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ランドコンピュ Research Memo(2):半世紀近い業歴を持つ独立系システムインテグレータ(1)

注目トピックス 日本株
■会社概要

ランドコンピュータ<3924>は、独立系システムインテグレータとして歴史を重ね、2021年1月に創業50周年を迎える。情報サービス業界では珍しく学校法人を起源としている。「こころできまる」を社是に、「1)顧客価値の創造と顧客満足度の追求を図り企業価値を高める。2)次代を拓くプロフェッショナル集団として、情報技術のリーディングカンパニーとなる。3)常に革新的企業文化風土を維持、継続する。」を経営理念として事業を展開する。学校法人を設立母体に持つことから、社員教育に熱心なことが特徴となっており、従業員にはIT系だけでなく業務系の資格を取得するよう奨励、1人当たり平均3つ以上の資格を保持している。ITと顧客業務の両方のスキルと知識を有することで、顧客満足度の高いシステム開発を可能にしている。

1. 沿革
同社の歴史は、1)創業から経営基盤整備期、2)成長及び構造改革期、3)改革期以降、の3つのステージに区分できる。1971年の創業から富士通と(株)東京銀行(現(株)三菱UFJ銀行)のシステム開発で取引を開始し、銀行や保険などの金融システムの受託開発を中心に事業規模を拡大した。1987年12月に(株)東洋情報システム(現TIS<3626>)経由でクレジットカードシステム分野に参入したほか、1990年7月には高島屋<8233>と業務請負基本契約を締結したことで百貨店向け流通システム分野への参入も果たし、ユーザ基盤を拡大した。

2010年4月から米Salesforce(セールスフォース・ドットコム)と協業し、クラウドコンピューティング・サービスを開始したほか、システムインテグレーション・サービスにおけるパッケージシステムの導入・アドオン開発業務をパッケージベースSI・サービスとして開始した。

2015年12月に東証2部に新規上場し、2018年5月に東証1部に指定替えとなった。

2. 事業内容
2020年3月期のサービスライン別の売上高構成比は、システムインテグレーション・サービス65.3%、インフラソリューション・サービス16.7%、パッケージベースSI・サービス18.0%であった。システムインテグレーション・サービスの売上高構成比の顧客業種別内訳は、金融向けが30.6%(銀行19.2%、保険・証券3.3%、クレジットカード8.2%)、産業・流通が23.9%、公共が3.3%、医療が7.4%を占めた。

金融機関は、ITサービス業界にとって最大の顧客となる。同社の場合、富士通や日立製作所などがプライムコントラクターとなり、同社は協力会社の位置付けとなる。

顧客基盤では、富士通を筆頭に、日立製作所や(株)日立ソリューションズを中心とする日立グループ、NTTデータ<9613>を中心とするNTTグループ、日鉄ソリューションズ<2327>などメーカー系を中心とした大手システムインテグレータと長年にわたり良好な取引関係を維持している。加えて、直接取引をしている主要なユーザは三菱総研DCS(株)、三井住友トラスト・システム&サービス(株)、出光興産<5019>、(株)オプテージ、野村ホールディングス<8604>などとなっており、増加傾向にある。これらは、同社の技術力と金融、流通などの業務知識、品質面での実績が顧客から評価された結果と言える。

主要顧客は、大手システムインテグレータになる。特に、富士通グループとは設立直後の取引関係から親密で、富士通のコアパートナーとなっている。同社は、富士通の2019年度PQI(パートナー品質改善活動)のスキルレベル認定において、1stステップ(品質記録)、2ndステップ(品質評価)及び3rdステップ(品質計画)の全3ステップにてスキルレベル「ゴールド」認定を取得した。2020年3月期における主要顧客への売上依存度は、富士通向けが25.9%、富士通グループ向けの依存度は約4割であった。なお、富士通との良好な関係を維持しながら、他のシステムインテグレータとの取引量拡大を図っている。具体的には、日立製作所やNTTデータなど150社強のエンドユーザとも直接取引しており、その売上高の内訳は、システムインテグレータとの間接取引が74%、直ユーザとの直接取引が26%となっている。

(1) システムインテグレーション・サービス
主力のシステムインテグレーション・サービスは、金融業、産業・流通業、公共分野、医療分野等の幅広い分野において、顧客であるエンドユーザや国内メーカー、大手システムインテグレータからの受託開発を中心に行う。企画立案、システム構築、システム運用の工程をすべて手掛けており、トータルサービスを提供できる体制を整えている。

銀行は、省力・省人化のためIT投資を進めており、中長期的に高水準な需要が期待される。また、ネットバンクや流通系の金融子会社の案件も多い。なお、同社が金融業界と並んでターゲットとする公共部門は、電子政府など行政部門における生産性改革や利便性の向上並びにセキュリティ強化など、IT投資案件は多い。

(2) インフラソリューション・サービス
インフラソリューション・サービスは、顧客のITシステム基盤となるサーバ等ハードウェアの導入やネットワークの構築、データベース、アプリケーション基盤等のシステムインフラを構築するとともに、その後の運用や保守までの一連のサービスをカバーしている。一般企業、大学等の教育機関、病院、官公庁など様々な顧客のITシステムインフラ環境を調査・分析したうえで、顧客のニーズに適したインフラソリューション・サービスを提供する。具体的には、ネットワーク構築等のインフラソリューション・サービスに加えて、システムインテグレーション・サービスを組み合わせたトータルサービスをワンストップで提供する。

(3) パッケージベースSI・サービス
成長分野の柱としてシステム・パッケージベンダとアライアンスを組み、場合によってはパッケージの提供を受け、顧客へソフトウェアパッケージ製品(Salesforce、COMPANY、SuperStream等)の導入支援、カスタマイズ、アドオン開発、保守、運用までを行い、トータルサービスを提供する。同サービスラインの売上高構成比は2015年3月期の7.5%から2020年3月期では18.0%に高まった。

同社は、2010年4月よりSalesforceとのビジネスを開始し、2016年11月には販売パートナー契約を締結した。現在は、Salesforce Goldコンサルティングパートナー、アプリケーションパートナー/ライセンス販売代理店となっている。これまで500社を超える導入と1,900件を超えるプロジェクト実績がある。多業種に多業務に及ぶ業務知見と、幅広い製品知識(Sales Cloud、Service Cloud、Community Cloud、Lightning Platform、Einstein Analytics、Field Service Lightning、Heroku、Pardot)で最適なソリューションを提案する。業種としては、損保、保険代理店、大学、専門学校、塾・予備校、製造業(食品、機器、部品、ソフトウェア等)、飲食、卸売業、小売業、専門商社、アパレル、印刷・出版業、不動産、人材派遣、インターネットサービス、法律事務所、施設運営などの実績がある。

ちなみに、2019年1月期に1兆4,900億円の売上高を計上した米Salesforceは、次の4年間でそれを倍増させる計画を発表している。設立翌年の2000年に最初の国際拠点として日本へ進出しており、国内企業のデジタル変革を支援するため、日本における従業員数を現在の1,500人から2024年までの5年間で3,500人に増員する計画でいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)




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