早稲アカ Research Memo(1):コロナ禍でオンライン授業をいち早く導入し、マイナス影響を最小限に食い止める
[20/11/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を直営で展開している。難関中学校や開成高校、早稲田大学及び慶應義塾大学(以下、早慶)附属高校等の合格者数で高い実績を誇る。また、国内子会社として(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中高校生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営している。海外子会社としては、WASEDA ACADEMY USAとWASEDA ACADEMY UKでそれぞれ日本人子女向け進学塾「早稲田アカデミー」を運営している。2020年9月末の校舎数は連結ベースで164校、2021年3月期第2四半期累計の期中平均塾生数で3.7万人を超える。
1. 2021年3月期第2四半期累計業績
2021年3月期第2四半期累計(2020年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比3.0%減の11,943百万円、経常利益で同56.3%減の338百万円と減収減益となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、新年度生の集客活動が予定どおり進まなかったことにより、期中平均塾生数が前年同期比3.5%減となったほか、各種模擬試験や夏期合宿を例年どおり実施できなかったことが減収要因となった。また、利益面では減収要因に加えて、オンライン教育サービスの提供を開始したことによる外注費、通信費等の増加や、人件費の増加などが減益要因となった。ただ、会社側が2020年7月に発表した計画(売上高11,583百万円、経常利益115百万円)に対しては、売上高、経常利益ともに上回って着地した。小学部を中心に予想を上回るペースで塾生数が回復したこと、「夏期合宿」の代替サービスとして実施した「夏期集中特訓」も想定を上回る申し込みがあったことなどが要因だ。四半期別の売上高増減率で見ると、第1四半期は前年同四半期比4.7%減だったが、第2四半期は同2.1%減とマイナス幅が縮小している。早期に双方向Web授業を開始し、緊急事態宣言下でも教育サービスを提供し続けたこと(個別指導は約1ヶ月休講)、6月以降も対面授業と併用してオンライン教育サービスを継続するなど多様な教育ニーズに応えてきたことが、生徒数の回復につながっていると見ることができる。主力の小学部における第2四半期(7月-9月)の期中平均塾生数は前年同期比で1.7%の増加に転じており、全学部合計でも同1.6%減と減少幅は縮小傾向となっている。
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比0.8%減の24,423百万円、経常利益で同60.2%減の462百万円と2020年7月に発表した計画を据え置いている。第2四半期までは計画を上振れたものの、コロナ禍が冬期講習会、正月特訓及び2021年春に向けての新年度生集客などに与える影響が不透明なためだ。ただ、冬期講習会の申込件数については現状、前年並みの水準で推移しているほか、Webを通じた入塾に関する問い合わせ件数も前年を上回るペースで推移しており、今後も市場環境に変化がなければ業績は計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、主に中学生をターゲットとした広告宣伝施策として2020年4月より「ちびまる子ちゃん」をキャラクターに起用し、Webムービーや駅広告などでブランディング戦略を展開している。
3. 新たな取り組みについて
2020年度から新学習指導要領が導入されることに対応して、プログラミング教室、オンライン英語学習サービスの提供を開始している。小学1年生を対象としたプログラミング教室「CREATIVE GARDEN」は、2019年9月に2校舎で先行開講し、2020年11月時点で10校舎まで拡大している。1クラス6名前後と少数のため、業績に与える影響は軽微だが、早稲田アカデミーの塾生の早期囲い込みにつなげていく効果が期待される。また、早稲田アカデミー小5・小6Kコース、中学1年生を対象(約5千人)に、オンライン英語学習サービスを提供しており、好評を博している。
4. 株主還元策
株主還元については、安定的な配当を基本として業績状況と配当性向も勘案しながら、利益配分を行っていく方針となっている。2021年3月期は減益見通しながらも、前期比横ばいとなる1株当たり20.0円の配当を予定している。また、株主優待として毎年3月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてQUOカードを贈呈しているほか、9月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてグループ各社の授業料等に利用可能な株主優待券を贈呈している。株主優待も含めた総投資利回りは3年未満保有株主で8%台、3年以上継続保有株主で14%台(11月6日終値で計算)となる。
■Key Points
・2021年3月期第2四半期累計業績はコロナ禍の影響で減収減益となるも生徒数の回復ペースは想定を上回る
・2021年3月期業績はコロナ禍の動向次第だが、事態が深刻化しなければ利益ベースで上振れする公算大
・オンライン英語学習サービスやプログラミング教室など新たなサービスを提供することで塾生数の拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
早稲田アカデミー<4718>は、首都圏で小中高校生を対象とした進学塾「早稲田アカデミー」を直営で展開している。難関中学校や開成高校、早稲田大学及び慶應義塾大学(以下、早慶)附属高校等の合格者数で高い実績を誇る。また、国内子会社として(株)野田学園で医歯薬系専門の大学受験予備校「野田クルゼ」を、(株)水戸アカデミーで茨城県内の小中高校生向け進学塾「水戸アカデミー」を、(株)集学舎で千葉県内の小中高校生向け進学塾「QUARD(クオード)」を運営している。海外子会社としては、WASEDA ACADEMY USAとWASEDA ACADEMY UKでそれぞれ日本人子女向け進学塾「早稲田アカデミー」を運営している。2020年9月末の校舎数は連結ベースで164校、2021年3月期第2四半期累計の期中平均塾生数で3.7万人を超える。
1. 2021年3月期第2四半期累計業績
2021年3月期第2四半期累計(2020年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比3.0%減の11,943百万円、経常利益で同56.3%減の338百万円と減収減益となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により、新年度生の集客活動が予定どおり進まなかったことにより、期中平均塾生数が前年同期比3.5%減となったほか、各種模擬試験や夏期合宿を例年どおり実施できなかったことが減収要因となった。また、利益面では減収要因に加えて、オンライン教育サービスの提供を開始したことによる外注費、通信費等の増加や、人件費の増加などが減益要因となった。ただ、会社側が2020年7月に発表した計画(売上高11,583百万円、経常利益115百万円)に対しては、売上高、経常利益ともに上回って着地した。小学部を中心に予想を上回るペースで塾生数が回復したこと、「夏期合宿」の代替サービスとして実施した「夏期集中特訓」も想定を上回る申し込みがあったことなどが要因だ。四半期別の売上高増減率で見ると、第1四半期は前年同四半期比4.7%減だったが、第2四半期は同2.1%減とマイナス幅が縮小している。早期に双方向Web授業を開始し、緊急事態宣言下でも教育サービスを提供し続けたこと(個別指導は約1ヶ月休講)、6月以降も対面授業と併用してオンライン教育サービスを継続するなど多様な教育ニーズに応えてきたことが、生徒数の回復につながっていると見ることができる。主力の小学部における第2四半期(7月-9月)の期中平均塾生数は前年同期比で1.7%の増加に転じており、全学部合計でも同1.6%減と減少幅は縮小傾向となっている。
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比0.8%減の24,423百万円、経常利益で同60.2%減の462百万円と2020年7月に発表した計画を据え置いている。第2四半期までは計画を上振れたものの、コロナ禍が冬期講習会、正月特訓及び2021年春に向けての新年度生集客などに与える影響が不透明なためだ。ただ、冬期講習会の申込件数については現状、前年並みの水準で推移しているほか、Webを通じた入塾に関する問い合わせ件数も前年を上回るペースで推移しており、今後も市場環境に変化がなければ業績は計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。なお、主に中学生をターゲットとした広告宣伝施策として2020年4月より「ちびまる子ちゃん」をキャラクターに起用し、Webムービーや駅広告などでブランディング戦略を展開している。
3. 新たな取り組みについて
2020年度から新学習指導要領が導入されることに対応して、プログラミング教室、オンライン英語学習サービスの提供を開始している。小学1年生を対象としたプログラミング教室「CREATIVE GARDEN」は、2019年9月に2校舎で先行開講し、2020年11月時点で10校舎まで拡大している。1クラス6名前後と少数のため、業績に与える影響は軽微だが、早稲田アカデミーの塾生の早期囲い込みにつなげていく効果が期待される。また、早稲田アカデミー小5・小6Kコース、中学1年生を対象(約5千人)に、オンライン英語学習サービスを提供しており、好評を博している。
4. 株主還元策
株主還元については、安定的な配当を基本として業績状況と配当性向も勘案しながら、利益配分を行っていく方針となっている。2021年3月期は減益見通しながらも、前期比横ばいとなる1株当たり20.0円の配当を予定している。また、株主優待として毎年3月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてQUOカードを贈呈しているほか、9月末の株主を対象に、継続保有期間に応じてグループ各社の授業料等に利用可能な株主優待券を贈呈している。株主優待も含めた総投資利回りは3年未満保有株主で8%台、3年以上継続保有株主で14%台(11月6日終値で計算)となる。
■Key Points
・2021年3月期第2四半期累計業績はコロナ禍の影響で減収減益となるも生徒数の回復ペースは想定を上回る
・2021年3月期業績はコロナ禍の動向次第だが、事態が深刻化しなければ利益ベースで上振れする公算大
・オンライン英語学習サービスやプログラミング教室など新たなサービスを提供することで塾生数の拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>