存ECサイトの運営強化だけでなく、食品分野等の新業態への取り組みを強化することで拡張を図る。インサイドセールスは、非対面営業ニーズの高まりを受け3割超の成長を見込む。グループ内企業間で相互誘客していることも高成長に寄与する。デジタルビジネスの売上高構成比は、前期比0.5ポイント上昇の47.9%を想定している。

販売系営業支援は、5G需要の高まりなどを背景とした通信モバイル分野での取引拡大とEC需要増により活況な物流分野を中心とした店舗支援を増やす。ツーリズム・スポーツは、ツーリズム事業がGoToキャンペーンによる一定の効果を見込むものの、業績の好転は見込んでいない。東京オリンピック・パラリンピックは開催の大幅な簡素化を想定している。売上高構成比は6.2%へ低下する計画となっている。ホールセールは、人気キャラクターやインフルエンサーを活用したライセンスビジネスを強化する。セールスビジネス支援は、キャッシュレス化需要に対応した外訪問型営業の受注増を図る。

2. 新たなデジタル営業支援サービス
2020年10月−12月に、3つの新たなデジタル営業支援機能を活用したサービスを展開する計画を発表した。サービス開始時期は、「オンライン接客」が2020年10月、「デジタルデータマーケティング」が11月、「LIVEコマース」が12月である。本社内に事業創造推進室を新設し、飛躍的な拡大を目指す。従来のデジタルビジネスはEC支援などが大半を占めた。新たなサービスは、非デジタルビジネスである販売系営業支援をデジタル化するため、同社グループにとって意義が大きい。

(1) オンライン接客サービス
2020年10月よりスタートした店舗での「オンライン接客」は、コロナ禍における消費行動の変化に応じて、リアル店舗の対面接客を、デジタルツールを活用した非接触対応とするものである。来店客は、デジタルサイネージやタブレット端末などを介して接客依頼をすると、瞬時に最適な専門オペレーター(販売スタッフ)からのオンライン接客が受けられる。来店客のメリットは、すぐに接客サービスを受けられるので待ち時間がない、気軽に質問ができる、複数の販売スタッフの意見を聞くことができるなどがある。オンライン接客は、ITシステムを利用するため接客データが蓄積される。接客データの活用は、1)接客フロー、トークスクリプトの最適化による実績向上、2)最適な人員配置による生産性の高い運営体制、3)顧客ニーズの抽出による新製品、店舗開発などに資する。販売スタッフは、リモート接客のため在宅やオフィスなどどこからでも対応が可能になる。接客する対象のエリアが限定されず、全国への対応が可能になる。店舗に決められた時間を在駐する必要がなく、柔軟な勤務が可能になる。来店客はオンラインで心地よい接客体験を、顧客企業は生産性の向上を、同社グループの販売スタッフは働く場所や時間が柔軟になり就業機会の増加と3者間でWin-Win-Winの関係を築くことができる。

昭和的な足で稼ぐ営業やKKD(経験・勘・度胸)の商慣行に対し、同社グループは根拠ある営業支援を行ってきた。オンライン接客サービスにより、科学する営業支援の強みが一層強化される。販売員運用状況の可視化と最適な接客構成のデータベース化が行われ、蓄積データの分析と現場へのフィードバックを繰り返すことで、時間の経過とともに生産性の向上が期待される。

オンライン接客サービスは、事業領域と事業機会を拡大する可能性が大きい。リアル店舗に営業支援の販売スタッフを配置するほどの分野や商材でない場合も、オンライン接客であれば低コストで気軽に活用できる。

(2) デジタルデータマーケティング
デジタルデータマーケティングサービスは、店舗やサービス拠点に設置したビーコン(センサー)が、顧客の消費行動や属性データを収集し、ターゲティングされたリピートの促進、広告配信を実施する。ビッグデータ活用による販売支援を推進する。

(3) LIVEコマース
LIVEコマースは、動画配信中に視聴者がリアルタイムに質問やコメントをしながら商品を購入する新しいeコマースの形態である。コロナ禍で失われたリアルの売り場を、ネット上に創出し、ECプラットフォームの新たな支援策としてクライアントの売上拡大に貢献すると期待される。従来のテレビショッピングは、販売する側の一方向の放送である。ECサイトは、静止画と説明文や過去に記入されたレーティング、レビューやコメントで構成されている。LIVEコマースは、動画によるライブ感とリアルタイムで双方向のコミュニケーションを可能にする。LIVEコマースは、次世代EC技術として注目されている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)



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