ダイコク電 Research Memo(6):2021年3月期上期はコロナ禍の影響を受けるも期初予想に対しては順調に進捗
[21/01/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
2. 2021年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比40.7%減の11,060百万円、営業損失が224百万円(前年同期は1,302百万円の利益)、経常損失が18百万円(同1,421百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が48百万円(同912百万円の利益)とコロナ禍の影響により大幅な減収減益となり、各段階損益で損失を計上した。もっとも、期初予想に対しては、売上高がほぼ計画どおり、利益面では計画を上回る進捗となっている。
厳しい業界環境が続くなか、コロナ禍の影響(休業要請や時短営業等)も重なり、パチンコホール経営が一段と厳しい状況に置かれたことで、設備投資意欲の極端な低下や設備投資の先延ばしにより「情報システム事業」が大きく落ち込んだ。「制御システム事業」についても、コロナ禍の影響により各遊技機メーカーの新作タイトル販売が延期されたことなどを背景として、表示及び制御ユニット、部品販売ともに減少した。
利益面では、大幅な減収に伴って営業損失を計上したが、研究開発費の期ずれや展示会をWeb開催にしたことによる会場費の減少、全社的な経費削減により、損失幅は計画よりも小さい水準に収まっている。
財務面では、配当金の支払いや四半期純損失の計上により、自己資本は前期末比1.6%減の29,923百万円に縮小。一方、総資産も「売掛債権」の減少や「有形及び無形固定資産」の減価償却等により前期末比5.7%減の40,285百万円に縮小したことから、自己資本比率は74.3%(前期末は71.2%)と高い水準を維持している。また、手許資金は約150億円を確保し、流動比率も266.2%となっていることから、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1)情報システム事業
売上高は前年同期比45.0%減の8,206百万円、セグメント利益は同76.6%減の540百万円と大きく落ち込んだ。AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入(既存ホールコンピュータからの入れ替え)や、それに紐付く最新機器の販売などに注力したものの、コロナ禍のもと、休業要請や時短営業、ファンの自粛等の影響によりパチンコホール経営が一段と厳しい状況に置かれるなかで、設備投資意欲が極端に低下したことや、「旧規則」機の撤去スケジュールが1年延長されたことによる設備投資の先延ばしも重なって、売上高は大きく減少した。特に、コロナ禍の影響はおおむね想定内であったが、撤去スケジュールの延長が想定外の影響を及ぼしたようだ。また、これまで収益の底上げに貢献してきたMGサービスについても、ホール休業期間中は一時的にサービスを停止したことから前年同期比で減少したが、それでも収益の下支えとなっているところは評価すべきポイントである※。一方、利益面では、減収により減益となったものの、オンライン形式の展示会&セミナーの開催やモバイル活用、その他経費の削減により、計画を大きく上回ることができた。
※AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」と並び、戦略の目玉となっている商圏分析サービス「Market-SIS」(MGサービスの一部)については掲載ホールが3,000件を突破するなど、着々とシェア拡大を図っている。
なお、パチンコホールの稼動状況(4円パチンコ、20円パチスロ)については、緊急事態宣言が発令された2020年4月〜5月が前年同期比50%前後の水準で低迷したものの、その後回復し、7月以降は80%前後で推移している。足元の回復基調は踊り場に差し掛かった感もあるが、新しい遊技性(「遊タイム」など)を有した遊技機が徐々に市場に導入され、高稼動のパチンコ遊技機も出始めていることから、今後の遊技機入れ替え需要の活性化が期待される。
(2)制御システム事業
売上高は前年同期比23.8%減の2,858百万円、セグメント損失は5百万円(前年同期は66百万円の損失)と減収ながら損失幅は縮小した。コロナ禍のもと、ホール休業や時短営業の影響により各遊技機メーカーの新作タイトル販売が延期されたことなどを背景として、表示ユニット、制御ユニット、部品販売ともに減少した。ただ、大型受注案件の寄与により計画に対しては上回る進捗となっている。利益面でも、減収による収益の押し下げはあったものの、研究開発費の期ずれや経費削減等により損失幅は縮小した。足元では、コロナ禍による活動制限が徐々に緩和されるにつれ、各遊技機メーカーにおいては「遊タイム」等の新しい遊技機の開発が本格化している。この動きに合わせ、同社も販売スケジュールへの影響を最小限に抑えるべく、リソースの再配分や工程の見直し等に取り組んでいるようだ。
3. 2021年3月期上期の総括
以上から、2021年3月期上期を総括すると、厳しい業界環境にコロナ禍の影響も重なり、業績面では厳しい状況が続いた。改めて現状を整理すると、パチンコホールの設備投資意欲が回復し、パチンコ、パチスロの「新規則」機への移行が進まないことには、同社が推進するAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入や、それに紐付く最新機器の販売も本格化しない状況が継続していると言える。ただ、活動面に目を向けると、今後の成長の軸となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」や「Market-SIS」(商圏分析サービス)の普及、パチスロ受託開発の推進に取り組み、しっかりと手応えを感じながら、地ならしを行っているところは将来に向けて明るい材料と評価できるだろう。特に、後述する「MIRAIGATE 2020 Web展示会&セミナー」では、例年の2倍規模の来場者を集め、潜在的な需要の大きさを確認することができたことや、市場の動きとして「遊タイム」機種の開発や導入が徐々に進んできたことは、同社の「情報システム事業」及び「制御システム事業」にとって事業拡大のチャンスであり、業績の回復はタイミングの問題として捉えることができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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2. 2021年3月期上期決算の概要
ダイコク電機<6430>の2021年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比40.7%減の11,060百万円、営業損失が224百万円(前年同期は1,302百万円の利益)、経常損失が18百万円(同1,421百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が48百万円(同912百万円の利益)とコロナ禍の影響により大幅な減収減益となり、各段階損益で損失を計上した。もっとも、期初予想に対しては、売上高がほぼ計画どおり、利益面では計画を上回る進捗となっている。
厳しい業界環境が続くなか、コロナ禍の影響(休業要請や時短営業等)も重なり、パチンコホール経営が一段と厳しい状況に置かれたことで、設備投資意欲の極端な低下や設備投資の先延ばしにより「情報システム事業」が大きく落ち込んだ。「制御システム事業」についても、コロナ禍の影響により各遊技機メーカーの新作タイトル販売が延期されたことなどを背景として、表示及び制御ユニット、部品販売ともに減少した。
利益面では、大幅な減収に伴って営業損失を計上したが、研究開発費の期ずれや展示会をWeb開催にしたことによる会場費の減少、全社的な経費削減により、損失幅は計画よりも小さい水準に収まっている。
財務面では、配当金の支払いや四半期純損失の計上により、自己資本は前期末比1.6%減の29,923百万円に縮小。一方、総資産も「売掛債権」の減少や「有形及び無形固定資産」の減価償却等により前期末比5.7%減の40,285百万円に縮小したことから、自己資本比率は74.3%(前期末は71.2%)と高い水準を維持している。また、手許資金は約150億円を確保し、流動比率も266.2%となっていることから、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1)情報システム事業
売上高は前年同期比45.0%減の8,206百万円、セグメント利益は同76.6%減の540百万円と大きく落ち込んだ。AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入(既存ホールコンピュータからの入れ替え)や、それに紐付く最新機器の販売などに注力したものの、コロナ禍のもと、休業要請や時短営業、ファンの自粛等の影響によりパチンコホール経営が一段と厳しい状況に置かれるなかで、設備投資意欲が極端に低下したことや、「旧規則」機の撤去スケジュールが1年延長されたことによる設備投資の先延ばしも重なって、売上高は大きく減少した。特に、コロナ禍の影響はおおむね想定内であったが、撤去スケジュールの延長が想定外の影響を及ぼしたようだ。また、これまで収益の底上げに貢献してきたMGサービスについても、ホール休業期間中は一時的にサービスを停止したことから前年同期比で減少したが、それでも収益の下支えとなっているところは評価すべきポイントである※。一方、利益面では、減収により減益となったものの、オンライン形式の展示会&セミナーの開催やモバイル活用、その他経費の削減により、計画を大きく上回ることができた。
※AIホールコンピュータ「Χ(カイ)」と並び、戦略の目玉となっている商圏分析サービス「Market-SIS」(MGサービスの一部)については掲載ホールが3,000件を突破するなど、着々とシェア拡大を図っている。
なお、パチンコホールの稼動状況(4円パチンコ、20円パチスロ)については、緊急事態宣言が発令された2020年4月〜5月が前年同期比50%前後の水準で低迷したものの、その後回復し、7月以降は80%前後で推移している。足元の回復基調は踊り場に差し掛かった感もあるが、新しい遊技性(「遊タイム」など)を有した遊技機が徐々に市場に導入され、高稼動のパチンコ遊技機も出始めていることから、今後の遊技機入れ替え需要の活性化が期待される。
(2)制御システム事業
売上高は前年同期比23.8%減の2,858百万円、セグメント損失は5百万円(前年同期は66百万円の損失)と減収ながら損失幅は縮小した。コロナ禍のもと、ホール休業や時短営業の影響により各遊技機メーカーの新作タイトル販売が延期されたことなどを背景として、表示ユニット、制御ユニット、部品販売ともに減少した。ただ、大型受注案件の寄与により計画に対しては上回る進捗となっている。利益面でも、減収による収益の押し下げはあったものの、研究開発費の期ずれや経費削減等により損失幅は縮小した。足元では、コロナ禍による活動制限が徐々に緩和されるにつれ、各遊技機メーカーにおいては「遊タイム」等の新しい遊技機の開発が本格化している。この動きに合わせ、同社も販売スケジュールへの影響を最小限に抑えるべく、リソースの再配分や工程の見直し等に取り組んでいるようだ。
3. 2021年3月期上期の総括
以上から、2021年3月期上期を総括すると、厳しい業界環境にコロナ禍の影響も重なり、業績面では厳しい状況が続いた。改めて現状を整理すると、パチンコホールの設備投資意欲が回復し、パチンコ、パチスロの「新規則」機への移行が進まないことには、同社が推進するAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」の導入や、それに紐付く最新機器の販売も本格化しない状況が継続していると言える。ただ、活動面に目を向けると、今後の成長の軸となるAIホールコンピュータ「Χ(カイ)」や「Market-SIS」(商圏分析サービス)の普及、パチスロ受託開発の推進に取り組み、しっかりと手応えを感じながら、地ならしを行っているところは将来に向けて明るい材料と評価できるだろう。特に、後述する「MIRAIGATE 2020 Web展示会&セミナー」では、例年の2倍規模の来場者を集め、潜在的な需要の大きさを確認することができたことや、市場の動きとして「遊タイム」機種の開発や導入が徐々に進んできたことは、同社の「情報システム事業」及び「制御システム事業」にとって事業拡大のチャンスであり、業績の回復はタイミングの問題として捉えることができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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