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藤商事 Research Memo(1):期待の大型タイトル「Pとある魔術の禁書目録」の販売が好調

注目トピックス 日本株
■要約

藤商事<6257>は、パチンコ・パチスロ遊技機の中堅メーカーで、「ホラー」系ジャンルや新規性のある演出の企画開発力に定評がある。無借金経営で手元キャッシュは160億円超と潤沢にあり、財務の健全性は高い。

1. 2021年3月期第2四半期累計業績の概要
2021年3月期第2四半期累計(2020年4月-9月)の連結業績は、売上高で前年同期比41.9%減の6,617百万円、営業損失で3,373百万円(前年同期は1,319百万円の損失)となった。新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の4月−5月に政府要請もあって大半のパチンコホールが休業を実施したほか、営業再開後も以前の水準まで客足が戻らず厳しい経営環境を強いられており、パチンコ・パチスロ遊技機の購買意欲が大きく低下したことが背景にある。同社のパチンコ販売台数は16.6千台と前年同期の28.5千台から大きく減少し、パチスロ遊技機については前年同期と同様、新機種の投入がなかった。

2. 2021年3月期の業績見通し
2021年3月期の業績は売上高で前期比2.3%減の24,600百万円、営業損失で1,000百万円(前期は2,054百万円の損失)となる見通し。下期に期待のパチンコ新機種「Pとある魔術の禁書目録(以下、Pとある)」のほか、シリーズ機種を複数投入する予定となっており、下期だけで48.3千台の販売を見込んでいる。特に2020年10月に発売した「Pとある」は原作がライトノベル史上、シリーズ総売上数歴代1位の記録を持つ人気コンテンツで、原作ファンでパチンコ初心者の人でも楽しめる機種となっている。SNS上でのファンの盛り上がりもあって、導入以降は男性若年層を中心に期待以上の高稼働となっており、今後もシリーズ化していく予定だ。パチスロ遊技機については下期も発売予定がなく、2022年3月期以降の販売に向けた開発を進めていく。なお、2020年後半の商品化を予定していたスマートフォン用ゲームアプリについては、収益環境が厳しいなか経営リソースを本業に集中するため開発の中止を決定している。

3. 収益力回復に向けた取り組み
同社は2021年3月期の最重点課題として、「徹底した市場ニーズの調査・遊技者目線の追求による稼働力向上」に取り組んでいる。ここ数年、稼働力の低迷が続いたことから、2019年より全国のホールで調査を行い、自社製品の問題点をすべて洗い出して、より遊技者目線に立った開発に取り組んでいる。2020年4月以降投入する機種は、こうした取り組みを反映して開発した機種となっており、「Pとある」のヒットはその成果と言える。今後、投入される新機種においても稼働力向上による販売台数増が期待される。また、グループ製造・販売体制の運用整備や、リユース品の利用率向上による部材コスト削減、経費のコントロール強化なども継続して取り組み、収益力の早期回復を目指していく。販売プロモーションについては、コロナ禍で大規模イベントの開催が難しいなか、SNSを活用したプロモーションを積極的に活用していく考えだ。

■Key Points
・パチンコ遊技機で2機種を投入、「Pリング 呪いの7日間2」の稼働は好調だったものの逆風下で販売台数は伸び悩む
・2021年3月期は通期で損失が続く見通しだが、下期は販売台数の確保により損失額の圧縮に取り組む
・遊技者目線の追求による新機種開発により稼働力の向上とシェア拡大を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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