オプティム Research Memo(1):2021年3月期第2四半期累計は増収・大幅増益、通期は過去最高益予想(1)
[20/12/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
オプティム<3694>は、現代表取締役社長の菅谷俊二(すがやしゅんじ)氏が佐賀大学学生時代である2000年に友人と起業したAI・IoT技術を得意とするベンチャー企業である。 “ネットを空気に変える”がミッションであり、「OPTiM Cloud IoT OS」のデファクトスタンダード化を通じて、第4次産業革命の中心的役割を果たす企業を目指している。従業員数は275名(2020年4月)で、その約8割がエンジニアである。当初から世の中にないサービスを作り出すことを念頭に技術開発を行っており、関連の特許を数多く所有している。大手企業のパートナーは数多く、同社の技術力やポテンシャルは内外からも高く評価されている。2014年に東証マザーズ上場、2015年には東証1部に昇格した。
マルチデバイス対応の管理プラットフォーム「Optimal Biz」は、端末管理市場でのトップシェアを誇る。デバイス管理プラットフォームを進化させ、AI・IoTの新プラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」が完成し、2015年からはITを使って業界に変革を起こす「〇〇×IT(〇〇に業種が入る)」の取り組みが本格化した。最も成果が顕在化しているのは建設業界である。2017年にはコマツ<6301>を含む4社で建設生産プロセスの新プラットフォーム「LANDLOG」がスタートし、パートナー企業及び顧客が増え続けている。農林水産業では、2016年に農業分野でドローンを活用した害虫駆除の実証実験に成功した。2018年には同社が主導する“スマート農業アライアンス”が全国規模で行われ、米や大豆を始めとする作物が本格的に収穫された。学習済みのパッケージサービス「OPTiM AI Camera」製品群は、手軽にAI・IoTを活用できる月額課金プロダクトであり、顧客の導入ハードルを下げることに成功したことにより、普及が進んでいる。
1. 事業内容
同社の事業は、「Optimal Biz」を主体とする既存事業と、「OPTiM Cloud IoT OS」を活用した事業や商品である新規事業に分けられる。創業来、知財戦略に基づく豊富な技術力及び事業創造力を背景に、常に革新的なサービスを提供し新しい市場を開拓してきた。国内市場ではシェアNo.1のサービスを擁し、豊富なライセンス収益を基盤としたビジネスモデルを確立している。また、近年ではAI・IoT・Big Dataのマーケットリーダーとして、各産業のトッププレイヤーと強固なビジネスディベロップメントを推進している。
同社の主力サービスである「Optimal Biz」は、企業向けのスマートフォン・タブレット・パソコン・IT機器などのセキュリティ対策や一括設定の分野で必要不可欠なサービスである。成長する国内MDM(Mobile Device Management)市場でシェアNo.1を継続している。同社は、市場の成長率を超える成長率を達成しており、デファクトスタンダードを獲得している。同事業はストック型ビジネスモデルであり、この安定収益が同社の開発投資を支えている。
同社では、2016年3月に「OPTiM Cloud IoT OS」を発表し、IoT時代の基盤となるソフトウェアを展開してきた。既存のCloudサービス上で動作が可能であり、IoTサービスで必須となる様々な機能が標準装備されており、画像解析やAIの機能が充実している点もポイントである。発表から4年以上が経過し、AI・IoTプラットフォームとしてエコシステムを形成するための一連の機能を具備するまでに技術的に進化している。
2. 業績動向
2021年3月期第2四半期累計業績は、売上高が前年同期比3.9%増の3,051百万円、営業利益が同1,672.2%増の325百万円、経常利益が同4,295.4%増の514百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が321百万円(前年同期は32百万円の損失)となった。同社では、2021年3月期を「研究開発投資の回収が始まる期」と位置付けているが、公約どおり上期から大幅な増益となった。また売上高は、創業来21期連続となる通期での過去最高売上高達成に向けて順調に推移しており、全社売上高の80%程度を占めるサブスクリプションビジネスは、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による、企業や文教分野などのDX推進の影響を受け、Optimal Biz法人ライセンス売上を中心に伸長した。そのような中で全社の売上成長率が鈍化したのは、コロナ禍の影響を受け、一部の新規ライセンス・カスタマイズ※案件が遅延したことが原因であるが、下期に向け回復基調にある。新規サービス分野の「OPTiM Cloud IoT OS」関連では、農業、建設、医療、金融など各業界で業界を代表する企業や団体との協力体制の構築が進み、製品発売やビジネスモデル構築などの成果が相次いでいる。また、パッケージサービスでは、「OPTiM AI Camera」や「OPTiM AI Camera Mobile」など、より手軽にAI、IoTを活用できるサービスが、商業施設や交通機関等の混雑情報発信の目的で利用が進んでいる。
※ライセンス・カスタマイズ…同社研究開発部分をライセンスとし、それをもとにしたカスタマイズ開発のこと。将来のライセンス発行につながる開発となる
3. 今後の見通し
2021年3月期通期の業績予想は、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明なため、売上高、各利益ともにレンジ予想となった。売上高で前期比10.1〜20.1%増の7,407〜8,080百万円、営業利益で同177.4〜493.9%増の712〜1,526百万円、経常利益で同209.4〜522.9%増の802〜1,616百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同327.6〜777.3%増の501〜1,028百万円を見込んでいる。売上高に関しては、創業来21期連続の過去最高売上高を目指す。売上高予想は巡行速度での成長ケースで前期比20.1%増、コロナ禍の影響を受けたケースとして同10.1%増を見込む。2021年3月期上期は、主力の「Optimal Biz」が伸長しており、コロナ禍の影響によるプロジェクトの遅れなどもあったものの、下期はライセンス・カスタマイズ売上の回復が見込まれる。利益面では、同社の戦略上では2021年3月期は「利益計上を開始する期」であり、高水準の研究開発投資は維持しつつ、売上高経常利益率20.0%を計画する(経常利益1,616百万円、予想の上限)。一方で、コロナ禍の影響が出た場合(売上低減10%)の売上高経常利益率は10.8%(経常利益802百万円、予想の下限)としている。弊社では、2021年3月期上期の経常利益が514百万円、経常利益率が16.9%と好調であることに加え、下期は売上が加速することから、通期の経常利益1,251百万円程度(下限売上高7,407百万円x上期経常利益率16.9%と想定)の水準に達すると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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オプティム<3694>は、現代表取締役社長の菅谷俊二(すがやしゅんじ)氏が佐賀大学学生時代である2000年に友人と起業したAI・IoT技術を得意とするベンチャー企業である。 “ネットを空気に変える”がミッションであり、「OPTiM Cloud IoT OS」のデファクトスタンダード化を通じて、第4次産業革命の中心的役割を果たす企業を目指している。従業員数は275名(2020年4月)で、その約8割がエンジニアである。当初から世の中にないサービスを作り出すことを念頭に技術開発を行っており、関連の特許を数多く所有している。大手企業のパートナーは数多く、同社の技術力やポテンシャルは内外からも高く評価されている。2014年に東証マザーズ上場、2015年には東証1部に昇格した。
マルチデバイス対応の管理プラットフォーム「Optimal Biz」は、端末管理市場でのトップシェアを誇る。デバイス管理プラットフォームを進化させ、AI・IoTの新プラットフォーム「OPTiM Cloud IoT OS」が完成し、2015年からはITを使って業界に変革を起こす「〇〇×IT(〇〇に業種が入る)」の取り組みが本格化した。最も成果が顕在化しているのは建設業界である。2017年にはコマツ<6301>を含む4社で建設生産プロセスの新プラットフォーム「LANDLOG」がスタートし、パートナー企業及び顧客が増え続けている。農林水産業では、2016年に農業分野でドローンを活用した害虫駆除の実証実験に成功した。2018年には同社が主導する“スマート農業アライアンス”が全国規模で行われ、米や大豆を始めとする作物が本格的に収穫された。学習済みのパッケージサービス「OPTiM AI Camera」製品群は、手軽にAI・IoTを活用できる月額課金プロダクトであり、顧客の導入ハードルを下げることに成功したことにより、普及が進んでいる。
1. 事業内容
同社の事業は、「Optimal Biz」を主体とする既存事業と、「OPTiM Cloud IoT OS」を活用した事業や商品である新規事業に分けられる。創業来、知財戦略に基づく豊富な技術力及び事業創造力を背景に、常に革新的なサービスを提供し新しい市場を開拓してきた。国内市場ではシェアNo.1のサービスを擁し、豊富なライセンス収益を基盤としたビジネスモデルを確立している。また、近年ではAI・IoT・Big Dataのマーケットリーダーとして、各産業のトッププレイヤーと強固なビジネスディベロップメントを推進している。
同社の主力サービスである「Optimal Biz」は、企業向けのスマートフォン・タブレット・パソコン・IT機器などのセキュリティ対策や一括設定の分野で必要不可欠なサービスである。成長する国内MDM(Mobile Device Management)市場でシェアNo.1を継続している。同社は、市場の成長率を超える成長率を達成しており、デファクトスタンダードを獲得している。同事業はストック型ビジネスモデルであり、この安定収益が同社の開発投資を支えている。
同社では、2016年3月に「OPTiM Cloud IoT OS」を発表し、IoT時代の基盤となるソフトウェアを展開してきた。既存のCloudサービス上で動作が可能であり、IoTサービスで必須となる様々な機能が標準装備されており、画像解析やAIの機能が充実している点もポイントである。発表から4年以上が経過し、AI・IoTプラットフォームとしてエコシステムを形成するための一連の機能を具備するまでに技術的に進化している。
2. 業績動向
2021年3月期第2四半期累計業績は、売上高が前年同期比3.9%増の3,051百万円、営業利益が同1,672.2%増の325百万円、経常利益が同4,295.4%増の514百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が321百万円(前年同期は32百万円の損失)となった。同社では、2021年3月期を「研究開発投資の回収が始まる期」と位置付けているが、公約どおり上期から大幅な増益となった。また売上高は、創業来21期連続となる通期での過去最高売上高達成に向けて順調に推移しており、全社売上高の80%程度を占めるサブスクリプションビジネスは、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による、企業や文教分野などのDX推進の影響を受け、Optimal Biz法人ライセンス売上を中心に伸長した。そのような中で全社の売上成長率が鈍化したのは、コロナ禍の影響を受け、一部の新規ライセンス・カスタマイズ※案件が遅延したことが原因であるが、下期に向け回復基調にある。新規サービス分野の「OPTiM Cloud IoT OS」関連では、農業、建設、医療、金融など各業界で業界を代表する企業や団体との協力体制の構築が進み、製品発売やビジネスモデル構築などの成果が相次いでいる。また、パッケージサービスでは、「OPTiM AI Camera」や「OPTiM AI Camera Mobile」など、より手軽にAI、IoTを活用できるサービスが、商業施設や交通機関等の混雑情報発信の目的で利用が進んでいる。
※ライセンス・カスタマイズ…同社研究開発部分をライセンスとし、それをもとにしたカスタマイズ開発のこと。将来のライセンス発行につながる開発となる
3. 今後の見通し
2021年3月期通期の業績予想は、新型コロナウイルス感染症の影響が不透明なため、売上高、各利益ともにレンジ予想となった。売上高で前期比10.1〜20.1%増の7,407〜8,080百万円、営業利益で同177.4〜493.9%増の712〜1,526百万円、経常利益で同209.4〜522.9%増の802〜1,616百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同327.6〜777.3%増の501〜1,028百万円を見込んでいる。売上高に関しては、創業来21期連続の過去最高売上高を目指す。売上高予想は巡行速度での成長ケースで前期比20.1%増、コロナ禍の影響を受けたケースとして同10.1%増を見込む。2021年3月期上期は、主力の「Optimal Biz」が伸長しており、コロナ禍の影響によるプロジェクトの遅れなどもあったものの、下期はライセンス・カスタマイズ売上の回復が見込まれる。利益面では、同社の戦略上では2021年3月期は「利益計上を開始する期」であり、高水準の研究開発投資は維持しつつ、売上高経常利益率20.0%を計画する(経常利益1,616百万円、予想の上限)。一方で、コロナ禍の影響が出た場合(売上低減10%)の売上高経常利益率は10.8%(経常利益802百万円、予想の下限)としている。弊社では、2021年3月期上期の経常利益が514百万円、経常利益率が16.9%と好調であることに加え、下期は売上が加速することから、通期の経常利益1,251百万円程度(下限売上高7,407百万円x上期経常利益率16.9%と想定)の水準に達すると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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