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三機工業 Research Memo(4):2021年3月期第2四半期は前年同期比で減収も受注高は同2.3%増(1)

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年3月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
三機工業<1961>の2021年3月期第2四半期の業績は、受注高は103,236百万円(前年同期比2.3%増)、次期繰越高は158,534百万円(前年同期末比0.2%減)、売上高80,864百万円(同12.0%減)、売上総利益10,757百万円(同18.3%減)、営業利益505百万円(同84.2%減)、経常利益842百万円(同75.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益821百万円(同66.9%減)となった。減益決算となったが、手持ち工事高も豊富であり健闘した結果と言えるだろう。

受注においては、コロナ禍の影響で小口・諸口案件の工事が減少したが、半導体関係を中心とした大口工事の受注により前年同期を上回った。売上高においては、コロナ禍の影響で小口・諸口工事の売上高が減少したことに加え、大型工事の完工が端境期にあったことから減収となった。

利益面においては、継続的な原価管理の徹底、現場サポート体制の強化などの利益改善施策の効果により、売上総利益率は13.3%となった。前年同期比では1.0ポイント低下したが、前年同期に採算性の良い大型工事が完工したことから2020年3月期第2四半期の水準が異常に高かったためであり、依然として高水準の売上総利益率を維持したと言える。ちなみに2019年3月期第2四半期の売上総利益率は13.3%であった。この結果、売上総利益は10,757百万円(前年同期比18.3%減)となった。

一方で販管費は、10,251百万円(前年同期比2.8%増、同275百万円増)となった。コロナ禍の影響で出張旅費など減少した費用もあったが、コロナ対策費用や人件費が増加した。人件費の増加は若干の人員増もあるが、主に「働き方改革」に伴う社員への待遇改善による。この結果、営業利益は505百万円(同84.2%減)となった。

(2) セグメント別損益状況
建築設備事業の売上高は67,807百万円(前年同期比13.3%減)となった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は同30.6%減の22,614百万円となった。大口案件は予想どおりであったが、コロナ禍の影響でホテルや百貨店向けなどの小口・諸口の売上高が減少した。産業空調は同4.8%減の29,355百万円と前年同期比では微減収となったが、比較的高水準を維持した。電気は同16.2%増の11,440百万円となり好調と言える。ファシリティシステムは同11.4%減の4,397百万円となった。

プラント設備合計の売上高は前年同期比5.0%減の12,069百万円となった。機械システム事業は4,459百万円(同15.8%減)であったが、営業活動自粛によりコンベア関連などの小口案件を獲得できなかったことが響いた。環境システム事業は以前に受注した大型DBO※案件が進行したことなどから7,610百万円(同2.7%増)となった。これら設備事業以外では、旧大和事業所跡地の一部を日本生命保険(相)へ賃貸開始したことなどから、不動産事業の売上高が同12.3%増の1,179百万円、その他が同17.3%減の366百万円となった。

※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。


またセグメント別の利益については、2020年3月期から売上総利益で開示されている。2021年3月期第2四半期における建築設備事業の売上総利益は9,039百万円(前年同期比20.6%減、同2,350百万円減)となったが、概算として売上減少による分が約1,400百万円、利益率の低下による分が約1,000百万円であった。またサブセグメントの内訳としては、ビル空調衛生・産業空調・電気が8,375百万円(同20.7%減)、ファシリティシステムが663百万円(同19.5%減)であった。プラント設備事業の売上総利益は1,362百万円(同1.6%減、同22百万円減)となったが、内訳は機械システム事業が707百万円(同29.2%減)、環境システム事業が655百万円(同69.7%増)となった。また不動産事業及びその他の売上総利益は、各々443百万円(同39.3%増)、16百万円(同86.6%減)となった。

(3) セグメント別受注状況

建築設備事業全体の受注高は82,902百万円(前年同期比4.1%増)となり、これで上期の受注高としては3期連続の1,000億円超となった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は33,153百万円(同1.0%増)、産業空調は34,553百万円(同20.2%増)となり、いずれも前年同期を上回った。特に産業空調では、半導体関連、5G関連、研究開発関連からの受注が堅調であった。電気は9,802百万円(同19.6%減)となったが依然として100億円前後の受注が取れていることは懸念される内容ではない。ファシリティシステムは5,393百万円(同8.7%減)となったが、2019年3月期並みの水準であり比較的堅調であったと言える。

プラント設備事業では、機械システム事業の受注高は4,268百万円(前年同期比22.1%減)となったが、コロナ禍の影響による小口受注の失注によるところが大きい。一方で、環境システム事業の受注高は15,049百万円(同0.8%増)と前期並みの高水準を維持した。この結果、プラント設備事業の受注高は19,318百万円(同5.4%減)となり、建築設備事業と合わせた設備工事全体の受注高は102,221百万円(同2.1%増)となった。

また設備工事以外の受注高は、不動産1,179百万円(前年同期比12.3%増)、その他274百万円(同15.5%減)となり、調整額を含めた2021年3月期第2四半期の総受注高は103,236百万円(同2.3%増)となった。この結果、2021年3月期第2四半期末の次期繰越高は158,534百万円(前年同期末比0.2%減)となった。

大型案件(10億円以上)の受注は、計14件、26,427百万円であった。前年同期に比べて受注件数、金額ともに増加しているが1件当たり平均金額は1,887百万円(前年同期は2,707百万円)となり、前年同期を下回った。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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