フォーバル Research Memo(1):アイコンサービスに新メニュー(ペーパーレス支援、新規顧客開拓支援)が加わる
[20/12/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
フォーバル<8275>は、「中小・中堅企業の利益に貢献する次世代経営コンサルタント集団」を旗印に事業展開を行う。IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングを得意とし、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングなどを行う。従来は情報通信機器の卸売販売を主に行っていたが、2000年代半ばに大きな売上・利益減に直面し、アイコンサービスを主軸としたコンサルティング業態に転換した。このビジネスモデルの転換が奏功し、2020年3月期まで営業利益は12期連続の増益を達成している。
1. 事業概要
フォーバルビジネスグループとフォーバルテレコムビジネスグループが2本柱である。フォーバルビジネスグループでは、中小企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出支援、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングサービス、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎなどを手掛ける。同事業グループが行うコンサルティングの特色は5分野(情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継)と3手法(売上拡大、業務効率改善、リスク回避)に整理される。主力サービスであるアイコンサービスは定期訪問と遠隔サポート・状態監視を組み合わせた効率的な支援が特長である。サービス自体の粗利率が高く、端末(パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、コピー機など)やネットワークの状態監視から得られたビッグデータから様々な改善提案を行うことにより関連商材が拡販できるという副次的効果が大きい。結果として、アイコンサービスの売上高とフォーバルビジネスグループ及び同社全体の営業利益には高い相関性がある。コロナ禍において中小企業の働き方改革が待ったなしとなる中、同社の一連のソリューション(コンサル、システム、空間作りなど)が中小企業の生産性向上に寄与している。
2. 業績動向
2021年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の23,455百万円、営業利益が同33.5%減の1,024百万円、経常利益が同43.3%減の913百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同62.7%減の460百万円となり、コロナ禍で営業自粛を行った第1四半期に対して、第2四半期は徐々に正常化したものの、減収減益決算となった。売上高に関しては、緊急事態宣言が出された第1四半期に前年同期比6.7%減と落ち込んだが、第2四半期単独では同4.3%減と回復傾向にある。主力のフォーバルビジネスグループでは、アイコンサービスが堅調に推移し、テレワーク環境の整備などの投資は活発だったが、一方で従来の事務機器やサーバー等への投資は鈍った。フォーバルテレコムビジネスグループは全体としては増収(前年同期比3.7%増)。新電力サービスや保険サービスが好調な一方で、光回線サービスやISPの新規販売が減少した。営業利益に関しては、販管費において経費の削減に取り組んだことで前年同期比397百万円減少(同5.0%減)となったものの、売上総利益が同912百万円減少(同9.6%減)し、減益となった。なお、2021年3月期の連結業績予想は、コロナの影響が不透明であり、合理的に算定することが困難であるため、現段階では未定としている。
3. 成長戦略
同社の中核サービスであるアイコンサービスには、よろず相談サービスや定期診断などの診断メニューのほかに、多様な実践メニューがある。近年では、M&Aや自社開発を通じて実践メニューを増やし、ARPU(1顧客当たりの平均売上)を増やすことを基本戦略としている。今期に追加した実践メニューの代表例がペーパレス化を支援する「PPLS(ププルス)」と新規顧客開拓を支援する「ビジネスセールスマネジメント」である。同社の連結子会社である(株)プロセス・マネジメントは、2020年10月、業務フローの見直し・マニュアル化を行い、ペーパレス化・標準化で業務の効率性を高めるコンサルティングサービス「PPLS」の提供を開始した。コロナ時代に入りテレワーク導入企業が増加しているが、テレワーク導入にあたっては、紙書類をもとに行う業務の電子化、業務フローの変更、書類保管スペースの有効活用などが課題となる。同社では、コンサルティングサービスにとどまらず、データ入力代行等のアウトソーシング機能も有しており、中小企業の新しい働き方の実践を支援したい考えだ。弊社では、デジタル庁の発足(2021年秋予定)や行政手続きの押印削減なども追い風となり、中小企業のペーパレス化は大きく進展する可能性があり、「PPLS」は時流に乗ったサービスであると考えている。
4. 株主還元策
同社は、配当による株主への利益還元を重要な経営課題の1つとして認識している。実績では、安定的な利益成長を背景に継続的な増配を続けており、配当性向は30%前後を維持してきた。2020年3月期の1株当たり配当金は年間で26円(1円増配)、配当性向61.2%となり、8期連続の増配となった。2021年3月期は、コロナ禍で業績予想が未定ではあるが、配当金は期初の予想を据え置いた、26円を維持する予想となっている。配当性向はコロナの影響により業績予想が未定のため、同様に未定としている。
■Key Points
・情報通信分野を得意とする中小・中堅企業向けコンサルタント集団。継続的なM&Aでグループ拡大
・アイコンサービスを軸に中小企業の経営改善を支援するフォーバルビジネスグループ、情報通信サービスのフォーバルテレコムビジネスグループの2本柱
・2021年3月期第2四半期は、コロナ禍の営業自粛から緩やかに正常化に向かうも減収減益。アイコンサービス等の継続サービスは好調維持
・アイコンサービスに新しいメニュー(ペーパーレス支援、新規顧客開拓支援)が加わる。月刊「ブルーレポートmini」を発行し、中小企業のコロナ対策・働き方改革を啓蒙
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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フォーバル<8275>は、「中小・中堅企業の利益に貢献する次世代経営コンサルタント集団」を旗印に事業展開を行う。IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングを得意とし、総合コンサルティング、海外進出、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングなどを行う。従来は情報通信機器の卸売販売を主に行っていたが、2000年代半ばに大きな売上・利益減に直面し、アイコンサービスを主軸としたコンサルティング業態に転換した。このビジネスモデルの転換が奏功し、2020年3月期まで営業利益は12期連続の増益を達成している。
1. 事業概要
フォーバルビジネスグループとフォーバルテレコムビジネスグループが2本柱である。フォーバルビジネスグループでは、中小企業向けに、IP統合システム、情報セキュリティ、Web構築などの情報通信コンサルティングのほか、総合コンサルティング、海外進出支援、人材・教育、環境、事業承継などの経営コンサルティングサービス、OA・ネットワーク機器の販売、サービスの取次ぎなどを手掛ける。同事業グループが行うコンサルティングの特色は5分野(情報通信、海外、環境、人材・教育、起業・事業承継)と3手法(売上拡大、業務効率改善、リスク回避)に整理される。主力サービスであるアイコンサービスは定期訪問と遠隔サポート・状態監視を組み合わせた効率的な支援が特長である。サービス自体の粗利率が高く、端末(パソコン、タブレット、携帯電話、プリンター、コピー機など)やネットワークの状態監視から得られたビッグデータから様々な改善提案を行うことにより関連商材が拡販できるという副次的効果が大きい。結果として、アイコンサービスの売上高とフォーバルビジネスグループ及び同社全体の営業利益には高い相関性がある。コロナ禍において中小企業の働き方改革が待ったなしとなる中、同社の一連のソリューション(コンサル、システム、空間作りなど)が中小企業の生産性向上に寄与している。
2. 業績動向
2021年3月期第2四半期の連結業績は、売上高が前年同期比5.4%減の23,455百万円、営業利益が同33.5%減の1,024百万円、経常利益が同43.3%減の913百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同62.7%減の460百万円となり、コロナ禍で営業自粛を行った第1四半期に対して、第2四半期は徐々に正常化したものの、減収減益決算となった。売上高に関しては、緊急事態宣言が出された第1四半期に前年同期比6.7%減と落ち込んだが、第2四半期単独では同4.3%減と回復傾向にある。主力のフォーバルビジネスグループでは、アイコンサービスが堅調に推移し、テレワーク環境の整備などの投資は活発だったが、一方で従来の事務機器やサーバー等への投資は鈍った。フォーバルテレコムビジネスグループは全体としては増収(前年同期比3.7%増)。新電力サービスや保険サービスが好調な一方で、光回線サービスやISPの新規販売が減少した。営業利益に関しては、販管費において経費の削減に取り組んだことで前年同期比397百万円減少(同5.0%減)となったものの、売上総利益が同912百万円減少(同9.6%減)し、減益となった。なお、2021年3月期の連結業績予想は、コロナの影響が不透明であり、合理的に算定することが困難であるため、現段階では未定としている。
3. 成長戦略
同社の中核サービスであるアイコンサービスには、よろず相談サービスや定期診断などの診断メニューのほかに、多様な実践メニューがある。近年では、M&Aや自社開発を通じて実践メニューを増やし、ARPU(1顧客当たりの平均売上)を増やすことを基本戦略としている。今期に追加した実践メニューの代表例がペーパレス化を支援する「PPLS(ププルス)」と新規顧客開拓を支援する「ビジネスセールスマネジメント」である。同社の連結子会社である(株)プロセス・マネジメントは、2020年10月、業務フローの見直し・マニュアル化を行い、ペーパレス化・標準化で業務の効率性を高めるコンサルティングサービス「PPLS」の提供を開始した。コロナ時代に入りテレワーク導入企業が増加しているが、テレワーク導入にあたっては、紙書類をもとに行う業務の電子化、業務フローの変更、書類保管スペースの有効活用などが課題となる。同社では、コンサルティングサービスにとどまらず、データ入力代行等のアウトソーシング機能も有しており、中小企業の新しい働き方の実践を支援したい考えだ。弊社では、デジタル庁の発足(2021年秋予定)や行政手続きの押印削減なども追い風となり、中小企業のペーパレス化は大きく進展する可能性があり、「PPLS」は時流に乗ったサービスであると考えている。
4. 株主還元策
同社は、配当による株主への利益還元を重要な経営課題の1つとして認識している。実績では、安定的な利益成長を背景に継続的な増配を続けており、配当性向は30%前後を維持してきた。2020年3月期の1株当たり配当金は年間で26円(1円増配)、配当性向61.2%となり、8期連続の増配となった。2021年3月期は、コロナ禍で業績予想が未定ではあるが、配当金は期初の予想を据え置いた、26円を維持する予想となっている。配当性向はコロナの影響により業績予想が未定のため、同様に未定としている。
■Key Points
・情報通信分野を得意とする中小・中堅企業向けコンサルタント集団。継続的なM&Aでグループ拡大
・アイコンサービスを軸に中小企業の経営改善を支援するフォーバルビジネスグループ、情報通信サービスのフォーバルテレコムビジネスグループの2本柱
・2021年3月期第2四半期は、コロナ禍の営業自粛から緩やかに正常化に向かうも減収減益。アイコンサービス等の継続サービスは好調維持
・アイコンサービスに新しいメニュー(ペーパーレス支援、新規顧客開拓支援)が加わる。月刊「ブルーレポートmini」を発行し、中小企業のコロナ対策・働き方改革を啓蒙
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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