ダイコク電 Research Memo(4):当面は不透明感が残るものの、中期的には変革に向けた好機
[21/01/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ダイコク電機<6430>の業界環境
ここ数年の業界環境の状況を整理すると、パチンコ業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いてきた。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下、「新規則」)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感により、現在まで混沌とした状況が続いている。特に、これまでホール経営の稼ぎ頭であった主要な高射幸性遊技機(パチスロ)の認定切れ(撤去期限)を2019年12月末に迎え、ホール経営へ少なからず影響を及ぼすと、2020年に入ってからはコロナ禍の影響(ホール休業や時短営業等)も重なり、先行き不透明感がさらに高まっている。
※今回の「新規則」で、例えば、遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、「新規則」の施行から2年以上が経過したにもかかわらず、依然として「旧規則」機に頼った営業が続いている。パチンコホールにとっては、業績悪化への懸念のほか、機種の入れ替えのタイミングなど難しい判断が必要とされ、それが投資意欲の冷え込み(慎重な姿勢)の長期化につながっていると言える。
一方、「旧規則」機に対する完全撤去期限はコロナ禍の影響により1年延期(2022年1月末まで)され、「新規則」機への入れ替え※1はこれから段階的に進んでいくものと見られるが、2020年1月に施行された「技術上の規格解釈基準」の改正、それに伴う日本遊技機工業組合の内規制定によって新たな遊技性(「遊タイム」など)※2を有する遊技機がリリースされることから、遊技機入れ替え需要による市場活性化が期待されている。また、今後、「旧規則」機の撤去が進み、「新規則」機が市場投入されるにつれ、ホールの勝ち残りをかけた(集客のための)投資も活性化してくるものと考えられるほか、ホール運営における人手不足の解消を目的としたスタッフ省人化や、2020年4月に全面施行された改正健康増進法に伴うホール禁煙化への投資も見込まれている。
※1 同社推計によると、2020年10月末の「新規則」機への導入率はパチンコが約51%、パチスロが約34%にとどまっている。特に、6号機の業績が振るわないパチスロの導入が進んでいない。
※2 「遊タイム」とは、通常時(低確率時)に規定回数まで大当たりしなかった場合、時短(一定回転数まで持ち玉を減らさずに効率よく回転させる機能)に突入するシステム(救済措置)のこと。今回の内規制定によって、「遊タイム」をはじめとした新しい機能が追加され、遊技機のゲーム性の幅が大きく広がった。
警察庁によれば、パチンコホール数は年々減少傾向にあり、2011年から2019年の間で年平均3.0%減となっている。特に足元においては、「新規則」の影響等により新規出店の減少が顕著である。なお、2019年12月末のパチンコホール数は9,639店舗(前年比421店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数は3,434店舗(シェア35.6%)に上る。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特徴※があり、1店舗当たりの平均遊技台数は544台と他社平均(375台)の約45%増しとなっている。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、これから「新規則」機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。
※中大型店舗(501台〜1,000台)におけるシェアは55.3%、大型店舗(1,001台以上)のシェアは72.3%と大型店舗ほど高いシェアとなっている。
また、遊技台数については減少傾向で推移(特に、パチンコ遊技機の減少が顕著)しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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ここ数年の業界環境の状況を整理すると、パチンコ業界は、遊技人口の減少、低貸玉化への流れ、消費税増税の影響などを受けて厳しい環境が続いてきた。特に、2015年に業界における自主規制(高射幸性機種の制限等)がパチンコ及びパチスロ遊技機の両方で実施されると、2016年に入ってからも「検定機と性能が異なる可能性のあるぱちんこ遊技機」回収・撤去の問題が動き出し、業界全体が停滞感に覆われた。さらに2017年9月4日には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則及び遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則の一部を改正する規則」(2018年2月1日施行、以下、「新規則」)※が公布されると、業界に対する悲観的な見方や先行き不透明感により、現在まで混沌とした状況が続いている。特に、これまでホール経営の稼ぎ頭であった主要な高射幸性遊技機(パチスロ)の認定切れ(撤去期限)を2019年12月末に迎え、ホール経営へ少なからず影響を及ぼすと、2020年に入ってからはコロナ禍の影響(ホール休業や時短営業等)も重なり、先行き不透明感がさらに高まっている。
※今回の「新規則」で、例えば、遊技機の最大出玉が抑制され、管理遊技機の規格が明記された。ただ、「新規則」の施行から2年以上が経過したにもかかわらず、依然として「旧規則」機に頼った営業が続いている。パチンコホールにとっては、業績悪化への懸念のほか、機種の入れ替えのタイミングなど難しい判断が必要とされ、それが投資意欲の冷え込み(慎重な姿勢)の長期化につながっていると言える。
一方、「旧規則」機に対する完全撤去期限はコロナ禍の影響により1年延期(2022年1月末まで)され、「新規則」機への入れ替え※1はこれから段階的に進んでいくものと見られるが、2020年1月に施行された「技術上の規格解釈基準」の改正、それに伴う日本遊技機工業組合の内規制定によって新たな遊技性(「遊タイム」など)※2を有する遊技機がリリースされることから、遊技機入れ替え需要による市場活性化が期待されている。また、今後、「旧規則」機の撤去が進み、「新規則」機が市場投入されるにつれ、ホールの勝ち残りをかけた(集客のための)投資も活性化してくるものと考えられるほか、ホール運営における人手不足の解消を目的としたスタッフ省人化や、2020年4月に全面施行された改正健康増進法に伴うホール禁煙化への投資も見込まれている。
※1 同社推計によると、2020年10月末の「新規則」機への導入率はパチンコが約51%、パチスロが約34%にとどまっている。特に、6号機の業績が振るわないパチスロの導入が進んでいない。
※2 「遊タイム」とは、通常時(低確率時)に規定回数まで大当たりしなかった場合、時短(一定回転数まで持ち玉を減らさずに効率よく回転させる機能)に突入するシステム(救済措置)のこと。今回の内規制定によって、「遊タイム」をはじめとした新しい機能が追加され、遊技機のゲーム性の幅が大きく広がった。
警察庁によれば、パチンコホール数は年々減少傾向にあり、2011年から2019年の間で年平均3.0%減となっている。特に足元においては、「新規則」の影響等により新規出店の減少が顕著である。なお、2019年12月末のパチンコホール数は9,639店舗(前年比421店舗減)であるが、同社のホールコンピュータ顧客数は3,434店舗(シェア35.6%)に上る。同社の顧客層は地域1番の優良店が多く、店舗規模も市場平均よりも大きいところに特徴※があり、1店舗当たりの平均遊技台数は544台と他社平均(375台)の約45%増しとなっている。したがって、比較的景気変動に対する抵抗力が強く、投資余力にも優れている顧客基盤と言え、これから「新規則」機による新たな時代を迎え、大型店舗を中心に投資意欲が戻ってくれば、同社にとっては事業拡大の好機になる可能性が高い。
※中大型店舗(501台〜1,000台)におけるシェアは55.3%、大型店舗(1,001台以上)のシェアは72.3%と大型店舗ほど高いシェアとなっている。
また、遊技台数については減少傾向で推移(特に、パチンコ遊技機の減少が顕著)しているものの、1店舗当たりの遊技機設置台数は増加しており、店舗の大型化が示されている。既述のとおり、スケールメリットが生かせる大型店舗は同社の得意とするところであり、機能性や付加価値による高い投資効果を訴求できる同社にとっては追い風と考えられる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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