萩原電気HD Research Memo(7):中期経営計画の数値目標達成は厳しいものの、定性的計画に沿って事業拡大推進
[20/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
萩原電気ホールディングス<7467>は中期経営計画として、「2018年度中期経営計画」を発表している。数値目標として2021年3月期に売上高1,300億円、営業利益43億円、ROE8.5%以上を掲げていたが、コロナ禍の影響もあり目標未達の予想としている。しかしながら、定性的目標は遂行する予定としている。以下は現在の取り組み状況である。
1. 経営理念と中期経営ビジョン
(1) 経営理念:創造と挑戦
創造と挑戦によって、すべてのステークホルダーから選ばれる企業グループとなる。
(2) 中期経営ビジョン
先進エレクトロニクスのワンストップソリューション・グローバルサプライヤーを目指す。
(3) 注力領域
萩原エレクトロニクス(株)ではCASE領域、萩原テクノソリューションズ(株)ではIoT領域に注力する。
(4) 中期経営方針
自動車関連事業をコア事業とする。基本戦略は、萩原エレクトロニクスでは集中戦略、萩原テクノソリューションズではポートフォリオ戦略を推進する。
主要方針として、「新規事業の拡大」「ソフトウェア事業の拡大」「海外事業の拡大」の3点に注力する方針を掲げる。具体的には、技術部門主導による事業会社間のリレーションシップ強化とシナジー創出に注力する。併せて、グループ経営基盤の強化による中長期的企業価値の向上も目指す。
2. 中期経営計画の取り組み状況:新規事業の拡大
(1) 萩原エレクトロニクス
画像ビジネスでの建機分野への拡大を推進する。具体的には、測距システム、サラウンドビューシステム、AIカメラ等、ソリューションの拡大に加え、パートナーリンクによる販路の確立と拡大を目指す。
また、自動運転システム開発向け走行データ活用サービスを開始する。自動運転システム開発における仮想環境での危険運転シミュレーションに向け、走行データの収集・蓄積と危険シーンのシナリオを作成し、提供する。
(2) 萩原テクノソリューションズ
ERPソリューションの更なる拡大を目指す。新たな領域であるERP領域にて基幹システム構築を受注しており、本システムの横展開として現在、2社に提案中である。
また、パートナーコラボも継続して進行中である。パートナーの要素技術×同社の組込ハードウェア開発力によるオリジナル製品の創出など、パートナーとのビジネス共創による高付加価値ビジネスに注力する。また、計測分野におけるメカトロニクス全般への領域拡大に向け、搬送系装置を中心とした特殊装置の専門パートナーの拡充による内製ビジネスの強化を推進する。
3. 中期経営計画の取り組み状況:ソフトウェア事業の拡大
同社の特徴を生かしたビジネスへの集中・拡大を目指し、「AUTOSAR関連受託」「PoC開発受託」「モデルベース開発受託」を拡大するとともに、「VehicleOSに対する取り組み」を開始している。
「AUTOSAR関連受託」では、AUTOSAR Classic PlatformのMCAL/BSW検証業務が着実に実績を積み上げている。また、AUTOSAR Adaptive Platformの開発に参画し、検証作業領域を中心に業務を拡大している。
「PoC開発受託」では、MaaS領域で要件定義からソフトウェア/ハードウェアまで開発していることに加え、運転支援領域でもTier1からのPoC開発を継続して受託している。なお、2020年4月に立ち上げたPoC開発受託専門チームによる受託は想定以上に拡大しているとのことである。
「モデルベース開発受託」では、先行開発、要素技術開発領域で使用される開発ツールと連携したエンジニアリングサービスを展開している。また、モデルベース開発を活用した仮想評価環境を構築し、顧客の開発期間短縮に貢献している。
「VehicleOSに対する取り組み」については、SoCを軸とした開発環境構築の支援活動中であり、今後は受託への展開を狙う。併せて、VehicleOSに関連したソフトウェアビジネスの探索も開始している。
4. 中期経営計画の取り組み:海外事業の拡大
2020年3月期にインドでの営業を開始したことに続き、萩原テクノソリューションズ傘下で中国事業会社を設立し、2020年9月1日に営業を開始した。商号は萩原電子設備(上海)有限公司(Hagiwara Techno Solutions(Shanghai)Co., Ltd)で、中国の日系製造業市場におけるIT・ソリューション事業を行う。なお、資本金は1億円で、株主構成は萩原テクノソリューションズ100%となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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萩原電気ホールディングス<7467>は中期経営計画として、「2018年度中期経営計画」を発表している。数値目標として2021年3月期に売上高1,300億円、営業利益43億円、ROE8.5%以上を掲げていたが、コロナ禍の影響もあり目標未達の予想としている。しかしながら、定性的目標は遂行する予定としている。以下は現在の取り組み状況である。
1. 経営理念と中期経営ビジョン
(1) 経営理念:創造と挑戦
創造と挑戦によって、すべてのステークホルダーから選ばれる企業グループとなる。
(2) 中期経営ビジョン
先進エレクトロニクスのワンストップソリューション・グローバルサプライヤーを目指す。
(3) 注力領域
萩原エレクトロニクス(株)ではCASE領域、萩原テクノソリューションズ(株)ではIoT領域に注力する。
(4) 中期経営方針
自動車関連事業をコア事業とする。基本戦略は、萩原エレクトロニクスでは集中戦略、萩原テクノソリューションズではポートフォリオ戦略を推進する。
主要方針として、「新規事業の拡大」「ソフトウェア事業の拡大」「海外事業の拡大」の3点に注力する方針を掲げる。具体的には、技術部門主導による事業会社間のリレーションシップ強化とシナジー創出に注力する。併せて、グループ経営基盤の強化による中長期的企業価値の向上も目指す。
2. 中期経営計画の取り組み状況:新規事業の拡大
(1) 萩原エレクトロニクス
画像ビジネスでの建機分野への拡大を推進する。具体的には、測距システム、サラウンドビューシステム、AIカメラ等、ソリューションの拡大に加え、パートナーリンクによる販路の確立と拡大を目指す。
また、自動運転システム開発向け走行データ活用サービスを開始する。自動運転システム開発における仮想環境での危険運転シミュレーションに向け、走行データの収集・蓄積と危険シーンのシナリオを作成し、提供する。
(2) 萩原テクノソリューションズ
ERPソリューションの更なる拡大を目指す。新たな領域であるERP領域にて基幹システム構築を受注しており、本システムの横展開として現在、2社に提案中である。
また、パートナーコラボも継続して進行中である。パートナーの要素技術×同社の組込ハードウェア開発力によるオリジナル製品の創出など、パートナーとのビジネス共創による高付加価値ビジネスに注力する。また、計測分野におけるメカトロニクス全般への領域拡大に向け、搬送系装置を中心とした特殊装置の専門パートナーの拡充による内製ビジネスの強化を推進する。
3. 中期経営計画の取り組み状況:ソフトウェア事業の拡大
同社の特徴を生かしたビジネスへの集中・拡大を目指し、「AUTOSAR関連受託」「PoC開発受託」「モデルベース開発受託」を拡大するとともに、「VehicleOSに対する取り組み」を開始している。
「AUTOSAR関連受託」では、AUTOSAR Classic PlatformのMCAL/BSW検証業務が着実に実績を積み上げている。また、AUTOSAR Adaptive Platformの開発に参画し、検証作業領域を中心に業務を拡大している。
「PoC開発受託」では、MaaS領域で要件定義からソフトウェア/ハードウェアまで開発していることに加え、運転支援領域でもTier1からのPoC開発を継続して受託している。なお、2020年4月に立ち上げたPoC開発受託専門チームによる受託は想定以上に拡大しているとのことである。
「モデルベース開発受託」では、先行開発、要素技術開発領域で使用される開発ツールと連携したエンジニアリングサービスを展開している。また、モデルベース開発を活用した仮想評価環境を構築し、顧客の開発期間短縮に貢献している。
「VehicleOSに対する取り組み」については、SoCを軸とした開発環境構築の支援活動中であり、今後は受託への展開を狙う。併せて、VehicleOSに関連したソフトウェアビジネスの探索も開始している。
4. 中期経営計画の取り組み:海外事業の拡大
2020年3月期にインドでの営業を開始したことに続き、萩原テクノソリューションズ傘下で中国事業会社を設立し、2020年9月1日に営業を開始した。商号は萩原電子設備(上海)有限公司(Hagiwara Techno Solutions(Shanghai)Co., Ltd)で、中国の日系製造業市場におけるIT・ソリューション事業を行う。なお、資本金は1億円で、株主構成は萩原テクノソリューションズ100%となる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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