アドバンクリエ Research Memo(5):保険代理店事業は増収増益も、ASP事業とメディアレップ事業が減益(1)
[20/12/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■アドバンスクリエイト<8798>の業績動向
2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比2.5%増の8,923百万円、営業利益は同11.6%増の868百万円となった。売上高の増加要因は、保険選びサイト「保険市場」の広告枠の社内取引高(メディア事業向け)が増加したことによるもので、外部顧客向け売上高については同1.1%増の7,995百万円と微増にとどまった。(「保険市場」サイトによる広告収入の一部は保険代理店事業に計上)。前述したように4月以降、コロナ禍の影響で対面型の面談件数が直営店、協業店ともに減少したことが要因だ。同社ではビデオ通話システムによるオンライン面談に早期に取り組み、面談数については一定数確保できたものの、従業員の教育研修に時間を要したこともあり生産性が低下し、売上高が伸び悩んだ。また、営業利益率の上昇要因は、社内取引高の増加によるものと見られる。
申込ANP(新契約年換算保険料)※は、前期比7.8%減の8,196百万円と4期ぶりに減少に転じた。販売チャネル別では対面販売(直営店)が前期比21.0%減の3,718百万円と減少した一方で、非対面販売(通信販売及びネット完結型販売)が同10.7%増の2,923百万円、提携代理店による協業販売が同0.6%増の1,555百万円となった。商品別では、医療保険のニーズが増加した一方で、外貨建て年金保険など貯蓄性の高い保険商品の販売が利回り低下により減少した。
※ANP(Annualized New business Premium)とは新規契約分の年換算保険料のこと。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは6万円となる。
対面販売については、2019年4月より平日営業(土日祝日休業)体制に変更した影響が2020年9月期第1四半期まで残ったほか、第3四半期以降はコロナ禍による実面談件数の減少が響いた格好だ。オンライン面談件数が2020年4月以降増加し、第4四半期の面談獲得件数は前年同期で2〜3割増加したものの、成約率や申込ANPが実面談と比較して低く、申込ANPベースでは同1.5%減と微減にとどまった。特に、第4四半期はオンライン面談件数が増加し、直営店での人的リソースが不足する状況となり、うまく商談を進めることができなかったことも効率低下につながったと見られる。このため、今後はオンライン面談の環境が整っている協業店にも送客し、直営店に関しては生産性を重視した営業を進めていく方針としている。
非対面販売が2ケタ成長となったが、これはコロナ禍もあって、医療保険やネット完結型の生命保険の販売が増加したことによる。また、提携代理店との協業販売については、2020年9月期第2四半期までは同社からの送客数増加によって2ケタ成長が続いていたが、コロナ禍で、第3四半期以降は2ケタ減少となり、通期ではほぼ横ばい水準にとどまった。なお、2020年9月期末の保有契約件数は前期比6.8%増と着実に積み上がっている。
(2) ASP事業
ASP事業の売上高は前期比0.5%増の183百万円、営業利益は同84.2%減の12百万円となった。主要サービスにおける2020年9月期末の契約ID数は、「御用聞き」が前期末比72.5%増の2,774件、「丁稚(DECHI)」が同31.3%増の5,085件といずれも伸長したものの、新規導入に伴う一時売上が減少したことにより売上高は伸び悩んだ。また、営業利益については人件費の増加が減益要因となっている。2020年9月期第3四半期以降、コロナ禍の影響で営業活動が停滞したことにより、契約ID数の成長スピードも鈍化している。
「御用聞き」については既に代理店が他社製の顧客管理ソフトを導入しているケースがほとんどのため、乗り換えメリットをどのように提案していくことができるかが契約獲得のカギを握る。同社が2021年以降、外販を予定しているビデオ通話システムを付加機能として組み込めば訴求力も向上すると思われるが、今後の戦略次第となる。一方で、「丁稚(DECHI)」については業務効率の向上や顧客満足度の向上に直結するシステムであることから、営業活動が正常化すれば契約数も再び増加していくものと予想される。
また、証券管理アプリ「folder」についても2020年以降、外販を開始した。導入社数も着実に増加しているもようだ。
「folder」は今まで同社直営店の顧客向けに無料で提供してきたサービスとなる。保険証券をスマートフォンで撮影してクラウド上に保存・管理できるアプリで、契約データを紐付けることで、契約先保険会社との連絡先が連携されるほか、家族同士の共有も可能となっている。旅行先でトラブルがあった際や、災害などで保険証券を紛失した際に、「folder」で管理していれば保険金の請求手続きなどもスムーズに行うことができる。顧客サービスの向上と囲い込みにつながるツールとなるため、販売代理店からのニーズは大きいとみられる。登録ID数のレンジを決めて、レンジごとに月額課金するビジネスモデル(サーバー費用含む)となる。2020年9月期末時点で同アプリのダウンロード数は30,533件、保険証券登録数は29,868件と順調に拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
2. 事業セグメント別動向
(1) 保険代理店事業
保険代理店事業の売上高は前期比2.5%増の8,923百万円、営業利益は同11.6%増の868百万円となった。売上高の増加要因は、保険選びサイト「保険市場」の広告枠の社内取引高(メディア事業向け)が増加したことによるもので、外部顧客向け売上高については同1.1%増の7,995百万円と微増にとどまった。(「保険市場」サイトによる広告収入の一部は保険代理店事業に計上)。前述したように4月以降、コロナ禍の影響で対面型の面談件数が直営店、協業店ともに減少したことが要因だ。同社ではビデオ通話システムによるオンライン面談に早期に取り組み、面談数については一定数確保できたものの、従業員の教育研修に時間を要したこともあり生産性が低下し、売上高が伸び悩んだ。また、営業利益率の上昇要因は、社内取引高の増加によるものと見られる。
申込ANP(新契約年換算保険料)※は、前期比7.8%減の8,196百万円と4期ぶりに減少に転じた。販売チャネル別では対面販売(直営店)が前期比21.0%減の3,718百万円と減少した一方で、非対面販売(通信販売及びネット完結型販売)が同10.7%増の2,923百万円、提携代理店による協業販売が同0.6%増の1,555百万円となった。商品別では、医療保険のニーズが増加した一方で、外貨建て年金保険など貯蓄性の高い保険商品の販売が利回り低下により減少した。
※ANP(Annualized New business Premium)とは新規契約分の年換算保険料のこと。例えば、月額保険料が5,000円の場合、ANPは6万円となる。
対面販売については、2019年4月より平日営業(土日祝日休業)体制に変更した影響が2020年9月期第1四半期まで残ったほか、第3四半期以降はコロナ禍による実面談件数の減少が響いた格好だ。オンライン面談件数が2020年4月以降増加し、第4四半期の面談獲得件数は前年同期で2〜3割増加したものの、成約率や申込ANPが実面談と比較して低く、申込ANPベースでは同1.5%減と微減にとどまった。特に、第4四半期はオンライン面談件数が増加し、直営店での人的リソースが不足する状況となり、うまく商談を進めることができなかったことも効率低下につながったと見られる。このため、今後はオンライン面談の環境が整っている協業店にも送客し、直営店に関しては生産性を重視した営業を進めていく方針としている。
非対面販売が2ケタ成長となったが、これはコロナ禍もあって、医療保険やネット完結型の生命保険の販売が増加したことによる。また、提携代理店との協業販売については、2020年9月期第2四半期までは同社からの送客数増加によって2ケタ成長が続いていたが、コロナ禍で、第3四半期以降は2ケタ減少となり、通期ではほぼ横ばい水準にとどまった。なお、2020年9月期末の保有契約件数は前期比6.8%増と着実に積み上がっている。
(2) ASP事業
ASP事業の売上高は前期比0.5%増の183百万円、営業利益は同84.2%減の12百万円となった。主要サービスにおける2020年9月期末の契約ID数は、「御用聞き」が前期末比72.5%増の2,774件、「丁稚(DECHI)」が同31.3%増の5,085件といずれも伸長したものの、新規導入に伴う一時売上が減少したことにより売上高は伸び悩んだ。また、営業利益については人件費の増加が減益要因となっている。2020年9月期第3四半期以降、コロナ禍の影響で営業活動が停滞したことにより、契約ID数の成長スピードも鈍化している。
「御用聞き」については既に代理店が他社製の顧客管理ソフトを導入しているケースがほとんどのため、乗り換えメリットをどのように提案していくことができるかが契約獲得のカギを握る。同社が2021年以降、外販を予定しているビデオ通話システムを付加機能として組み込めば訴求力も向上すると思われるが、今後の戦略次第となる。一方で、「丁稚(DECHI)」については業務効率の向上や顧客満足度の向上に直結するシステムであることから、営業活動が正常化すれば契約数も再び増加していくものと予想される。
また、証券管理アプリ「folder」についても2020年以降、外販を開始した。導入社数も着実に増加しているもようだ。
「folder」は今まで同社直営店の顧客向けに無料で提供してきたサービスとなる。保険証券をスマートフォンで撮影してクラウド上に保存・管理できるアプリで、契約データを紐付けることで、契約先保険会社との連絡先が連携されるほか、家族同士の共有も可能となっている。旅行先でトラブルがあった際や、災害などで保険証券を紛失した際に、「folder」で管理していれば保険金の請求手続きなどもスムーズに行うことができる。顧客サービスの向上と囲い込みにつながるツールとなるため、販売代理店からのニーズは大きいとみられる。登録ID数のレンジを決めて、レンジごとに月額課金するビジネスモデル(サーバー費用含む)となる。2020年9月期末時点で同アプリのダウンロード数は30,533件、保険証券登録数は29,868件と順調に拡大している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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