テクマト Research Memo(5):テレワーク普及でネットワーク・セキュリティに対する需要が一段と拡大(1)
[20/12/11]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■テクマトリックス<3762>の業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前年同期比5.9%増の9,862百万円、営業利益は同28.9%増の1,232百万円となった。前年同期と同じ会計基準で比較すると、売上高は同28.5%増の11,971百万円、営業利益は同49.6%増の1,430百万円と大幅増収増益となっている。受注高も前年同期比29.1%増の12,104百万円と好調で、受注残高は同68.3%増の16,626百万円と大きく積み上がった。
分野別の売上動向を旧会計基準ベースで見ると、ほぼ全てのカテゴリーで前年同期比2ケタ増収となった。新基準ベースではアンチウイルス等の分野が2ケタ減となっているが、同分野の主要ベンダーであるMcAfeeの製品が主にクラウド型サービスとして提供されていることが要因となっている。また、子会社のうち沖縄クロス・ヘッドについてはセキュリティ関連製品やリモートデスクトップ・サービスが好調に推移したものの、クロス・ヘッドについては伸び悩む格好となった。
コロナ禍において多くの企業が在宅勤務(テレワーク)を取り入れるなかで、社外からのアクセスでもセキュアな環境を構築するためのセキュリティ製品の需要が拡大した。特に、最近ではテレワークが普及するなかで、遠隔アクセスにて使用するVPN(仮想プライベート通信網)の認証情報の流出被害が国内で複数発生したことから、ゼロ・トラストモデル※1に基づくセキュリティ対策のニーズが増加している。同社においてもAppGate社の「Appgate SDP※2」の注目度が高まっている。
※1 利用者や利用者のデバイス、社内・社外と問わず、ネットワークのすべてを信頼しないという考え方に基づいて、セキュリティ対策を講じる取り組み。
※2 SDP(Software Defined Perimeter):ネットワークを経由した様々な脅威からアプリケーションインフラや機密情報に安全にアクセスするためのセキュリティフレームワークのこと。
また、企業のクラウドシフトが進むなかで、国内外に多くの事業拠点を展開する大企業を中心に、「SASE」等のクラウド型のネットワークセキュリティサービスの受注が急拡大した。従来は拠点ごと、デバイスごとにセキュリティ対策を講じる必要があったが、クラウド型サービスとして提供することで、導入企業はこうした煩雑な手間が省けることになる。具体的には、「SASE」であるPalo Alto Networks社の「Prisma Access」やMcAfee社の「MVISION Unified Cloud Edge」などの受注がグローバル展開する大企業を中心に増加した。
従来、製品・保守一体型の受注案件については大きい案件でも1件当たり数千万円規模であったが、「SASE」では数億円規模となる。2021年3月期下期においてもこうした「SASE」関連の商談が増えている。2019年頃から大企業では「SASE」の導入を検討していたようだが、コロナ禍を契機としたテレワークの普及によって、ネットワーク・セキュリティ対策投資に関する経営の優先順位が上がり、商談が一気に進んでいるものと見られる。
なお、情報基盤事業(単体)におけるストック売上比率が前年同期の37.2%から60.6%と大きく上昇したが、これは新収益認識基準の適用によって、これまで非ストック売上として計上してきた保守一体の製品販売や、一部のサブスクリプション型サービスをストック売上として計上したことが要因となっている。前年同期との連続性が無いため比較はできないが、今後もストック売上比率は60%前後で推移するものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 事業セグメント別の動向
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業の売上高は前年同期比5.9%増の9,862百万円、営業利益は同28.9%増の1,232百万円となった。前年同期と同じ会計基準で比較すると、売上高は同28.5%増の11,971百万円、営業利益は同49.6%増の1,430百万円と大幅増収増益となっている。受注高も前年同期比29.1%増の12,104百万円と好調で、受注残高は同68.3%増の16,626百万円と大きく積み上がった。
分野別の売上動向を旧会計基準ベースで見ると、ほぼ全てのカテゴリーで前年同期比2ケタ増収となった。新基準ベースではアンチウイルス等の分野が2ケタ減となっているが、同分野の主要ベンダーであるMcAfeeの製品が主にクラウド型サービスとして提供されていることが要因となっている。また、子会社のうち沖縄クロス・ヘッドについてはセキュリティ関連製品やリモートデスクトップ・サービスが好調に推移したものの、クロス・ヘッドについては伸び悩む格好となった。
コロナ禍において多くの企業が在宅勤務(テレワーク)を取り入れるなかで、社外からのアクセスでもセキュアな環境を構築するためのセキュリティ製品の需要が拡大した。特に、最近ではテレワークが普及するなかで、遠隔アクセスにて使用するVPN(仮想プライベート通信網)の認証情報の流出被害が国内で複数発生したことから、ゼロ・トラストモデル※1に基づくセキュリティ対策のニーズが増加している。同社においてもAppGate社の「Appgate SDP※2」の注目度が高まっている。
※1 利用者や利用者のデバイス、社内・社外と問わず、ネットワークのすべてを信頼しないという考え方に基づいて、セキュリティ対策を講じる取り組み。
※2 SDP(Software Defined Perimeter):ネットワークを経由した様々な脅威からアプリケーションインフラや機密情報に安全にアクセスするためのセキュリティフレームワークのこと。
また、企業のクラウドシフトが進むなかで、国内外に多くの事業拠点を展開する大企業を中心に、「SASE」等のクラウド型のネットワークセキュリティサービスの受注が急拡大した。従来は拠点ごと、デバイスごとにセキュリティ対策を講じる必要があったが、クラウド型サービスとして提供することで、導入企業はこうした煩雑な手間が省けることになる。具体的には、「SASE」であるPalo Alto Networks社の「Prisma Access」やMcAfee社の「MVISION Unified Cloud Edge」などの受注がグローバル展開する大企業を中心に増加した。
従来、製品・保守一体型の受注案件については大きい案件でも1件当たり数千万円規模であったが、「SASE」では数億円規模となる。2021年3月期下期においてもこうした「SASE」関連の商談が増えている。2019年頃から大企業では「SASE」の導入を検討していたようだが、コロナ禍を契機としたテレワークの普及によって、ネットワーク・セキュリティ対策投資に関する経営の優先順位が上がり、商談が一気に進んでいるものと見られる。
なお、情報基盤事業(単体)におけるストック売上比率が前年同期の37.2%から60.6%と大きく上昇したが、これは新収益認識基準の適用によって、これまで非ストック売上として計上してきた保守一体の製品販売や、一部のサブスクリプション型サービスをストック売上として計上したことが要因となっている。前年同期との連続性が無いため比較はできないが、今後もストック売上比率は60%前後で推移するものと予想される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>