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シュッピン Research Memo(1):上期業績はコロナ禍により減収減益となるも計画を大きく上回る

注目トピックス 日本株
■要約

シュッピン<3179>はカメラや高級腕時計など「価値あるもの」に特化したEC(eコマース)企業。中古品と新品のそれぞれのニーズの違いや商品特性の違いを生かし、中古品と新品が相互に作用し合いながら会員基盤の拡大や業績の伸びを実現してきた。最近では、独自のEC買取やOne to Oneマーケティング、CGMの活用などにも取り組み、プラットフォーム型事業モデルとして進化を続けている。足元では新型コロナウイルスの感染拡大(以下、コロナ禍)の影響により店舗売上が落ち込んでいるが、主軸であるEC売上はこれまでの施策の効果により順調に伸びており、その点では新たな成長ステージに入ってきたと言える。

1. 2021年3月期上期の業績
2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比19.4%減の14,396百万円、営業利益が同52.8%減の531百万円と減収減益となった。ただ、期初予想に対しては、売上高、各利益ともに大きく上回る進捗となっている。コロナ禍に伴う店舗売上の大幅な落ち込みにより、「カメラ」「時計」「筆記具」の3事業が減収となった。店舗売上全体を見ると、緊急事態宣言発令による臨時休業や営業再開後の時短営業に加え、インバウンド売上の落ち込みにより大きく後退し、業績の足を引っ張った。一方、EC売上は順調に伸びており、第2四半期は過去最高(四半期ベース)を更新。新規Web会員数も7月以降、コロナ禍前よりも増加している。「巣ごもり需要」やカメラ新製品の効果に後押しされながら、これまで取り組んできたEC強化策が軌道に乗ってきたものと捉えることができる。利益面でも、減収により減益となったが、中古カメラ粗利益率の改善や新品粗利の寄与も大きかったことから計画を上回る水準を確保することができた。四半期ごとの粗利益率を見ると、2021年3月期第1四半期が19.7%、第2四半期が18.9%と、前年同期及び計画を上回って推移している。

2. 主な活動実績
コロナ禍の下、これまでの取り組みに加え、EC強化策(人員リソースのシフト、商品掲載数やコンテンツの拡充等)をさらに進めたことにより、新規Web会員数やアクティブ率が第2四半期より順調に拡大。また、AIによる顔認証本人確認サービスの開始等によりEC買取金額も増加するなど、大きな成果をあげることができた。さらには、EC成長を加速させる3つの仕組みとして、「1カテゴリ=1オフィス」「EC + CGM」「AIMD × One to One」についても順調に進捗している。

3. 2021年3月期の業績予想
2021年3月期の業績予想について同社は、第2四半期決算時点では期初予想を据え置き、売上高を前期比9.1%減の31,509百万円、営業利益を同30.0%減の1,228百万円と見込んでいる。売上高は、年間を通じて、「カメラ」及び「時計」事業のEC売上が順調に伸びる一方、コロナ禍の影響により店舗売上は低調に推移し、売上高全体では減収となる見通しである。また、利益面でも、引き続き粗利益率の改善を図っていくものの、減収により減益を見込んでいる。なお、上期業績が計画を上回ったにもかかわらず、通期予想を据え置いたのは、コロナ禍が続くなかで、業績インパクトの強い年末商戦の動向を見定めたうえで修正を行いたいとの判断によるものである。

4. 成長戦略
同社は、毎年向こう3ヶ年の中期経営計画を更新(ローリング)しているが、コロナ禍の影響により先行きに不透明感があることから、新たな3ヶ年の中期経営計画については現時点で非公表としている。ただ、今後の方向性に大きな変更はない。引き続き、「カメラ」及び「時計」事業におけるECを軸として、成長を加速していく戦略である。特に、プラットフォーム化によるシェア拡大のほか、レディース腕時計事業の強化、グローバル展開(越境EC)にも取り組んでいく。

■Key Points
・2021年3月期上期はコロナ禍による店舗売上の落ち込みにより減収減益となるも計画は上回る
・EC売上は第2四半期より順調に拡大し、過去最高(四半期ベース)を更新
・2021年3月期は通期でも減収減益を見込むが、年末商戦しだいでは上振れの可能性にも注意が必要
・ECの成長加速に向けて、「1カテゴリ=1オフィス」「EC + CGM」「AIMD × One to One」の3つの仕組みを軌道に乗せるとともに、プラットフォーム化によるシェア拡大を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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