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ユニリタ Research Memo(6):2021年3月期はコロナ禍の影響等を踏まえ、通期でも減収減益を見込む

注目トピックス 日本株
■業績見通し

1. 2021年3月期の業績予想
2021年3月期の業績予想についてユニリタ<3800>は、上期業績の進捗やコロナ禍による不透明な状況等を踏まえ、2020年10月15日に期初予想を減額修正した。売上高を前期比4.3%減の9,700百万円(前回予想比500百万円減)、営業利益を同53.4%減の500百万円(同400百万円減)、経常利益を同47.1%減の610百万円(同370百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益を同15.5%減の755百万円(修正なし)と減収減益と見込んでいる。

売上高は、年間を通じて「クラウド事業」が順調に伸びるものの、それ以外の事業については、上期同様、コロナ禍に伴う投資の冷え込みや活動制限による影響等を慎重に見積もり、総じて低調に推移する想定としている。

損益面についても、期初予想の時点から新規事業への先行投資等により減益を見込んでいたが、上期に引き続き、「プロダクト事業」の新規ライセンス販売の伸び悩みや「ソリューション事業」における役務提供型サービスのプロジェクト遅延などのマイナス影響が残ることを勘案し、さらに減額修正するに至った。営業利益率も5.2%(前期は10.6%)に低下する想定である。一方、親会社株主に帰属する当期純利益を据え置いたのは、下期においても政策保有株式の一部処分による特別利益の計上を予定していることが理由である。

2. 事業別の業績見通しと活動方針
(1) クラウド事業
売上高を前期比33.3%増の1,200百万円、セグメント利益を50百万円(前期は33百万円の損失)と増収により通年黒字化を見込んでいる。成長軌道に乗ってきた「LMIS」及び「infoScoop×Digital Workforce」については、上期に引き続き、企業内のサービスデスクのDX化推進やテレワークの生産性、セキュリティ向上のニーズを取り込む営業活動を展開し、新規ユーザ開拓に注力する計画である。また、市場変化を捉えた新たな営業スタイルの開発(顧客接点のオンライン化やサブスクリプションサービスの拡販等)にも取り組む方針である※。

※その一環として、web上でのコミュニティ「おしごと改革らぼ」(業務の改善・改革するための情報及びコミュニティサイト)を構築し、運営を開始した。


(2) プロダクト事業
売上高を前期比10.8%減の2,720百万円、セグメント利益を同44.3%減の170百万円と減収減益を見込んでいる。コロナ禍のもと、上期同様、新規ユーザ向けのライセンス販売が伸び悩む想定となっている。同社では、コロナ禍に対応する営業スタイル(オンライン営業やWebセミナー開催、戦略パートナーとの協業強化等)の推進を行うとともに、国の政策にも掲げられているデジタル化推進ニーズ※1やコロナ対策ニーズ※2の取り込みにも注力していく。

※1 新たなデータ処理ニーズに対応する「データ変換・加工 まるっとクラウド」の販売強化のほか、脱ハンコ、ペーパーレス化ニーズに対応するサブスクリプションサービスを開発し提供していく計画である。
※2 IoTサービス事業として、「密対策」ソリューションの拡販を計画している。


(3) ソリューション事業
売上高を前期比2.9%増の2,250百万円、セグメント損失を140百万円(前期は76百万円の利益)と増収ながら減益となり、通期でも損失計上を見込んでいる。上期に引き続き、新規ライセンス販売(プロダクト事業)の伸び悩みに伴う技術支援サービスの落ち込みや不採算案件などのマイナス影響が残る想定となっている。また、2022年3月期以降の事業拡大に向けて、成長分野である顧客のDX化実装に必要となるコンサルティングサービスの強化や、製品販売と連携した技術支援サービスの取り込みのほか、プロジェクト管理体制の強化による不採算化防止などにも取り組む方針である。特に、DX化実装に向けたコンサルティングサービスについては、そのノウハウを持つ専門コンサル子会社2社((株)ビーエスピーソリューションズ、(株)データ総研)を擁する強みを活かし、市場開拓を積極的に推進していく。

(4) メインフレーム事業
売上高を前期比11.8%減の1,960百万円、セグメント利益を同12.4%減の1,000百万円と、2020年3月期における大型案件の反動減等により減収減益を見込んでいる。今後は、キャッシュレス化、非接触決済、ネットショッピングなどの進展を背景として、カード決済のデータ量増加に対応する金融業界向けや、物流増加に対応する物流業界向けなどのコンピュータ増強に伴うソフトウェアニーズの取り込みのほか、コロナ禍のもとでのコスト対策ニーズに対しても、コンピュータ統合などのコンサルティングや技術支援サービスの提案強化に取り組む方針である。

(5) システムインテグレーション事業
売上高を前期比11.7%減の1,570百万円、セグメント利益を同横ばいの50百万円を見込んでいる。コロナ禍による受注減の影響が残るものの、採算性を重視した案件選別等により収益性の改善を目指していく。

同社の業績予想の達成のためには、下期の売上高4,864百万円(前年同期比7.5%減)、営業利益292百万円(同53.1%減)以上が必須となる。コロナ禍に伴う投資意欲の冷え込みをはじめ、先行き不透明感が残っていることには注意する必要があるものの、現在の外部環境を前提とすれば、同社の業績予想は想定されるリスク要因を織り込んだ合理的な水準であると評価している。2022年3月期以降の成長に向けて、新規事業への積極的な先行投資を計画していたところに、コロナ禍の影響が重なったことで、2021年3月期業績(特に利益面)は後退する見通しとなったが、需要が拡大しているクラウドサービスの強化をはじめ、企業のDX化への動きをしっかりと取り込むための体制づくりが重要なテーマになると捉えており、その進捗に注目すべきだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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