Iスペース Research Memo(6):2021年9月期は下期からの回復を見込み2期ぶりに増収増益に転じる見通し
[20/12/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年9月期の業績見通し
インタースペース<2122>の2021年9月期の連結業績は、売上高で前期比3.7%増の25,800百万円、営業利益で同28.3%増の580百万円、経常利益で同19.6%増の580百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同46.8%増の380百万円と、2期ぶりに増収増益に転じる見通しだ。新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、足元は広告出稿の回復が鈍いため、上期については引き続き減収減益を見込んでいるものの、下期以降は回復する計画となっている。
費用面では、2021年春の新卒採用を8名と抑えるなど、人件費は全体的に抑制する方針だ。また、新型コロナウイルス感染症対策として、在宅勤務を併用した勤務体系(週2日出勤/3日在宅勤務)を2021年1月より全社的に導入することを決定し、オフィス稼働の減少に伴い本社オフィスの一部も同年2月より解約する。これにより賃借料で約25百万円の減少(年換算で約40百万円)が見込まれている。事業別の見通しは以下の通り。
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比1%増の24,000百万円、事業利益も微増益を見込んでいる。国内のアフィリエイト広告については、eコマース関連で回復感がでてきたものの、人材派遣や美容・エステなどサービス業界はしばらく低迷が続くと見ている。マッチングアプリサービスや格安スマートフォンなど伸びている商材もあるが影響度は小さく、全体的に回復するのは下期以降となりそうだ。
一方、ストアフロントについては1ケタ増収、営業利益は黒字転換を見込んでいる。スマートフォン向けセキュリティ商品の契約が2020年6月以降、毎月積み上がっており、ストック型収入で損益分岐点を超える状況となってきたことが大きい。2021年1月には同様に月額課金型の新規商材の投入も予定している。他社ツールに自社コンテンツを組み合わせたものとなっており、その内容が注目される。
海外事業については引き続き増収となり、営業損失も縮小する見込みとなっている。マレーシアでeコマース分野を中心に売上が伸び始めているほか、インドネシア子会社において2020年12月までに従業員を数名整理し、固定費の削減を図ることで損益を改善する。また、シンガポール子会社ではグローバルクライアントの獲得により、下期以降に売上高を伸ばしていく考えだ。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比44.9%増の1,800百万円となり、事業利益も増益を見込んでいる。売上高については2020年9月期の途中から一部サービスの売上計上基準を変更した影響がフルに効くこともあって大幅増収の見込みとなっているが、2020年9月期第4四半期の売上高が490百万円に達していることからすれば十分達成可能な水準と弊社では見ている。
「ママスタ」は引き続きPV数の増加が続いており、月間PV数で2020年9月の約2.5憶PVから約3.5億PVに拡大することを目標としている。ここ数年、ブランドセーフティ※への取り組みを強化してきたこともあり、2020年9月期からは官公庁や大手企業からの広告出稿も増えはじめていることからも、同事業セグメントの収益をけん引すると見られる。また、女性向け情報メディア「4MEEE」「4yuuu!」なども順調にPVが伸びている。一方、恋愛情報サイト「KOIMEMO」やペット情報サイト「mofmo」については伸び悩んでおり、運営体制を見直してテコ入れを図る。
※ブランドセーフティとは、広告が適切なWebサイトで表示されていること。インターネット広告の掲載先に紛れ込む違法・不当なサイト、ブランド価値を毀損する不適切なページやコンテンツに配信されるリスクから広告主のブランドを守り、安全性を確保する取り組み。「ママスタ」に掲載する記事に関するファクトチェックや口コミ投稿もそのまま掲載せず、運営側でチェックする体制を整えている。
比較・検討型メディアの「塾シル」については、「ママスタ 」との連携もあって着実に訪問者数が増加しており、年間売上高で1億円が見込める状況までになってきている。掲載教室数も2019年4月に子会社化した当時から約2倍の1万教室に増加している。とは言え、業界トップの「塾ナビ」(同8.6万件)と比較すると規模的にはまだ小さく、今後も認知度向上に向けたプロモーション施策が必要になると見られる。同社では引き続き「ママスタ」との連携に加えて、SNSの活用やSEO対策なども行いながら認知度の向上を図っていく考えだ。このため、現時点での売上高は損益分岐点水準に到達しているものの、今後のプロモーション戦略次第で利益の状況も変わってくるものと思われる。
そのほか比較・検討型メディアに関しては四半期に1〜2サイト開発し、リリースしていく予定にしており、新規開発投資については前期の252百万円に対して200百万円程度を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年9月期の業績見通し
インタースペース<2122>の2021年9月期の連結業績は、売上高で前期比3.7%増の25,800百万円、営業利益で同28.3%増の580百万円、経常利益で同19.6%増の580百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同46.8%増の380百万円と、2期ぶりに増収増益に転じる見通しだ。新型コロナウイルス感染症拡大による影響により、足元は広告出稿の回復が鈍いため、上期については引き続き減収減益を見込んでいるものの、下期以降は回復する計画となっている。
費用面では、2021年春の新卒採用を8名と抑えるなど、人件費は全体的に抑制する方針だ。また、新型コロナウイルス感染症対策として、在宅勤務を併用した勤務体系(週2日出勤/3日在宅勤務)を2021年1月より全社的に導入することを決定し、オフィス稼働の減少に伴い本社オフィスの一部も同年2月より解約する。これにより賃借料で約25百万円の減少(年換算で約40百万円)が見込まれている。事業別の見通しは以下の通り。
(1) インターネット広告事業
インターネット広告事業の売上高は前期比1%増の24,000百万円、事業利益も微増益を見込んでいる。国内のアフィリエイト広告については、eコマース関連で回復感がでてきたものの、人材派遣や美容・エステなどサービス業界はしばらく低迷が続くと見ている。マッチングアプリサービスや格安スマートフォンなど伸びている商材もあるが影響度は小さく、全体的に回復するのは下期以降となりそうだ。
一方、ストアフロントについては1ケタ増収、営業利益は黒字転換を見込んでいる。スマートフォン向けセキュリティ商品の契約が2020年6月以降、毎月積み上がっており、ストック型収入で損益分岐点を超える状況となってきたことが大きい。2021年1月には同様に月額課金型の新規商材の投入も予定している。他社ツールに自社コンテンツを組み合わせたものとなっており、その内容が注目される。
海外事業については引き続き増収となり、営業損失も縮小する見込みとなっている。マレーシアでeコマース分野を中心に売上が伸び始めているほか、インドネシア子会社において2020年12月までに従業員を数名整理し、固定費の削減を図ることで損益を改善する。また、シンガポール子会社ではグローバルクライアントの獲得により、下期以降に売上高を伸ばしていく考えだ。
(2) メディア運営事業
メディア運営事業の売上高は前期比44.9%増の1,800百万円となり、事業利益も増益を見込んでいる。売上高については2020年9月期の途中から一部サービスの売上計上基準を変更した影響がフルに効くこともあって大幅増収の見込みとなっているが、2020年9月期第4四半期の売上高が490百万円に達していることからすれば十分達成可能な水準と弊社では見ている。
「ママスタ」は引き続きPV数の増加が続いており、月間PV数で2020年9月の約2.5憶PVから約3.5億PVに拡大することを目標としている。ここ数年、ブランドセーフティ※への取り組みを強化してきたこともあり、2020年9月期からは官公庁や大手企業からの広告出稿も増えはじめていることからも、同事業セグメントの収益をけん引すると見られる。また、女性向け情報メディア「4MEEE」「4yuuu!」なども順調にPVが伸びている。一方、恋愛情報サイト「KOIMEMO」やペット情報サイト「mofmo」については伸び悩んでおり、運営体制を見直してテコ入れを図る。
※ブランドセーフティとは、広告が適切なWebサイトで表示されていること。インターネット広告の掲載先に紛れ込む違法・不当なサイト、ブランド価値を毀損する不適切なページやコンテンツに配信されるリスクから広告主のブランドを守り、安全性を確保する取り組み。「ママスタ」に掲載する記事に関するファクトチェックや口コミ投稿もそのまま掲載せず、運営側でチェックする体制を整えている。
比較・検討型メディアの「塾シル」については、「ママスタ 」との連携もあって着実に訪問者数が増加しており、年間売上高で1億円が見込める状況までになってきている。掲載教室数も2019年4月に子会社化した当時から約2倍の1万教室に増加している。とは言え、業界トップの「塾ナビ」(同8.6万件)と比較すると規模的にはまだ小さく、今後も認知度向上に向けたプロモーション施策が必要になると見られる。同社では引き続き「ママスタ」との連携に加えて、SNSの活用やSEO対策なども行いながら認知度の向上を図っていく考えだ。このため、現時点での売上高は損益分岐点水準に到達しているものの、今後のプロモーション戦略次第で利益の状況も変わってくるものと思われる。
そのほか比較・検討型メディアに関しては四半期に1〜2サイト開発し、リリースしていく予定にしており、新規開発投資については前期の252百万円に対して200百万円程度を見込んでいる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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