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クシム Research Memo(8):中期経営目標の達成のため業態のトランスフォームを力強く推進

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2021年10月期連結業績見通し
クシム<2345>の2021年10月期連結業績については、現段階では連結業績予想の合理的な算定が困難であることから、未定としている。今後、合理的な予想が可能となった時点で速やかに公表する。中期経営目標の達成のため業態のトランスフォームを力強く推進するというミッションを掲げており、積極的に成長投資を行い、事業規模を拡大させるほか、組織基盤及び人材採用の強化を図る。また、M&Aを通じた事業展開を強化するにあたり、現在のグループ各法人及びM&Aにより今後増加する法人の経営管理を柔軟かつ機動的に行うため、定款の一部変更を行う。現行定款第2条(目的)「当会社は次の事業を営むことを目的とする。」を、「当会社は、次の事業を営む会社その他の法人等の株式又は持分を所有することにより、当該法人等の経営管理及びこれに附帯又は関連する業務を行うことを目的とする。」へ変更する。

成長に向けた取り組みにおいては、eラーニング事業へは積極投資を継続させ、テレワーク、授業オンライン化など更なる商機を獲得していく計画である。3DグラフィックやAI×画像処理技術を有するイーフロンティアの子会社化により、3DCGや3Dキャラクターを用いたビジュアル性とゲーム性のある3D×eラーニングにおける次世代型eラーニングプロダクトの開発が加速。多くのeラーニングコンテンツが、PDFファイルなど教科書を映しているだけのものが多いなか、ビジュアル性とゲーム性のある次世代型のeラーニングコンテンツは市場のニーズを取り込む可能性が高く、成長期待は大きいだろう。

また、LMSにおいては、同社が得意とする従業員数5,000名以上の企業向けのほか、これまで未着手であった従業員数5,000名未満の中小企業に対し、ストック型のID課金のビジネス体系やクラウド環境で提供するSaaS型によって新たな顧客層の獲得が見込まれる。特に政府のDX政策によるデジタル化の流れが加速するなかにおいて、今般のコロナ禍によって、デジタル化が進んでいない企業へのデジタル化を加速させることになる。


中期経営計画の達成を目指しM&A成長の比重を高める。規模の大小にかかわらず複数社とのM&Aを検討し、過半数以上の取得を想定
2. ライツ・オファリングによる資金調達
同社は、ライツ・オファリング(ノンコミットメント型/上場型新株予約権の無償割当て)により発行する第8回新株予約権の権利行使期間が2020年12月9日に終了し、権利行使結果が確定したことを発表している。新株予約権の最終的な行使比率は87.7%となり、発行諸費用の概算額を控除した差引手取概算額は約1,469百万円となった。調達資金は、M&A資金に1,306百万円、人材投資(採用、人件費)に50百万円、運転資金に113百万円を充当する予定である。これにより、M&Aを含む、更なる事業投資による「事業規模の拡大」と組織の成長スピードを見据えた人材確保・投資による「組織・人材の強化」へ積極的に成長投資を行う計画である。

同社グループは、2019年5月にグループが描く将来像と新たなビジョンを掲げ、それに基づいて数値目標(2022年10月期に売上高3,068百万円、営業利益772百万円)を策定し中期経営計画として公表している。当該計画数値は、個々の数値積み上げといった具体的な根拠によるものではなく、将来の目標数値として掲げたものである。中期経営計画の達成の前提は、既存事業の自律成長とM&Aによる成長の両輪としているが、既存事業の自律成長のなかで特に「iStudy Academy」事業が想定通りの成長に至らず、それが原因で中期経営計画の達成が困難な見通しとなる。しかしながら、引き続き中期経営計画の達成を目指し、当初の中期経営計画と比べてM&A成長の比重を高め、M&Aを成長手段としてダイナミックに経営資源を獲得することによって、企業価値向上のための企業変革を進める。

想定しているM&Aの対象企業は、HR(Human Resources)領域(同社注力領域)、先端リードテクノロジー領域(ブロックチェーン、AI、IoT)、IT技術のSES事業(ITエンジニア数の規模追求)、デジタルマーケティング事業(グループに不足する機能)のような事業を行っている企業としている。また、規模の大小にかかわらず複数社とのM&Aを検討するが、目安としては対象企業の株式の過半数以上を取得する想定であり、売上規模100百万円から2,000百万円程度となる会社をターゲットとする。具体的に計画されている案件はないが、このような特色ある企業をM&A仲介事業者を通じて検討を進めている。主要事業の利益成長に加えて、成長分野に資源を集中させることにより、中期計画の最終年度の2022年10月期を待たずに、今下期において成長ストーリーがより明確に表れてくる可能性があると弊社では見ている。売上高の伸びは顕著に表れてきているため、足元でのシステム刷新や合理化策を踏まえると、今後は利益成長に大きく表れてくると見ておきたい。

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)




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