IXナレッジ Research Memo(1):コロナ禍でのDX需要を受け、デジタル化への営業体制・開発体制を強化
[20/12/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
アイエックス・ナレッジ(IKI)※<9753>は、独立系の中堅システムインテグレーターである。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までのシステムのライフサイクルに対応する一貫したサービスを提供する。日立製作所<6501>やNTTデータ<9613>などの大手システムインテグレーターやみずほ情報総研(株)などのエンドユーザー系の情報システム会社、KDDI<9433>などのユーザーなどが主要取引先であり安定している。なお、顧客企業上位10社で売上高の約7割を占める。
※同社の略称はIKI(IX Knowledge Inc.)で、企業コンセプトのInformation & Knowledge Innovationともリンクしている。
1. 業績動向
2021年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比3.2%減の8,462百万円、営業利益は同17.5%増の399百万円、経常利益は同18.6%増の427百万円、四半期純利益は同28.1%増の285百万円と、各利益は2ケタ増益となった。売上高では、システム開発・運用案件の売上高が増加したものの、前年同期の大型プロジェクト収束の影響を補うまでには至らず、全体として減収となった。システム開発案件では、車載組込みシステム開発が堅調に推移し、総合物流企業や化学メーカー、化粧品メーカーにおいて受注が拡大した。また、システム運用案件では、運用設計や基盤構築案件など既存業務を堅守し、増収となった。なお、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により、一部のプロジェクトで延期などが発生したが、業績への影響は軽微だった。むしろ、テレワークの普及などに伴いクラウド型システム構築の需要などが増加しており、プラスの影響が顕著になっている。販管費は同100百万円減少し、販管費率は同0.7ポイント上昇した。販管費の減少の要因としては、コロナ禍の新しい働き方の普及に伴い、採用・新人教育、出張、交際費等が抑制されたことが挙げられる。
2021年3月期の業績予想については、売上高で前期比3.1%増の18,017百万円、営業利益で同2.0%増の800百万円、経常利益で同1.8%増の842百万円、当期純利益で同3.6%増の561百万円とする期初予想を据え置いている。システム開発に関しては、前期の大型プロジェクト収束の補完と同時に来期を見据え、車載組込みシステム開発案件やクラウド化案件(オンプレミスからクラウドへの移行や統合など)の受注拡大を目指す。通期売上高計画に対する第2四半期進捗率は47.0%(前年同期は48.5%)と前期には及ばないものの、営業本部制への移行(2020年4月)や営業情報の見える化など営業体制強化を行うことで、下期の受注拡大を図る。また、通期営業利益計画に対する第2四半期進捗率は49.9%(同40.5%)と順調である。弊社では、顧客企業のIT投資に対するコロナ禍の影響としては、投資抑制やプロジェクト延期は限定的であり、むしろコロナ禍を契機としたクラウド移行の早期実現などデジタル化(DX)の動きが活発となっていることから、下期も堅調に推移し、例年同様に予想値に近い業績を達成すると見ている。
2. 成長戦略
同社の中期的な成長にとって、クラウド化の進展は大きな追い風となる。クラウドサービスの成長のドライバーとしては、効率性(コスト)、セキュリティ、技術革新対応力、柔軟性などの基本機能において優れる面があるが、2020年に入ってからはコロナ禍による働き方の変化が影響している。コロナ禍によりテレワーク・在宅勤務やオンライン会議、グループウェア・ビジネスチャットなどが普及し、よりクラウド型システムが求められるようになっている。このため同社では、コロナ禍における中期経営計画の重点施策として、オンプレミスからクラウドへの移行や、クラウド環境構築等の営業体制・開発体制の強化を掲げている。
3. 株主還元
同社では、株主還元に関して経済環境の変動が激しいことから、安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する方針である。過去に遡ると、減益となった年もあったが、1株当たりの配当金は維持または増配を行ってきた。2021年3月期は、普通配当15円(前期同額)、配当性向26.6%を予想する。
同社は東証JASDAQ市場に上場しているが、東証本則市場への市場変更を目指している。既に東証本則市場への昇格の形式的な基準(株主数など)はクリアしているが、この事案に関しては拙速に事を運ぶことを良しとはしていない。これを機会として捉え、内部統制を見つめ直し、企業経営の質を高める方針である。
■Key Points
・産業・サービス、金融・証券、情報・通信向けのシステム開発が主力。車載組込みシステム開発や第三者検証サービスなど多様な案件に参画
・2021年3月期第2四半期は2ケタ増益。事業基盤の強化や販管費抑制が寄与
・2021年3月期は増収増益予想。車載組込みシステム開発やクラウド移行案件などで受注拡大を目指す
・コロナ禍でのDX需要を受け、デジタル化への営業体制・開発体制を強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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アイエックス・ナレッジ(IKI)※<9753>は、独立系の中堅システムインテグレーターである。IT戦略提案、IT化推進などのコンサルティングからシステム開発、検証、保守・運用までのシステムのライフサイクルに対応する一貫したサービスを提供する。日立製作所<6501>やNTTデータ<9613>などの大手システムインテグレーターやみずほ情報総研(株)などのエンドユーザー系の情報システム会社、KDDI<9433>などのユーザーなどが主要取引先であり安定している。なお、顧客企業上位10社で売上高の約7割を占める。
※同社の略称はIKI(IX Knowledge Inc.)で、企業コンセプトのInformation & Knowledge Innovationともリンクしている。
1. 業績動向
2021年3月期第2四半期の業績は、売上高が前年同期比3.2%減の8,462百万円、営業利益は同17.5%増の399百万円、経常利益は同18.6%増の427百万円、四半期純利益は同28.1%増の285百万円と、各利益は2ケタ増益となった。売上高では、システム開発・運用案件の売上高が増加したものの、前年同期の大型プロジェクト収束の影響を補うまでには至らず、全体として減収となった。システム開発案件では、車載組込みシステム開発が堅調に推移し、総合物流企業や化学メーカー、化粧品メーカーにおいて受注が拡大した。また、システム運用案件では、運用設計や基盤構築案件など既存業務を堅守し、増収となった。なお、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により、一部のプロジェクトで延期などが発生したが、業績への影響は軽微だった。むしろ、テレワークの普及などに伴いクラウド型システム構築の需要などが増加しており、プラスの影響が顕著になっている。販管費は同100百万円減少し、販管費率は同0.7ポイント上昇した。販管費の減少の要因としては、コロナ禍の新しい働き方の普及に伴い、採用・新人教育、出張、交際費等が抑制されたことが挙げられる。
2021年3月期の業績予想については、売上高で前期比3.1%増の18,017百万円、営業利益で同2.0%増の800百万円、経常利益で同1.8%増の842百万円、当期純利益で同3.6%増の561百万円とする期初予想を据え置いている。システム開発に関しては、前期の大型プロジェクト収束の補完と同時に来期を見据え、車載組込みシステム開発案件やクラウド化案件(オンプレミスからクラウドへの移行や統合など)の受注拡大を目指す。通期売上高計画に対する第2四半期進捗率は47.0%(前年同期は48.5%)と前期には及ばないものの、営業本部制への移行(2020年4月)や営業情報の見える化など営業体制強化を行うことで、下期の受注拡大を図る。また、通期営業利益計画に対する第2四半期進捗率は49.9%(同40.5%)と順調である。弊社では、顧客企業のIT投資に対するコロナ禍の影響としては、投資抑制やプロジェクト延期は限定的であり、むしろコロナ禍を契機としたクラウド移行の早期実現などデジタル化(DX)の動きが活発となっていることから、下期も堅調に推移し、例年同様に予想値に近い業績を達成すると見ている。
2. 成長戦略
同社の中期的な成長にとって、クラウド化の進展は大きな追い風となる。クラウドサービスの成長のドライバーとしては、効率性(コスト)、セキュリティ、技術革新対応力、柔軟性などの基本機能において優れる面があるが、2020年に入ってからはコロナ禍による働き方の変化が影響している。コロナ禍によりテレワーク・在宅勤務やオンライン会議、グループウェア・ビジネスチャットなどが普及し、よりクラウド型システムが求められるようになっている。このため同社では、コロナ禍における中期経営計画の重点施策として、オンプレミスからクラウドへの移行や、クラウド環境構築等の営業体制・開発体制の強化を掲げている。
3. 株主還元
同社では、株主還元に関して経済環境の変動が激しいことから、安定配当を第一とし、業績や将来の見通し、配当性向、配当利回り等を総合的に勘案し配当を決定する方針である。過去に遡ると、減益となった年もあったが、1株当たりの配当金は維持または増配を行ってきた。2021年3月期は、普通配当15円(前期同額)、配当性向26.6%を予想する。
同社は東証JASDAQ市場に上場しているが、東証本則市場への市場変更を目指している。既に東証本則市場への昇格の形式的な基準(株主数など)はクリアしているが、この事案に関しては拙速に事を運ぶことを良しとはしていない。これを機会として捉え、内部統制を見つめ直し、企業経営の質を高める方針である。
■Key Points
・産業・サービス、金融・証券、情報・通信向けのシステム開発が主力。車載組込みシステム開発や第三者検証サービスなど多様な案件に参画
・2021年3月期第2四半期は2ケタ増益。事業基盤の強化や販管費抑制が寄与
・2021年3月期は増収増益予想。車載組込みシステム開発やクラウド移行案件などで受注拡大を目指す
・コロナ禍でのDX需要を受け、デジタル化への営業体制・開発体制を強化
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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