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イノベーション Research Memo(7):「ITトレンド」来訪者数が前年同期比2.5倍、「コクリポ」も収益化

注目トピックス 日本株
■イノベーション<3970>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) オンラインメディア事業
オンラインメディア事業の売上高は前年同期比47.4%増の1,132百万円、セグメント利益は同59.4%増の412百万円となった。「ITトレンド」「BIZトレンド」の来訪者数(延べ人数)※1が前年同期比153.9%増の809万人と半期ベースで過去最高を大きく更新したことによって、資料請求件数が増加した。

※1 同社が定める来訪者数(延べ人数)とは、アクセス解析ツール「Google アナリティクス」※2における「セッション数」※3
を指している。
※2 「Google アナリティクス」とは、Google LLCが無料で提供するWebページのアクセス解析サービスを指す。
※3 「セッション数」とは、「Google アナリティクス」における「セッション」を指している。セッションとは、特定の期間にWebサイトで発生した一連の操作のこと。


「ITトレンド」等の来訪者数が急拡大した背景には、コロナ禍への対応策として企業が非接触で業務を行うための各種ITツールを導入する動きが活発化したことが大きいが、検索エンジンで上位表示されるための対策や、「ITトレンド」の認知度向上施策としてインフィード広告等を効果的に実施したこと、日経BP等のパートナーが持つメディアの広告枠を活用した集客施策※に継続的に取り組んできたことも増加要因として挙げられる。

※日経BP等が運営するメディアやメールマガジンの広告枠を無料で活用する代わりに、同流入経路で発生した資料成果報酬額をレベニューシェアするスキーム。


2021年3月期第2四半期累計におけるカテゴリー別の売上高伸長率を見ると、Web面接やeラーニング、チャットボット、ワークフローなどテレワーク環境を整備するための製品への資料請求件数が大きく伸長しており、ここ最近では「はんこレス」に取り組む企業が増え始めるなか、電子契約システムの資料請求件数も急増している。

一方、2018年8月より開始したセミナー動画プラットフォーム「Seminar Shelf」についても、会員数が日経ID会員からの集客を中心に2020年9月末時点で4万人を超えるなど順調に増加しており、売上高についてもまだ規模は小さいものの、動画閲覧数の増加によって2021年3月期に入って前年同期比3倍以上の伸びとなっている。従来、セミナーの開催や展示会に出展することで見込み顧客を獲得してきたIT企業では、コロナ禍によりこうした対面型での見込み顧客の獲得ができなくなり、その代替手段として「Seminar Shelf」を活用する企業が増えている。同様にITツールの導入を検討する企業も、セミナーや展示会が無いため、「Seminar Shelf」で関心のある動画を閲覧する流れとなっている。

(2) ITソリューション事業
ITソリューション事業の売上高は前年同期比39.8%増の228百万円、セグメント利益は同1,136.2%増の66百万円となった。コロナ禍において対面での商談やセミナー、採用面接などが困難となるなかで、ウェビナーサービス「コクリポ」の需要が急拡大したことが主因だ。

「コクリポ」の売上高は2020年3月期まで四半期ベースで10百万円に満たなかったが、2021年3月期以降は第1四半期で約24百万円、第2四半期で約31百万円と急拡大し、利益ベースでも黒字転換している。有償アカウント数も第2四半期末には267件となった。ウェビナー市場ではZoomなど外資系企業と競合することが多いが、外資系企業はサポート体制がぜい弱なことから、ITリテラシーの高いスタッフが社内にいない企業では扱いにくく、同社のウェビナーを活用するケースが多い。また、セキュリティ体制の面から同社のサービスを利用する大企業や自治体などもある。8月以降は有償アカウント数の増加ペースも春先に比べると落ち着いてきたものの、今後もオンライン営業や学生向け説明会、社内研修、各種セミナー、投資家説明会、学会などでの利用増加が見込まれている。

一方、同事業セグメントの売上高の7割強を占める「List Finder」については、2021年3月期第2四半期末のアカウント数が前年同期比3.0%減の456件となったが、1アカウント当たりの期中売上高は同8.7%増の374千円に上昇した。オプションサービスの利用が増加したほか、従量課金収入が増加したことによるもので、平均単価の上昇により売上高も堅調に推移した。利益面では、2020年3月期から取り組んできたプラットフォーム移行のための投資が2021年3月期第2四半期で終了しており、下期以降は利益体質に転換することが見込まれている。

アカウント数が伸び悩んでいるのは、参入企業が多く顧客獲得競争が激化していることや、前述したように中堅・中小企業が新規導入したとしても、機能を使いこなせるだけの顧客管理データ等の基盤整備や人材が不足しており、十分に使いこなせないまま解約に至るケースが一定数発生していることが要因となっている。このため、同社では利便性向上に向けた投資と、導入から定着するところまでを支援するサポート体制を強化していく方針となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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