日産東HD Research Memo(3):主力事業は3販社による日産車の販売
[20/12/24]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
1. 事業内容
日産東京販売ホールディングス<8291>の事業セグメントは自動車関連事業、情報システム関連事業、その他に3分され、自動車関連事業は新車販売、中古車販売、整備や車検などのその他に細分される。2020年3月期における各事業の売上構成比は、自動車関連事業94%(新車46%、中古車21%、その他27%)、情報システム関連事業5%、その他0%となっている。日産自動車との関係は、3販社が日産自動車から新車や部用品を仕入れて一般消費者などに販売するという関係がメインだが、同社及び3販社は、後述するようなEV(Electric Vehicle:電気自動車)やプロパイロット(pro-PILOT:運転支援技術)といった先端技術車のPRや試乗会開催、急速充電器の取付サポートなどにより、メーカーと消費者をつなぐ役割も担っている。
(1) 自動車関連事業
東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売、日産プリンス西東京販売の3販社は、ともに日産自動車の新車を販売するほか、中古車の買取・販売、整備・車検などを行っている。各社とも、取扱車種は日産全車種である。日産プリンス東京販売と日産プリンス西東京販売では23区と都下に販売エリアが分かれているが、東京日産自動車販売は都内全域をエリアにしている(8区を除く)。が、3販社が1つのグループとして営業を続けることにより、不必要な競争を回避して互いに切磋琢磨し、ベストプラクティスを共有して補完し合うことで、事業の効率化を図ることができる。また、整備子会社のエヌティオートサービスの集中工場を活用したり、共同で物流子会社エヌティ陸送(株)を利用したりすることで、スケールメリットを生かすことができる。このように3販社がグループ化したことで、シナジーを最大限に発揮することができるようになったのである。
3販社の売上は、それぞれ新車、中古車、その他のバランスが取れているようで、新車を販売することで中古車販売の回転が良くなり、整備などのストックビジネスが積み上がるという安定したバリューチェーンを形成している。収益寄与の面では、整備は安定的な収益基盤、中古車は仕入れに関して新車への依存が大きく、事業そしてグループ全体の収益をけん引するのは新車の役割ということになる。しかし、ここ数年、同社のシェアは弱含んでいる。理由は他社ブランド比でも、新車の投入が少なくなっていたこと、完成検査工程における不備に伴う車両の製造・出荷・登録停止やカルロス・ゴーン前会長の逮捕など、日産自動車で起きた諸々の問題によって、風評が全国の日産系ディーラーにも及んだことも一因にあるようだ。ただし、日産自動車は2021年3月期に入って強烈に巻き返しを図っており、そのことについては後に詳述する。なお、ルノー車の販売は、現在日産プリンス東京販売の直営で、ルノー車専門の販売店5店舗を展開、ルノー車の全国販売シェアで12%(2019年度)、No.1の販売台数という実績を誇っている。
中古車販売については、3販社及び2019年に子会社化したGTNETが扱っている。3販社での中古車の扱いは新車販売を促進するためという側面もあるが、GTNETはスポーツカーメインの中古車の買取・販売を行う、中古車事業である。スポーツカーがメインなだけに、独自の厳しい品質基準を定めるなど安心して売買できる体制になっている。店舗は北海道から九州まで全国に15店あり、車検センターも8拠点展開している。一方、スポーツカーを中心としたポータルサイトも運営しており、買取査定、中古車検索、車検の見積もりから部品の販売までを1つのサイトで行っている。車種は日産に偏らず、トヨタ自動車<7203>やホンダ<7267>などまんべんなく扱っている。
整備は3販社もストックビジネスの1つの柱としているが、大規模総合自動車整備会社のエヌティオートサービスが、確かなサービス品質と最新鋭の設備によって、板金・塗装や車検整備、納車整備などの集中センターとして機能している。サービスセンターは東京に5拠点、埼玉に1拠点あり、高級輸入車のアルミボディにも対応できる業界屈指の高い技術力を有し、車検整備43,350台(2020年3月期)、板金・塗装総台数21,985台(同)という実績を誇る。車検については、他に車検館およびGTNETで行っている。車検館は車検の専門店で、東京、神奈川、埼玉に11店舗のネットワークを展開している。全店が最新設備をそろえた指定工場で、国家資格検査員が顧客の持ち込んだ自動車を短時間で検査をすることを売りにしている。
このほか自動車関連事業では、エースビジネスサービス(株)が、損害保険ジャパン(株)、東京海上日動火災保険(株)を中心とした損害保険及び系列生命保険と、がん保険の「アフラック」を取り扱う保険代理店業などを展開している。エヌティ陸送は、グループの車両輸送や登録代行業務を行っている。また、(株)日産ピーズフィールドクラフトはキャンピングカー専門のディーラーで、日産車をベースにしたオリジナリティあふれたクルマを製作、キャンピング架装の特注なども請け負っている。
(2) 情報システム関連事業
同社の情報システム関連事業を担う東京日産コンピュータシステムは、JASDAQに上場する上場子会社だが、前述したように同社グループへの依存度が6.2%と非常に低く、ほぼ独り立ちしていると言える。そのような東京日産コンピュータシステムが属するIT業界は、新型コロナウイルス感染症の影響により、顧客のIT投資計画の見直しや凍結、先送りが進められている一方、在宅勤務者の増加によるテレワークなど働き方改革の浸透を背景としたソリューションへの需要が高まっている。この傾向は、デジタルトランスフォーメーション(DX)という形で、新型コロナウイルス感染症収束後も続くと想定されている。このような事業環境のなか、「最も安心してITインフラを任せられる企業」をビジョンとして定め、顧客価値を創造するマネージドサービスカンパニーとして、顧客の持続的成長を支援するベストパートナーを目指している。一方、同社にもDXの風は吹き付けており、顧客や販売してきた自動車、様々な運転事情・交通状況など、グループで集積した膨大なデータをビジネスに生かす必要が生じている。この際、東京日産コンピュータシステムは、同社グループにとって心強い味方になると期待されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
<NB>
1. 事業内容
日産東京販売ホールディングス<8291>の事業セグメントは自動車関連事業、情報システム関連事業、その他に3分され、自動車関連事業は新車販売、中古車販売、整備や車検などのその他に細分される。2020年3月期における各事業の売上構成比は、自動車関連事業94%(新車46%、中古車21%、その他27%)、情報システム関連事業5%、その他0%となっている。日産自動車との関係は、3販社が日産自動車から新車や部用品を仕入れて一般消費者などに販売するという関係がメインだが、同社及び3販社は、後述するようなEV(Electric Vehicle:電気自動車)やプロパイロット(pro-PILOT:運転支援技術)といった先端技術車のPRや試乗会開催、急速充電器の取付サポートなどにより、メーカーと消費者をつなぐ役割も担っている。
(1) 自動車関連事業
東京日産自動車販売、日産プリンス東京販売、日産プリンス西東京販売の3販社は、ともに日産自動車の新車を販売するほか、中古車の買取・販売、整備・車検などを行っている。各社とも、取扱車種は日産全車種である。日産プリンス東京販売と日産プリンス西東京販売では23区と都下に販売エリアが分かれているが、東京日産自動車販売は都内全域をエリアにしている(8区を除く)。が、3販社が1つのグループとして営業を続けることにより、不必要な競争を回避して互いに切磋琢磨し、ベストプラクティスを共有して補完し合うことで、事業の効率化を図ることができる。また、整備子会社のエヌティオートサービスの集中工場を活用したり、共同で物流子会社エヌティ陸送(株)を利用したりすることで、スケールメリットを生かすことができる。このように3販社がグループ化したことで、シナジーを最大限に発揮することができるようになったのである。
3販社の売上は、それぞれ新車、中古車、その他のバランスが取れているようで、新車を販売することで中古車販売の回転が良くなり、整備などのストックビジネスが積み上がるという安定したバリューチェーンを形成している。収益寄与の面では、整備は安定的な収益基盤、中古車は仕入れに関して新車への依存が大きく、事業そしてグループ全体の収益をけん引するのは新車の役割ということになる。しかし、ここ数年、同社のシェアは弱含んでいる。理由は他社ブランド比でも、新車の投入が少なくなっていたこと、完成検査工程における不備に伴う車両の製造・出荷・登録停止やカルロス・ゴーン前会長の逮捕など、日産自動車で起きた諸々の問題によって、風評が全国の日産系ディーラーにも及んだことも一因にあるようだ。ただし、日産自動車は2021年3月期に入って強烈に巻き返しを図っており、そのことについては後に詳述する。なお、ルノー車の販売は、現在日産プリンス東京販売の直営で、ルノー車専門の販売店5店舗を展開、ルノー車の全国販売シェアで12%(2019年度)、No.1の販売台数という実績を誇っている。
中古車販売については、3販社及び2019年に子会社化したGTNETが扱っている。3販社での中古車の扱いは新車販売を促進するためという側面もあるが、GTNETはスポーツカーメインの中古車の買取・販売を行う、中古車事業である。スポーツカーがメインなだけに、独自の厳しい品質基準を定めるなど安心して売買できる体制になっている。店舗は北海道から九州まで全国に15店あり、車検センターも8拠点展開している。一方、スポーツカーを中心としたポータルサイトも運営しており、買取査定、中古車検索、車検の見積もりから部品の販売までを1つのサイトで行っている。車種は日産に偏らず、トヨタ自動車<7203>やホンダ<7267>などまんべんなく扱っている。
整備は3販社もストックビジネスの1つの柱としているが、大規模総合自動車整備会社のエヌティオートサービスが、確かなサービス品質と最新鋭の設備によって、板金・塗装や車検整備、納車整備などの集中センターとして機能している。サービスセンターは東京に5拠点、埼玉に1拠点あり、高級輸入車のアルミボディにも対応できる業界屈指の高い技術力を有し、車検整備43,350台(2020年3月期)、板金・塗装総台数21,985台(同)という実績を誇る。車検については、他に車検館およびGTNETで行っている。車検館は車検の専門店で、東京、神奈川、埼玉に11店舗のネットワークを展開している。全店が最新設備をそろえた指定工場で、国家資格検査員が顧客の持ち込んだ自動車を短時間で検査をすることを売りにしている。
このほか自動車関連事業では、エースビジネスサービス(株)が、損害保険ジャパン(株)、東京海上日動火災保険(株)を中心とした損害保険及び系列生命保険と、がん保険の「アフラック」を取り扱う保険代理店業などを展開している。エヌティ陸送は、グループの車両輸送や登録代行業務を行っている。また、(株)日産ピーズフィールドクラフトはキャンピングカー専門のディーラーで、日産車をベースにしたオリジナリティあふれたクルマを製作、キャンピング架装の特注なども請け負っている。
(2) 情報システム関連事業
同社の情報システム関連事業を担う東京日産コンピュータシステムは、JASDAQに上場する上場子会社だが、前述したように同社グループへの依存度が6.2%と非常に低く、ほぼ独り立ちしていると言える。そのような東京日産コンピュータシステムが属するIT業界は、新型コロナウイルス感染症の影響により、顧客のIT投資計画の見直しや凍結、先送りが進められている一方、在宅勤務者の増加によるテレワークなど働き方改革の浸透を背景としたソリューションへの需要が高まっている。この傾向は、デジタルトランスフォーメーション(DX)という形で、新型コロナウイルス感染症収束後も続くと想定されている。このような事業環境のなか、「最も安心してITインフラを任せられる企業」をビジョンとして定め、顧客価値を創造するマネージドサービスカンパニーとして、顧客の持続的成長を支援するベストパートナーを目指している。一方、同社にもDXの風は吹き付けており、顧客や販売してきた自動車、様々な運転事情・交通状況など、グループで集積した膨大なデータをビジネスに生かす必要が生じている。この際、東京日産コンピュータシステムは、同社グループにとって心強い味方になると期待されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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