ミロク情報 Research Memo(7):M&Aも活用しbizskyプラットフォームの拡張を図る(2)
[21/01/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ミロク情報サービス<9928>の今後の見通し
(2) 現状の取り組み状況
具体的な戦略や経営数値目標については、2021年5月に発表される予定となっているが、現状は以下の取り組みを推進している。
a) bizskyプラットフォーム事業の拡張
同社が最も注力しているのが、bizskyプラットフォーム事業の育成であり、今後、同社が高成長を目指していくうえでの根幹となる事業と言える。
bizskyプラットフォームとは、中小企業が抱える経営課題(売上拡大、業務効率向上、資金管理等)に役立つ多彩なクラウドサービスを提供するだけでなく、会計事務所や取引金融機関、他社クラウドサービスなどともAPI連携することで、日々の営業活動から資金管理、経営管理、事業承継など事業活動を進めていくうえで必要となるほぼ全てのソリューションを提供できることを目指したプラットフォームである。現状、1つのプラットフォーム上に資金の流れから営業活動やそのほかの業務まで広範に連携できるプラットフォームは無いという認識であり、こうしたプラットフォームを構築することで、中小企業を主なターゲットとして総合ソリューション・ビジネスを展開していく戦略となっている。
このプラットフォーム構想では会計事務所だけでなく、金融機関が持つ口座情報とのAPI連携が必要となるが、2021年3月末には同社の製品・サービスと口座連携しているすべての金融機関との契約締結を完了する予定である。金融機関との連携によって、「かんたんクラウド会計」や「Galileopt」「MJSLINK」「ACELINK」などの利用ユーザーは、金融機関の口座情報を自動的にこれらの製品・サービスによりセキュアな環境で連携させることが可能となる。
b) ファイナンス・サービス構想
また、金融機関との連携が可能となることによって新たなファイナンス・サービスの提供も可能となる。具体的なサービスとしては、会計事務所が顧問先の中小企業のCFOの役割を担い、資金繰りに関するBPOサービスをbizskyプラットフォーム上で提供していくことを想定している。顧客(中小企業・個人事業主)はBPOサービスを利用することで、資金管理に関する業務負担が軽減し、会計事務所が担保する顧客の財務データを基に、金融機関から最適なファイナンス・サービスの提供を受けることが可能となる。同社は顧客に対して会計や資金管理、受発注などのクラウドサービスを提供するだけでなく、ファイナンスが実施された場合には手数料収入を得ることも考えられる。
こうしたフィンテック関連のサービスは、競合他社も積極的に展開しているが、同社は全国約8,400の会計事務所ユーザーとのネットワークを活かして、その先にある約50万社の中小企業や個人事業主向けにサービスを提供し、高成長を実現していく考えだ。同社では「ファイナンス・サービス構想」を実現していくうえでも、bizskyプラットフォームの利用企業数をさらに拡大していくことが重要と考えており、そのためにも既存製品・サービス(かんたんクラウド、Edge Tracker等)の機能強化が重要であると考え、開発投資を積極化している。また、同プラットフォーム上で利用可能な新規サービスの開発やM&A、他社サービスとの連携なども積極的に進めていく方針となっている。
c) 地域金融機関とのパートナーシップ強化
同社は2017年に新生銀行<8303>と資本業務提携を締結以降、地域金融機関とのパートナーシップ強化にも取り組んでおり、その成果が徐々に顕在化し始めている。同社製品・サービスを各金融機関の顧客に紹介する販売提携では48行(前期末比1行増)と協業契約を締結し、紹介案件数で200件を超えたほか、mmapにおける事業承継支援サービスでは58行(同3行増)と協業契約を締結し実績を上げている。今後もこうした取り組みを強化していくことに加えて、現在新たなFinTechサービスについても複数行と共同研究を進めている段階にある。また、新たに子会社化したトランストラクチャの組織・人事評価ツールなども金融機関とのパートナーシップを通じて拡販していく可能性も考えられる。こうした取り組みを今後も継続していくことで、同社自身の収益成長を目指すだけでなく、中小企業の経営改善を支援し、地域経済の活性化に貢献していくことを目指している。
d) 事業承継支援サービスの体制強化
子会社のmmapによる事業承継支援サービスについては、現状、コロナ禍で厳しい状況となっているものの、潜在的なニーズは多いことから、今後もサービス体制の強化を進めていく方針となっている。同社の全国31拠点とパートナー会計事務所(4,348事務所、顧問先企業は20万社超)のネットワークを活かした譲渡希望ニーズ(売り手)の発掘だけでなく、提携金融機関や、特に中堅企業の成長支援の観点から同社の約17,000社の中堅・中小企業ユーザーの広範なネットワークも活用して、買い手企業とのマッチングも推進していく方針だ。従来は、売り手側のアドバイザーのみであったが、買い手側のアドバイザーを行うことでマッチング率を高め、事業拡大を進めていく。
e) M&A、資本・業務提携の積極展開
同社ではbizskyプラットフォーム事業強化のため、積極的にM&A及びアライアンスに取り組んでいる。2021年3月期は11月までに既に6件(うち、2件はM&A)を発表している。さらに、12月にはデジタル・マーケティング支援を行うトライベックの株式50.4%を取得して連結子会社化し、共同で「統合型DXプラットフォーム」の構築を目指すとしている。今後も、M&Aや資本提携など積極的な事業投資を行う予定であり、AI、ブロックチェーンの技術開発企業やシナジーが期待できる業務支援ツールのベンチャーなどを中心に検討していく方針となっている。短期的な業績への影響は軽微なものの、中長期的な成長基盤を構築していくうえでは必要な投資と考えられ、今後の動向が注目される。
(3) 人材投資について
人材投資については引き続き強化していく方針となっている。2020年春の新卒社員は前年と同じく約70名を採用したが、2021年春は営業・開発部門を中心に90名弱の採用を予定している。また、開発体制については現在、外注も利用しているが、ノウハウの蓄積を進めていくため今後は内製化率を引き上げていく方針となっている。同社単独ベースの開発人員は2020年9月末時点で約230名(連結で約450名)となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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(2) 現状の取り組み状況
具体的な戦略や経営数値目標については、2021年5月に発表される予定となっているが、現状は以下の取り組みを推進している。
a) bizskyプラットフォーム事業の拡張
同社が最も注力しているのが、bizskyプラットフォーム事業の育成であり、今後、同社が高成長を目指していくうえでの根幹となる事業と言える。
bizskyプラットフォームとは、中小企業が抱える経営課題(売上拡大、業務効率向上、資金管理等)に役立つ多彩なクラウドサービスを提供するだけでなく、会計事務所や取引金融機関、他社クラウドサービスなどともAPI連携することで、日々の営業活動から資金管理、経営管理、事業承継など事業活動を進めていくうえで必要となるほぼ全てのソリューションを提供できることを目指したプラットフォームである。現状、1つのプラットフォーム上に資金の流れから営業活動やそのほかの業務まで広範に連携できるプラットフォームは無いという認識であり、こうしたプラットフォームを構築することで、中小企業を主なターゲットとして総合ソリューション・ビジネスを展開していく戦略となっている。
このプラットフォーム構想では会計事務所だけでなく、金融機関が持つ口座情報とのAPI連携が必要となるが、2021年3月末には同社の製品・サービスと口座連携しているすべての金融機関との契約締結を完了する予定である。金融機関との連携によって、「かんたんクラウド会計」や「Galileopt」「MJSLINK」「ACELINK」などの利用ユーザーは、金融機関の口座情報を自動的にこれらの製品・サービスによりセキュアな環境で連携させることが可能となる。
b) ファイナンス・サービス構想
また、金融機関との連携が可能となることによって新たなファイナンス・サービスの提供も可能となる。具体的なサービスとしては、会計事務所が顧問先の中小企業のCFOの役割を担い、資金繰りに関するBPOサービスをbizskyプラットフォーム上で提供していくことを想定している。顧客(中小企業・個人事業主)はBPOサービスを利用することで、資金管理に関する業務負担が軽減し、会計事務所が担保する顧客の財務データを基に、金融機関から最適なファイナンス・サービスの提供を受けることが可能となる。同社は顧客に対して会計や資金管理、受発注などのクラウドサービスを提供するだけでなく、ファイナンスが実施された場合には手数料収入を得ることも考えられる。
こうしたフィンテック関連のサービスは、競合他社も積極的に展開しているが、同社は全国約8,400の会計事務所ユーザーとのネットワークを活かして、その先にある約50万社の中小企業や個人事業主向けにサービスを提供し、高成長を実現していく考えだ。同社では「ファイナンス・サービス構想」を実現していくうえでも、bizskyプラットフォームの利用企業数をさらに拡大していくことが重要と考えており、そのためにも既存製品・サービス(かんたんクラウド、Edge Tracker等)の機能強化が重要であると考え、開発投資を積極化している。また、同プラットフォーム上で利用可能な新規サービスの開発やM&A、他社サービスとの連携なども積極的に進めていく方針となっている。
c) 地域金融機関とのパートナーシップ強化
同社は2017年に新生銀行<8303>と資本業務提携を締結以降、地域金融機関とのパートナーシップ強化にも取り組んでおり、その成果が徐々に顕在化し始めている。同社製品・サービスを各金融機関の顧客に紹介する販売提携では48行(前期末比1行増)と協業契約を締結し、紹介案件数で200件を超えたほか、mmapにおける事業承継支援サービスでは58行(同3行増)と協業契約を締結し実績を上げている。今後もこうした取り組みを強化していくことに加えて、現在新たなFinTechサービスについても複数行と共同研究を進めている段階にある。また、新たに子会社化したトランストラクチャの組織・人事評価ツールなども金融機関とのパートナーシップを通じて拡販していく可能性も考えられる。こうした取り組みを今後も継続していくことで、同社自身の収益成長を目指すだけでなく、中小企業の経営改善を支援し、地域経済の活性化に貢献していくことを目指している。
d) 事業承継支援サービスの体制強化
子会社のmmapによる事業承継支援サービスについては、現状、コロナ禍で厳しい状況となっているものの、潜在的なニーズは多いことから、今後もサービス体制の強化を進めていく方針となっている。同社の全国31拠点とパートナー会計事務所(4,348事務所、顧問先企業は20万社超)のネットワークを活かした譲渡希望ニーズ(売り手)の発掘だけでなく、提携金融機関や、特に中堅企業の成長支援の観点から同社の約17,000社の中堅・中小企業ユーザーの広範なネットワークも活用して、買い手企業とのマッチングも推進していく方針だ。従来は、売り手側のアドバイザーのみであったが、買い手側のアドバイザーを行うことでマッチング率を高め、事業拡大を進めていく。
e) M&A、資本・業務提携の積極展開
同社ではbizskyプラットフォーム事業強化のため、積極的にM&A及びアライアンスに取り組んでいる。2021年3月期は11月までに既に6件(うち、2件はM&A)を発表している。さらに、12月にはデジタル・マーケティング支援を行うトライベックの株式50.4%を取得して連結子会社化し、共同で「統合型DXプラットフォーム」の構築を目指すとしている。今後も、M&Aや資本提携など積極的な事業投資を行う予定であり、AI、ブロックチェーンの技術開発企業やシナジーが期待できる業務支援ツールのベンチャーなどを中心に検討していく方針となっている。短期的な業績への影響は軽微なものの、中長期的な成長基盤を構築していくうえでは必要な投資と考えられ、今後の動向が注目される。
(3) 人材投資について
人材投資については引き続き強化していく方針となっている。2020年春の新卒社員は前年と同じく約70名を採用したが、2021年春は営業・開発部門を中心に90名弱の採用を予定している。また、開発体制については現在、外注も利用しているが、ノウハウの蓄積を進めていくため今後は内製化率を引き上げていく方針となっている。同社単独ベースの開発人員は2020年9月末時点で約230名(連結で約450名)となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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