Iスペース Research Memo(4):インターネット広告事業は減収減益、メディア運営事業は増収減益に
[20/12/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■インタースペース<2122>の業績動向
2. 事業セグメント別の動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高(社内取引高含む)は前期比14.4%減の23,700百万円、事業利益※は同18.1%減の1,310百万円となった。前期に大きく伸長したeコマース分野の大型プロモーション案件が減少したほか、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に人材サービスや美容・エステなどサービス業界からの案件が減少したこと、SFAの売上高が大きく落ち込んだことが要因となった。
※社内共通費用配賦前の利益で、決算短信の事業セグメント利益とは異なる。
主な広告カテゴリー別の売上高動向を見ると、金融・保険は前期比1.8%減の6,420百万円となった。証券分野が新規口座開設数の増加により大きく伸長したものの、その他分野が低迷した。また、eコマースは同20.0%減の8,399百万円と2ケタ減となった。新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした巣ごもり需要により、食品や飲料水等の宅配関連サービスが好調に推移したほか、オンライン英会話サービスやマッチングアプリ等の新規案件の開拓を進めたものの、前期業績に大きく貢献した大型プロモーション案件の規模が縮小したこと、並びに新型コロナウイルス感染症拡大によって、美容・エステや人材サービス分野の広告案件が減少し、広告単価も下がったことが減少要因となった。
SFAは同43.1%減の1,433百万円と大きく落ちこんだ。新型コロナウイルス感染防止対策で、携帯電話販売代理店が営業時間を短縮した影響に加えて、同社がストック型ビジネスモデルへの転換を進めたことが減収要因となっている。子会社のストアフロントの四半期別ストック型売上比率の推移を見ると、2019年9月期第1四半期の18.4%から2020年9月期第4四半期には71.5%まで上昇している。ストック型商材の主力は、スマートフォン向けセキュリティ商品「MWノートンストア」で、契約件数は着実に増加している。この結果、ストック型商材の売上高だけでみると前期比88.5%増の1,235百万円と急拡大している。ストアフロントの2020年9月期業績は売上減により営業損失となったが、直近は月次ベースで黒字化しており、2021年9月期は収益増に貢献するものと予想される。
また、海外事業については、持分法適用会社であるベトナムを含めたベースで見ると、前期比36.1%増の1,075百万円と順調に拡大した。オンラインビジネスの拡大に伴い、東南アジアでもeコマース分野を中心にアフィリエイトサービスを活用する企業が増え始めていることが要因だ。国別で見るとベトナムが6億円強と全体の6割を占めており、連結対象となる子会社ベースで見ると3億円強となった。ただ、損益面ではタイが2期連続で黒字化を達成した以外は、インドネシア、マレーシア、シンガポールともに損失が続いており、連結子会社全体では60〜70百万円の営業損失だったと見られる。なお、ベトナムの持分法適用会社も売上高は2ケタ増収と好調に推移したものの、特別賞与を支給したことで営業利益は減益となり、営業外に計上する持分法投資利益は前期の15百万円から6百万円に減少している。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高(社内取引高含む)は前期比44.9%増の1,563百万円、事業利益は7百万円の損失(前期は187百万円の利益)となった。売上高が大きく増加している要因の1つとして、比較・検討型メディアで、2020年3月に運営を子会社のTAG SUTUDIOに譲渡したことに伴い、売上計上方法を従来のネット計上(手数料収入のみ計上)からグロス計上(広告原価も含めて計上)に変更したことがあり、影響額としては3億円程度の嵩上げ要因となっている。同要因を除いても増収となっているが、これは自社メディアの月間UU数が「ママスタ」や「ヨガジャーナルオンライン」の好調により順調に拡大しているためだ。なお、当第4四半期における月間UU数は全体で前年同期比52.5%増の23,880千UUとなり、月次ベースで期初目標を達成している。
事業利益については新規メディア開発などの投資費用が前期比84百万円増加したことに加えて、コンテンツ型メディア事業において、新型コロナウイルス感染症拡大以降、ネットワーク広告単価が下落したことが減益要因となった。なお、投資費用を除いた事業利益で見れば前期比31.0%減の245百万円となっている。
売上高の内訳を見ると、コンテンツ型メディア(ママスタ、4MEEE等)は前期比25.5%増の865百万円となった。主力の「ママスタ」において、大手ポータルサイトとの連携により、記事閲覧数が大きく増加したことが増収に寄与した。2020年9月の月間閲覧数は約2.5憶PVと前年同月比で2.3倍に急拡大している。第4四半期のコンテンツ型メディアの売上高も前年同期比53.3%増の256百万円と四半期ベースで過去最高を更新するなど、売上面では好調を持続している。利益率はアドネットワーク広告の平均単価が配信先数の広がりや市場環境の悪化もあって低下しているが、タイアップ広告の出稿については「ママスタ」の媒体価値が高いこともあって堅調に推移している。
一方、比較・検討型メディアの売上高は、売上計上方法の変更もあり前期比277.1%増の577百万円となった。「派遣サーチ」以外にも複数新規メディアを立ち上げたほか、第4四半期から「塾シル」が加わったことで約10百万円の増収要因となっている。なお、エンタテイメント型メディアについては事業の集中と選択を進めるなかで、2020年8月に事業譲渡を実施したため、売上高は前期比48.7%減の122百万円となった。エンタテイメント型事業は20名弱の人員が携わっていたが、事業譲渡先にはそのうち5名が移り、残り15名弱は同社に残って他の業務に配置転換している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別の動向
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高(社内取引高含む)は前期比14.4%減の23,700百万円、事業利益※は同18.1%減の1,310百万円となった。前期に大きく伸長したeコマース分野の大型プロモーション案件が減少したほか、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機に人材サービスや美容・エステなどサービス業界からの案件が減少したこと、SFAの売上高が大きく落ち込んだことが要因となった。
※社内共通費用配賦前の利益で、決算短信の事業セグメント利益とは異なる。
主な広告カテゴリー別の売上高動向を見ると、金融・保険は前期比1.8%減の6,420百万円となった。証券分野が新規口座開設数の増加により大きく伸長したものの、その他分野が低迷した。また、eコマースは同20.0%減の8,399百万円と2ケタ減となった。新型コロナウイルス感染症拡大を契機とした巣ごもり需要により、食品や飲料水等の宅配関連サービスが好調に推移したほか、オンライン英会話サービスやマッチングアプリ等の新規案件の開拓を進めたものの、前期業績に大きく貢献した大型プロモーション案件の規模が縮小したこと、並びに新型コロナウイルス感染症拡大によって、美容・エステや人材サービス分野の広告案件が減少し、広告単価も下がったことが減少要因となった。
SFAは同43.1%減の1,433百万円と大きく落ちこんだ。新型コロナウイルス感染防止対策で、携帯電話販売代理店が営業時間を短縮した影響に加えて、同社がストック型ビジネスモデルへの転換を進めたことが減収要因となっている。子会社のストアフロントの四半期別ストック型売上比率の推移を見ると、2019年9月期第1四半期の18.4%から2020年9月期第4四半期には71.5%まで上昇している。ストック型商材の主力は、スマートフォン向けセキュリティ商品「MWノートンストア」で、契約件数は着実に増加している。この結果、ストック型商材の売上高だけでみると前期比88.5%増の1,235百万円と急拡大している。ストアフロントの2020年9月期業績は売上減により営業損失となったが、直近は月次ベースで黒字化しており、2021年9月期は収益増に貢献するものと予想される。
また、海外事業については、持分法適用会社であるベトナムを含めたベースで見ると、前期比36.1%増の1,075百万円と順調に拡大した。オンラインビジネスの拡大に伴い、東南アジアでもeコマース分野を中心にアフィリエイトサービスを活用する企業が増え始めていることが要因だ。国別で見るとベトナムが6億円強と全体の6割を占めており、連結対象となる子会社ベースで見ると3億円強となった。ただ、損益面ではタイが2期連続で黒字化を達成した以外は、インドネシア、マレーシア、シンガポールともに損失が続いており、連結子会社全体では60〜70百万円の営業損失だったと見られる。なお、ベトナムの持分法適用会社も売上高は2ケタ増収と好調に推移したものの、特別賞与を支給したことで営業利益は減益となり、営業外に計上する持分法投資利益は前期の15百万円から6百万円に減少している。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高(社内取引高含む)は前期比44.9%増の1,563百万円、事業利益は7百万円の損失(前期は187百万円の利益)となった。売上高が大きく増加している要因の1つとして、比較・検討型メディアで、2020年3月に運営を子会社のTAG SUTUDIOに譲渡したことに伴い、売上計上方法を従来のネット計上(手数料収入のみ計上)からグロス計上(広告原価も含めて計上)に変更したことがあり、影響額としては3億円程度の嵩上げ要因となっている。同要因を除いても増収となっているが、これは自社メディアの月間UU数が「ママスタ」や「ヨガジャーナルオンライン」の好調により順調に拡大しているためだ。なお、当第4四半期における月間UU数は全体で前年同期比52.5%増の23,880千UUとなり、月次ベースで期初目標を達成している。
事業利益については新規メディア開発などの投資費用が前期比84百万円増加したことに加えて、コンテンツ型メディア事業において、新型コロナウイルス感染症拡大以降、ネットワーク広告単価が下落したことが減益要因となった。なお、投資費用を除いた事業利益で見れば前期比31.0%減の245百万円となっている。
売上高の内訳を見ると、コンテンツ型メディア(ママスタ、4MEEE等)は前期比25.5%増の865百万円となった。主力の「ママスタ」において、大手ポータルサイトとの連携により、記事閲覧数が大きく増加したことが増収に寄与した。2020年9月の月間閲覧数は約2.5憶PVと前年同月比で2.3倍に急拡大している。第4四半期のコンテンツ型メディアの売上高も前年同期比53.3%増の256百万円と四半期ベースで過去最高を更新するなど、売上面では好調を持続している。利益率はアドネットワーク広告の平均単価が配信先数の広がりや市場環境の悪化もあって低下しているが、タイアップ広告の出稿については「ママスタ」の媒体価値が高いこともあって堅調に推移している。
一方、比較・検討型メディアの売上高は、売上計上方法の変更もあり前期比277.1%増の577百万円となった。「派遣サーチ」以外にも複数新規メディアを立ち上げたほか、第4四半期から「塾シル」が加わったことで約10百万円の増収要因となっている。なお、エンタテイメント型メディアについては事業の集中と選択を進めるなかで、2020年8月に事業譲渡を実施したため、売上高は前期比48.7%減の122百万円となった。エンタテイメント型事業は20名弱の人員が携わっていたが、事業譲渡先にはそのうち5名が移り、残り15名弱は同社に残って他の業務に配置転換している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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